かつお節の削り方  

かつお節を削る

 

かつお節を削ってだしをとる。なんていっても、ここに訪問された方の大半は鰹節削り器も、かつお節さえ見たことがない人が多いと思います。それはもう仕方ありません。周囲に無いのですからね、今は。

でもね、素人であれ玄人であれ、和食に手を付けるといつかは必ずここに来るのですよ。かつお節へ。

削りたての本枯のかつお節の香りを嗅ぎ、お茶くらいの湯に入れて鼻に近づけ、一口含めばその理由が分かります。

その「いつか」のために、ここにやり方を書いておきます。

鰹節の削り方

かつお節は、荒節(あらぶし)と枯節(かれぶし)の二種類あります。荒節は主に関西で使われ、昆布に似た黒に近い色をしているので、それと分かります。一般に売られている「削り節」の袋入りやパック入りはこの荒節を削ったものです。

一方で枯節はアスペルギルスという種類のカツオブシカビをつけたもの。カビを付け、それを落とし日干しに、またカビを付けという工程を繰り返して造ります。これを造るには最低でも四ヶ月、最長二年という長い時間がかかります。カビ付けを5回以上繰り返した鰹節を『本枯節』といいます。色は灰色。

カビによる効果で雑味が完全に消え、旨みの塊になったのが「本枯節」なんですね。まさに「枯れた風味」と言えまして、これが日本人に非常に合うんでしょう。

しかし、荒節は包丁が入るほど柔らかいのに比べ、乾燥の進んだ本枯はまるで石です。なので、乾燥が進んだものほど「削りにくい」です

ここでは極限まで乾燥させた「本枯本節」を使って説明していきます。

まずかつお節の方向を確認しておいて下さい。
どちらが頭でどちらが尾か分からないと削れません。

画像上の腹が雌節、下の背が雄節です。
(これが引っ付いているものが「亀節」です)

※雄節→背節、男節とも言う
※雌節→腹節、女節とも言う

こうして背腹二本に節取りされて別れた物を『本節』といい、小型の鰹の片身をそのままの姿にして作るのを『亀節』といいます。
(本枯の背節を指して、これを特に「本節」と呼ぶ場合もあります)

背節を逆にしてみました。

頭側の特徴は「切り口」です。

カツオをさばく時に、頭は包丁を入れて下に切断しますけども、尾を切り離すときは包丁を真っ直ぐに入れません(板前はやるが鰹節工場とか漁師はあまりしない)。尾の方は自然な形であるのに対し、頭側は断ち切ったあとが残ります。

雌節(腹)の方は簡単ですね
内臓部分の「えぐれ」がある方が頭ですから。

かつお節を扱う時は、下のような手袋をした方がいいです。

これは手を切らないための安全にではなく、手脂や雑菌をかつお節に移さぬ為です。かつお節は一日や二日で使いきってしまうような食品ではありませんので(通常のご家庭ではですが)

鰹節を削る時の筋目

かつお節には目があります。繊維の方向ですね。
その目を代表的な刺身冊切りとは逆に、縦方向に削ります。
鮪刺身のサク

目に従うので「順目」です。
そうしないと粉になったり、砕けてしまい、うまく削れません。

順目にする持ち方はこうです。
頭を内側(自分側)、尾が外側

鰹節削り器の鉋刃を自分の方に向けておきまして。
皮のあった方を上に、身の方を下にして刃に当てます。

そして鉋刃で押し切りします。

コツは手のひらの下部、手首に近い部分に力を入れること。
押すときに刃に当たったタイミングで、そうします。

力加減は矢印方向「入れてカクンと抜くような」加減にします。

こうすると自然に角度がつき、下のような面が現れます。

削り節を見ると過程が分かりますね。
下の方は粉状態で、段々に長さが出てきています。

この状態を「花立ち」と呼び、薄く長く削れると花立ちが良いと言います。
長さがあまりありませんけども、削り始めでもあるし(中程が一番長くなる)、二年物の本枯本節は石のように硬いのでこれくらいにしかなりません。通常の枯れ節程度でしたら、薄さ長さは自由自在に調整できます。

花立ちを良くするコツは手を動かす方向。
平面になってきたら角度を一定にします。

上下に直線に動かしていると、なかなか綺麗に削れません。
下のような方向へ押してみて下さい。

「真っ直ぐ斜めに右上に押し上げる」とでも言いましょうかね。
刃がかつお節に当たった瞬間右にずらしていくのです。
この感覚は大工さんならよく分かると思います。

削り進むうちに「菱形」になるようなイメージをもって、一面が深くなってきたら回すようにして角度を少しずつ変えましょう。

硬くて削り難いのが鰹節

さて、一番初めに戻ります。
削り始めるとき鰹節は粉になってうまく削れません。
これを嫌って最初に「水の力」「火の力」を借りようとするやり方があります。

でもね、何のためにカビ付けして乾燥させてるかって事です。
かつお節を普通の食品だと考えちゃいけません。こういうもんなんですよ、鰹節は。材木、しかも黒檀なみに硬い材木です。

カビだってお役所も認める優良種であり、身体に良い事はあっても毒ではありませんので気持ち悪がったりするのは論外。しかもこのカビは保存性を増します。

なので、「削る部分だけ」さっと拭き取れば充分なんです。

関連記事→かつ箱と鰹節

もしどうしてもうまく削れない場合は、鉋刃の調整が悪いか、かつお節が限度を超えた乾燥をして石のようになっているかです。まず鉋刃を調整して下さい。

鰹節削り器の刃の調整

鉋の具合が良くても、最初はどうしても粉になります。
平面になるまで辛抱ができず投げ出す方もいるかも知れませんので、なんとかする方法も書いておきましょう。

お湯や水に浸けておいてふやかす方法は問題外です。
それはかつお節1本を丸ごと食べる時だけにして下さい。

蒸気にあてるのも手ですが、蒸気は水です。
同じ理由で蒸すのもやめておきましょう。

よい方法は削る箇所だけ炙るやり方。
火から遠ざけて炙り、削ってはまた炙る。

しかしこの方法は使い終えたかつお節を「もろく」します。
それに前よりも硬くしてしまいます。「次回」の使用が大変。

そこで布巾を堅く絞って削る面だけ当てて湿らせる。
これが良いでしょうね。

でもカチカチの本枯節には効果薄。
布巾を湯につけ、堅くしぼり、それを削る部分にあて、ドライヤーの温風を3分ほど当てます。温風ヒーターでもよい。数分ならば削る面だけが少し柔らかくなる程度で全体的な影響はさけられます。

これはあくまでも新品の鰹節の削り始めだけの応急処置。
平面になってしまえば誰でも苦も無く削れますよ。
昔のお母さん達はみんなそうしてたのですから。

かつお節の保存方法

かつお節は常温で長期保存が可能です。ネットに入れて風通しのよい場所へ吊るすのがいい。ですが虫がつきやすいので、紙で包みチャック付きのポリ袋に入れ、袋を二重にして冷蔵庫で保存したほうがいいです。風の当たらぬ野菜室の隅へ。

一枚目のポリ袋に入れて

グル巻きにし

これを二枚目に入れ、口をしっかり閉じておきます。

※新聞紙で包まないようにして下さい。新聞紙は油分があります。
包丁など刃物には良いのですが、この場合は逆効果です。

※毎日使う場合は白菜の葉で包んでおいたり、湿らせた布巾で巻いておくと、翌日削りやすくなりますが、水分は確実に風味を損ないますので、やめた方がいいです。

かつお節を無駄なく使う

削れないほど小さくなった

ある程度数が集まるまで保存して下記のように。

・出汁にする場合、もう加熱を遠慮する必要なし
強火で煮出してお惣菜の出汁に

・吸水加熱でふやかして「おやつ」にしてもよい

・糠みそ床があれば少し分けて別の容器にて漬けておく
※普通の味噌でもかまいません

・てっとり早く少量の水を含ませ圧力鍋へ
その後好きな料理にする。粒みそと合わせると旨い


粉になってしまった削り節

何の問題もありません。使えます。

・普通にダシをとる。
(こし紙・布でちゃんと除けます)

・ふりかけ、たこ焼き、お好み焼き、焼きそば、お浸し、煮物などに

・醤油を加えてオニギリの具に、梅を加えてもいい

奴豆腐にのせればもう最高

だしの作り方
かつお節と鰹節削り器

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