和食の作法→懐石料理のマナー

 
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懐石料理のいただき方

懐石では最初に折敷(おしき)が出されます。
(足の無い膳です)

折敷には、左に【飯椀】右に【汁椀】、中央向こう側に【向付】がのります。
この膳はそのままで、料理だけが入れ替わります。

懐石料理の流れ

(1) 飯

会席とは逆に懐石では最初に出る
盛り方は「一文字」や「山形」「丸型」など流儀で異なる
いずれにしても「食べきれる量」しか入っていない

一汁三菜の「一汁」で味噌汁
関西は白みそ、関東は合せ味噌が多い
実は精進で季節の野菜などが主体

まずこの飯と汁をいただきます
ふたを上向きに返し右に。飯椀の上に汁椀を重ねる
飯椀も汁椀と置いた蓋が横一直線なるように
口をつけるのは汁が先。その後は交互

(2) 酒

ここで酒をすすめられます

杯を右手に持ち左手を下に添えてお酌を受ける
受けた杯は一度元の場所に置く
一同揃ったところで乾杯(最初の一献)

向付

お酒に口を付けたらいただきましょう

刺身が出ることが多いのですが、正確には向付は「なます」です
なので、合わせしょう油や酢がかけてあります
(酢の物や和え物の時もある)

向付は膳の中央向うにあります
その右隣に酒杯を置きましょう

(3) 椀盛

汁のふたが閉まった加減で椀盛が出されます
(椀盛は煮物とか平とも呼ぶ具沢山のすまし仕立て)
汁椀を引かれ椀盛が置かれますので箸を休めて軽く会釈を

ご飯のおかわりが欲しい時は飯をひと口分残しておく(つなぎ)

椀盛も滴がたれないように器を持ってもかまいません
具によっては懐紙を活用します

椀盛は膳の外、向付のあちら側に置かれます
ふたはその右に
食べ終えたらふたをしておく

(4) 焼物

一汁三菜の最後が焼物

大皿や鉢で人数分を盛ってあるのが一般的
(1尾丸ごとの姿焼きはめったになく切り身で骨なしが主体、姿は鮎くらい)

器に取り箸を付けてあるので、取り箸で空いた向付の器へ

※こうした場合次の客に会釈して「お先に」と声をかけること

替り鉢

一汁三菜の煮物の代わりに蒸し物、焼き物の代わりに揚げ物が出るケースも。
これを「替り鉢」といいます。
替り鉢と蓴菜

(5) 強肴(しいざかな)

一汁三菜の後に出る料理で「進肴(すすめざかな)」ともいいます

一般的には季節のものを3種ほど煮た「炊き合わせ」
あえて酒をもう一献という時は酒に合う酢の物や和え物など数種が

預け鉢(あずけばち)

強肴は「強いてもう一品を」の意ですが、預け鉢は、亭主が水屋で食事をする間にお客に預ける料理という意味。

似たような意味で【おしのぎ】(これは主に会席)というケースもあります。「あえて」の料理ですので、これらは省略される事もあります。
現在、これらは本来の意味合いよりも献立上の都合により采配されるのが普通です。

(6) 小吸物

「箸洗い」「ひと口吸物」ともいいます

「預け徳利」が出されて「献酬(けんしゅう)」へ
(お客同士の酒のやりとり)

その前に一通りの食事を済ませた箸の先と、口中を清める意味があります

小吸物は白湯でもかまいませんが、昆布の薄だしにわずかな塩味が多いです。
実は季節のものが申し訳程度に浮いているだけ。

これは膳の外、向こう側の右上に置かれます
小吸物の蓋は、中央(つまり向付の上)に置きましょう

(7) 八寸

酒の応酬(献酬)に合わせて出される酒肴

八寸長さの杉の木の器に、海山の二種の肴が盛ってある「はっすん」が出ます

この二種は全然違う料理を対角線に盛ってあることが多いです
※普通は動物性(海のもの)・植物性(山のもの)の二種である

主が一献し、海の肴からすすめ、次に山のものをすすめます

箸洗いが引かれます

(8) 湯桶・香物

懐石の締め括りです

「湯桶(ゆとう)」とは、お焦げ(湯の子)や炒った米にお湯を注いで薄塩を加えたもの
又、飯に湯の子をのせて番茶やほうじ茶で「お茶漬け」にする場合も【湯斗】とも書きます

香物(こうのもの)は漬物
3~5種を盛ってあります
向付の器で取り回します

湯桶を左手に持ち、汁椀には湯だけ
少し飯を残した飯碗に湯の子をすくってかけます

湯漬けをいただき両椀を清めたら紙で拭き取る
(漬物で椀をすすぐ事もある)
汁椀には元通り蓋を
飯椀のふたはひっくり返してのせる
箸は膳の手前に揃えて

これで懐石は終了です。

(9) 主菓子・濃茶

ここでようやく濃茶が出されます

主菓子は「上生菓子」という和菓子が一般的
本式の茶事では干菓子が出ます

※縁高(ふちだか)という重箱で出される場合もある
その場合は懐紙を折って取る

和菓子用の楊枝(黒文字)を用意しておけば安心
(黒文字は大概用意されています)

こちらを参考に
お茶の作法と和菓子のいただき方

※懐紙を忘れない
茶事でなく、料金を払って料理屋でいただく懐石であったにしても懐石料理の主旨は「おもてなし」です。したがって食べ残すのは礼に反します。仕方なく残す場合は持ち帰るのが礼儀。
残菜箱はなかなか用意できないかも知れませんので、懐紙で包んでもかまいません。他にも汁椀を清めたり魚の骨を見苦しく散らさないようにしたり、懐紙は必需品です。

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