鯛を残さず料理する  

兜潮汁・中落ちと兜の山椒焼・百尋袋の梅サラダ・鯛皮と鱗の松笠揚

兜の潮汁

子供の日ですので、兜の料理です。
鯛の頭は姿造りの時ウロコを引いていませんので、丁寧にウロコを落としまして、鯛の兜割り/ 梨割りを参考に梨割りにして下さい。カマは付けたままです。左半分のかま下が大きくなる様にしておきます。
鯛の兜割り/ 梨割り

それを70度くらいの湯で霜降りにしましょう(浅霜)
次に両面に炙る感じで焼き目を入れ香り良くします。

反対側のカマと中落ちを一度茹でこぼし、ふたたび水から加熱してダシをとり、ダシがとれたカマと骨は後で焼き物にしますので取り出しておきます。一番出汁を加えて塩と酒と薄口しょう油で味付けします。

器に炙った頭とカマを入れて磯の香りがする生ノリを添えます。

熱い出汁を静かに張れば鯛兜潮汁の出来上がりです。

*「鯛は目を食う」と言いまして目玉の周辺が美味いです。もちろん目玉そのものも食べられます。目玉はビニール質の芯が出るまで周辺の白い部分をしゃぶる様に食べます。その硬質の芯ですら食べられます。また、目は火が入ったかどうかの目安にもなるんです。まっ白くなれば食べられる様になったという合図で、姿焼きやアラ汁のときの判断に便利。

*しかしこの潮汁は姿を生かしたいので、浅く霜振りしたほうがいいです。沸騰湯で強霜にすればボロボロは避けられません。つまり姿の美しさが崩れます。それを避ける為に霜の後、裏をメインに焼きを入れる訳です。軽霜では目玉が白くなりません「火が通っていない」からです。

*上の画像は目玉が白くなってません。加熱が半端ということです。(撮影の為)

食べる時に再加熱して食べました。

お魚大好きさんでしたら、霜を振らずに「アラ汁」にした方が良いと思います。



エラ・ワタでサラダ

エラはしばらく水にさらし臭みを抜きます。

(間に見えるのは心臓。大きければ煮付けや陶板焼き、串焼きに。ここでは小さかったので一緒に揚げています)

付け根を切り、バラしてカリカリに揚げておきます。

これは胃や腸などの器官です。

酢洗いして塩茹でにし、適当にカットします。

百尋とはクジラの腸管ですが、縁起の良い名ですので当てました。

これと、から揚げのエラを各種の生野菜と合わせます。
梅干を裏漉し、薄口醤油と酒でのばし、紫蘇ドレッシングを加えたソースをかけてサラダにします。ウルイを軽く湯に通した残りもここで使いましょう。周囲のはウルイの葉です。

残りはウロコと中落ちです。

中落ちの山椒焼き

実山椒を叩いて細かくしたのを酒・味醂・醤油に柚子胡椒などを少し加えたタレに入れます。そのタレに反対側の頭とカマ(さっき潮汁の出汁に使ったやつ)を浸けて焼きましょう。

これはオリゴ糖で浸した杏です。

天に木の芽をのせて前盛りに甘煮杏を添えます。

皮とウロコの松毬揚げ

ウロコは皮ごと適当に切り、カリカリに空揚げにします。

*ここでは姿造りの関係で皮付きですが、普通はウロコを引いて料理しますよね。その場合皮とウロコを別々に揚げて下さい。皮は湯霜でポン酢もいいですが、空揚げの場合身側の方だけに粉を打って揚げます。ウロコはポテトチップスの要領です。

*ウロコを引く時に、大きなビニール袋(ゴミ袋で可)に鯛を入れ、その中でウロコを引くと作業効率が良くなります。巨大なザルがあればさらに効率が上がります。水を流しながらザルの中で引くと、ウロコだけ勝手に集まってくれるからです。

松ぼっくりの様に揚がった皮ウロコに、カリカリに揚げた尾を添えてやります。

酒が好きなおいらとしちゃ、個人的にこの皮とウロコと尾の揚げ物が一番うまいです。皮が残ってることでウロコも非常に美味しくなります。一度お試しあれ。

さて一通り鯛の料理を紹介しましたが、もちろんほんの一部にすぎません。鯛料理はそれこそ「いくらでも」あります。紹介しきれなかったのが「ご飯もの」と「麺もの」などなど。とにかくいろんな素材と相性が良いです。料理しやすさといい、そつなく仕上がる扱いよさといい、さすがに王者ですよね。皆さんも色々と工夫して食べてみて下さい。


食材の王・鯛
鯛の姿盛り
白子と肝の料理
真子の塩焼き
残りの全部を料理
真鯛のさばき方


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