魚の頭を断ち割る方法を説明します

  

魚の頭を割って捌く

魚の頭のさばき方です。

鯛の頭を割る、梨割り、または兜割りという方法を紹介します。

魚の頭を切断する包丁は、厚みのある片刃包丁が適してします。つまり出刃包丁ですね。両刃でも肉厚巨大な冷凍包丁などですと頭割りに使えますが、少し難易度が高くなります。その他の包丁ではやらない方がよいです。出刃が最適。

包丁自体の重さを利用するサバキなので、できるだけ厚みがあって重い出刃を使いましょう。厚みのない相出刃よりも本出刃が理想ですね。

それ以外の包丁でやる場合、「包丁を傷める」「大怪我をする」その可能性が高いことを念頭に置きましょう。

※頭を切断できるポイントは一つだけ

人間や魚を含むほぼ全ての生物(左右対称形の)は、頭から下まで体のど真ん中に(縦に)「正中線」というまっすぐな線が通っています。簡単に言うと誕生の過程で右側と左側が引っ付いたときのラインでしょうね。

こうしたプロセスで生まれる生物にとってここは弱点になります。硬い頭蓋骨でカバーしている頭もこの線は脆いからです。魚の頭骨もやはりこの線が弱く、その箇所は切りやすい。逆に言えば、この線以外は硬くて切れないという事になります。

・正中線のど真ん中に包丁が真っ直ぐ入れば魚の頭は簡単に断ち切れるが、刃が線から逸れると失敗するか切れない。

そうなります。

魚の頭の割り方は魚種によって難易度が異なりますが、よほど変な魚でもないかぎり、やり方そのものは共通しています。

以下、非常に割りにくいとされる鯛の頭、鯛兜を使って割り方を説明します。タイで可能なら他の魚の頭も簡単に割れるようになるでしょう。

頭の割り方

刀の試技や演舞などで兜を切断するというものがあり、兜を一刀両断にすることを「梨割り」と呼ぶことがあります。

鯛などの魚は鎧武者を想わせる立派な頭部をしていて昔から武者と関連付けられており、武家社会の「縁起物」でした。それが庶民にも広まったのです。鯛と同じく縁起物である伊勢海老も、やはり2つに割ることを梨割りといいます。

鯛の兜割り・梨割り

(1)魚頭を立てて安定させる

●魚の頭頂部を手前に向け、真っ直ぐに立てる
●大事なのは安定感、グラつかない様にしっかり固定
●出刃の構造を再確認する
(これが出来ないと失敗します。和包丁は片刃ですから硬いものを自然に切り込むと左にズレます。直線に切るにため、握り手を意識して下さい(包丁の裏面に意識を向けていないと片刃は真っ直ぐにならない。)

(2)正中線を意識して口に包丁

出刃包丁を鯛の口に差し込む

●目印は真ん中にある歯と歯の中央

●この瞬間で成功か失敗かが決まります
●「中央をとらえているか」「包丁が刃裏に向けて曲がろうとしていないか」確認してみてズレを感じたら成功しないのでやり直す

(3)包丁を差し込む

●この時点では「切る」ことを意識せず「切っ先をまな板に刺す」感じで包丁を立てて真っすぐに押し込む

●包丁が僅かでも左右にズレたら失敗(中心線からはずれている)。絶対にうまくいかないのでやり直し。頭の中央線以外は切る事ができない

(4)頭を二つに切る

●包丁先がまな板に食い込んだら、包丁を差し込んだ口部分から数センチは既に切れている
●そうしたら包丁ミネを左手でカバーして切りに入る

左手はこういう感じで

●テコの原理を頭に浮かべて包丁の重量を使う(支点が刃先の部分、力点が右手、包丁の刃全体が作用点になる)

(1)(2)(3)にミスがなければ、鯛の頭であっても、あっさりと断ち割ることができる

二つに割った頭を切り分ける

魚の頭部には包丁の入る「目」があり、そこ以外は簡単に切れません。頭のカットは慣れないと難しいものです。

こうして立ててやると、アゴの部分が切りやすい

あとは出刃の刃元をフルに使い、テコの原理でシーソーのように動かして叩き切るようにすれば楽にカットできます。料理に合わせた大きさにしましょう。


あら汁の作り方


鯛頭の潮汁


伊勢海老の梨割り


著者:手前板前 魚山人