サンマと秋刀魚料理  

秋刀魚


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サンマのさばき方
サンマの詳しいさばき方
サンマ塩焼[骨なし ]の作り方

美味いサンマとは

秋刀魚の英名はPacific sauryで学名はCololabis saira
学名のsairaは関西地方のサンマの呼び方サイラまたはサエラから命名されたといいます。この呼び方の方が「刀を連想させるから秋刀魚」もよりも古いからでしょうね。つまり日本を代表する魚であると認知されてるわけです。

さんまの塩焼き

サンマの仲間は4種ほどしか存在せず、昔から西欧には存在しない魚と言われてましたけども、生息域は日本から北米大陸にかけて分布するサンマ以外に大西洋や地中海、それに南半球にもニシサンマなるサンマが存在します。

サンマしかし輸入にはおよびません。
日本の中部以内、近畿、九州沖などで年に二度(春・初秋)誕生し、列島を挟むように太平洋と日本海から北海道へ北上してまた産卵場所にUターンするサンマの資源量は安定しておりまして、輸入の必要が無い貴重な純国産食糧であり、価格も低めで安定して大衆魚の立場を貫いているのは嬉しい事です。

 

目黒のさんま

「秋の味覚の代表」といわれる様に抜群の味。
「庶民的な魚の代表」を裏付ける話も多く、落語の目黒のさんまなどは有名です。噺の『目黒のさんま』は、その内容が西洋などの童話でもよく見受けられる「王様と庶民の云云」との共通性なんかを感じたりして毒が隠れたストーリー自体は好きではありません。目黒不動の爺が茶屋の話は実際にあったのかも知れませんが、まず架空のお話ですしね。

でも江戸時代には「芝のさんま」が美味かったは事実の様で、芋の産地で市中ですらなかった目黒と結びついたはその辺でしょうか。(またくだらねぇ寄り道しますけども、上のは決して目黒が田舎だと誹っている訳じゃありませんので誤解なさらぬ様。落語ってモンの真骨頂は権力や世の常識とか「マトモ」な事柄を皮肉る部分にあると思います。人情噺にしたって同じ事。

ですから常識的な人柄だと後世に名を残す名人にゃなれません。タモリやビートたけしは咄家じゃありませんが、その精神を見事に体現してるからこそあそこまでになったんでしょう。常識(マトモ)をイジクル人って事です。この目黒のさんまも一見殿様の威光を磐石にする物語の様にみせかけながら実は物凄い反権力なお話でして、それどころか登場人物や背景も含め全てを馬鹿にし、嘲ようってとんでもないブラックな仕立てです。要するに名人達は人間の本音・本質を引き出す名人でもあるってことなんですな)

9月になりますとご当地目黒区と、目黒駅のある品川区、それに何故か恵比寿のビール坂でも「別々に」(仁義無き戦いか?同じ都内だし仲良くしてよ。もともと本来は「芝のさんま」の港区が筋でしょうし(笑)、目黒のさんまに因んだ「さんま祭」が開催されますんで、サンマ好きの人は訪問してみると面白いですよ。

サンマの選び方

良いサンマの選び方は非常に簡単。
ハリと弾力があって肥えているもの、つまり一目で直感的に分かる類ですから自分の目を信じればよいだけです。目に濁りがないのも基本ですね。光っているのはウロコが多いって事でこれも新鮮さの目安。あと脂が充分にのっていれば口の先や尾びれが黄色味を帯びます。



痩せてるのや、腹がぺしゃんこなのは避けてください。

サンマ

しかし料理によっては脂がのっていれば良いってものでもありませんで、例えば刺身などはあまり脂があってはくどくなります。鮨にはよいですけどね。ですから夏、晩秋サンマ刺身はすっきりした旨さです。

サンマの漁獲地は主に房総沖から三陸、北海道沖あたりですが、適度な脂はやはり三陸に揚がったサンマでしょうね。8月後半から9月にはなんと脂肪が20%を超えますからね。たんぱく質よりも脂肪が多い魚のひとつです。これが11月に入ればわずか数%に下がるんですから「旬は秋」がこれほどはっきりしてるのも珍しい。このへんも日本人好みと言えるでしょう。

脂肪といってもほとんどが不飽和脂肪酸ですから気にする事はありません。DHA(ドコサヘキサエン酸)はおよそ1400mg、IPA(イコサペンタエン酸)/EPA(エイコサペンタエン酸)は845mgを一匹のサンマから摂取できます(100g換算)。ミネラルも鉄や亜鉛をバランスよく含み、ビタミンはDやB12など。これらはすべて生活習慣病や癌に効果があるとされるものばかりです。

ほろ苦く、けど好きな人にはたまらないワタには、ビタミン・ミネラルの微量栄養素が沢山含まれています。サンマは悪食ではないうえに構造上排泄が早く内臓に臭みが無いといわれますので、食べ慣れるとなんともいえない滋味があるのでしょう。

サンマ料理

脂がのりきったサンマは塩焼きに勝るものがありません。


さんまの塩焼き

塩焼きにするときに慣れないと焼けたかどうか中々分からないで困る方もいらっしゃいます。そのときは目を見てください。真っ白になっていればほぼ火は入ってますので焼き上がりです。

塩焼きにしたサンマを棒寿司にしたサンマ棒寿司

押し寿司・棒ずし

しかし秋刀魚は塩焼きだけではなく、料理を選びません。煮物、揚物、酢の物、干物、椀種と際限がありません。一部ではありますが紹介しておきましょう。

サンマは西日本以南では脂があまりありません。そこでそれぞれの地方に適した秋刀魚料理があるんですね。例えば紀州近辺では「さんまずし」や開き干し、北陸では「さんまのへしこ」といった具合。丸干しに加工したりもします。小さいのが「針子」ですな。

たくさんのサンマを入手したら刺身ばかりでは飽きるし、塩焼きばかりも食えません。

刺身に飽きたら最初は「酢味噌和え」でしょうな。
ネギ、味噌、生姜、卵黄、大葉等をサンマの身と共に叩く「沖膾」(なめろう)にしたり、それを茶漬けにした「孫茶」。あるいはナメロウを貝殻(ホタテやアワビ等)に詰めて焼く「さんまのさんが焼き」。これは鉄板でハンバーグ風に焼いてもいい。味付けも洋風にしてバルサミコなどを隠し味にしソースをかけてもいいですね。

イワシならぬ、さんまつみれの吸い物もサンマの旨味を味わえます。すり身を団子状にし、湯に落として作るだけです、ネギを散らせば充分。椀ならばすり身に色々な野菜を加えて作り、汁の味を濃くすればよい。

干物ならば味醂干しが面白い。
みりん醤油に漬け込んで干し、通常は焼くわけですが、これを利久揚げ(胡麻揚げ)にする。それをビールの肴にするって按配です。よく干して乾燥度を高めるといい具合です。漬け地に酒粕を加えると旨い。

キュウリやワカメを添えて酢の物にするのもよし。
〆すぎては不味いので、塩も酢も加減するのがコツ。

焼き葱等を添えて食べますとバランスもよろしいですね。

最後には南蛮漬けにするとよろしいですよ。なにせ日持ちしますので、日々の食卓に副菜として出すと残らず食べる事が出来ますからね。から揚げにして、落ち着いたら酢と醤油の液に鷹の爪を加えタマネギなどを一緒に漬けておけばいいです。

こいつは赤タマや茗荷の色部分を使い彩を出してあります。

骨ごと食べるなら筒切りにして煮るのもいいですね。

魚の切り方・筒切り

炭酸や酢を使わずとも、気長に煮込めば骨まで柔らかな煮付けになりますし、保存にもいいです。
 

揚げ物も良いですが、できれば煮物にチャレンジして頂きたいのが本音です。煮物はとかく若い方に「難しい」と思われがち。決してそんな事はないのですよ。

子供のいらっしゃるおかあさんにしろ、まだいないにしろ、子供さんに魚の煮物を出してあげるのは日本文化の存亡に関わる事ですので、まずはご自分で「美味しい」と思える煮物を食べてみることです。

自分が好きになった料理というのは作り方の難易度が低くなりますのでマスターが容易です。何度かやっているうちに上手な煮物ができる様になります。

レシピなどそこらじゅうに転がっておりますし、挑戦してみてください。板前魚山人としてのアドバイスは一つだけです。気が立っている時の煮物は不味く仕上がります。煮物は「優しい気持ち」で作ってください。(大らかな気持ちと言い代えてもいいでしょう)


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