そもそも砂糖って何?

  

砂糖って何?

中毒性依存的な種類を含めた精神的問題、虫歯、心臓血管系疾患、脂質代謝異常、肥満、高血圧、糖尿病、反応性低血糖症、そしてガンへの関与。こういった嫌疑が砂糖にかけられ、あたかもそれが証明済みの事実の様に声高に砂糖を非難される方々がおります。

「過剰に摂取すれば問題が発生しますが、だからと言って上の嫌疑が国際的に証明されている事実はありません」



残念な事にそれをまくし立てることで、経済的な収入としている種類の方もいるようです。でなくて、純粋に不安から砂糖の害を心配なさる種類の方も、明らかに誤解をもとにした見解を信じ込んでいる様子。

その結果として、「白砂糖は悪いが、黒糖や三温糖は良い」
などと誤った考えが定着しちゃう。
確かに黒糖はミネラルが少々多い。しかし砂糖からミネラルを摂取しなければならない理由がどこにあるんです?砂糖ってのは「あっても無くても別にどちらでもよい」食品にすぎないんですよ。「嗜好品」なんです。

再三砂糖の害を書いていますが、「砂糖の異常な摂取の仕方」が問題であって、砂糖そのものは単なる【嗜好品】であるといったスタンスで書いているつもりです。

「砂糖は太る」も思い込みです。
太る理由は明快にして単純。エネルギー収支の問題です。
消費される以上に食品(エネルギー)を摂れば太る。
ただそれだけの話です。

砂糖は10グラムで40キロカロリー、100グラム200グラム摂る「異常な人」以外は何も心配する必要などありません。

自分が一日に消費するエネルギーが2000カロリーならば、他の主要な栄養素とのバランスの対比で、それに見合った範囲内でなら「スィーツおおいに結構!」なんですよ。

問題はこの「異常な人」にあるんです。

清涼飲料水をがぶ飲みし、食事はジャンク・フードを時間帯のずれたドカ喰い。どちらかといえばアメリカ人がおちいりやすい習慣なんですが、今じゃ日本もアメリカもない。最近は「砂糖不使用」の飲料や菓子類が目立ちます。【高甘味度甘味料】砂糖の100倍から数千倍の甘みがあるのに低カロリーですから「ノンカロリー」の表示も可能って訳です。少量の使用で砂糖以上に甘くなりますので、企業にとっても経済的な物質です。

ブドウ糖系
糖アルコール系
タンパク質やアミノ酸系
ステビア系
スクラロース
アセスルファムカリウム
キシリトール

これらは甘み成分を人工的に合成したものの一例。大変便利で、アセスルファムカリウムなどはゼロカロリーでもあります。しかし本質的な問題は砂糖と変わりません。

本質的な問題というのは、結局は「人間側の問題」という事です。
物の側に責任などあるはずもなく、使う側の責任だという意味ですね。
正確には【使う側と消費する側】です。

そこかしこに異常なほど多くの清涼飲料水の販売機。
それだけ食べていれば食事が不要なほど高カロリーな習慣性を持つスナック菓子。これは使う側の責任。

だからと言って、それを消費する側に責任が無いなどとは言えません。誘惑にのってしまう責任ってもんがある。節度を守るのは、消費側の責任でしょう。
自分の身体を守ってやれるのは、自分自身以外誰もいない。そういう事です。

砂糖は有害か無害か
砂糖は麻薬の一種であるという考えを持っております。
しかし、ヒステリックな「砂糖は悪い」論には少し引いてしまいますな。

使い方の問題でしかありませんのですが、解決方法は「薬局」で薬として販売するしかないと思いますね。(絶対無理でしょうが 笑)

極端な事例を二つ。

「砂糖はカルシウムを奪い、その結果骨が脆くなる」

この対極として

「脳のエネルギーは砂糖しかない。だから砂糖を摂らないと頭が悪くなります」

両方とも問題外ですな、話になりません。こんな信じられない文句が活字や電波媒体に堂々とお目見えしていた事も実際にありました。

少し整理してみましょう。

砂糖とはショ糖(スクロース)です。
炭水化物であり単糖類のブドウ糖と果糖が結合した二糖類になります。
砂糖原料植物(サトウキビ・サトウダイコン)のしぼり汁からショ糖のみを抽出精製した純粋な物質です。

100グラムあたり約380キロカロリーを発生します。
10グラム換算で40キロカロリー。

ちなみに砂糖と同じく植物から精製した純粋な物質にコーンスターチがありますがこれは350キロカロリーです。

*ブドウ糖のみが複数結合したものがデンプンで、主にイモ類から精製します。コーンスターチの場合はトウモロコシから作ります。

デンプンそれ自体は甘くありませんが、デンプン分解酵素のアミラーゼが作用するとブドウ糖になり甘くなります。

ご飯が口の中で甘くなるのは唾液のアミラーゼでご飯のデンプンが分解するからです。この特徴を利用したのが甘酒であり、日本酒です。

さらに【砂糖不使用】のラベルの脇に小さく{ブドウ糖果糖液糖}あるいは{果糖ブドウ糖液糖}と書いてある清涼飲料水がありますが、これもこの作用を利用して果糖に変化させたものです。ブドウ糖の割合が多いのが「ブドウ糖果糖液糖」で、果糖の割合が多いと「果糖ブドウ糖液糖」と表示されています。

しかしこの「砂糖不使用」はマヤカシですね。
砂糖の悪い面は何も変わりなく、砂糖とまったく同じだからです。

砂糖不使用と表示できるばかりか、原料費をすごく安く押さえることができますので、このアミラーゼによるデンプン分解甘味(砂糖の代用)は企業がよく使います。

ブドウ糖が二個結合したのが麦芽糖(マルトース)でこれは水飴になります。
ガラクトース(脳糖)とブドウ糖が結合したのが乳糖(ラクトース)で哺乳類の乳汁にあります。

黒砂糖は精製が荒いだけで白砂糖と同じです。多少ミネラル分がありますが、砂糖からミネラルを摂るなどという考えは無意味です。従ってカルシウムやビタミンを添加した「健康砂糖」は意味が分かりません。砂糖は砂糖として使えばよい物であって、砂糖で健康になろうなんて発想はお笑いですな。

三温糖も和三盆も風味は良いかも知れませんが白砂糖となんら変わりはありません。白よりヘルシーだというのは幻想です。菓子作り等に重宝すればよく、ヘルシー指向とは関係ないはずです。

以上は糖質系甘味料で炭水化物です。

甘味料は砂糖ばかりではありません。
「ノンシュガー」、「カロリーオフ」などの表示がされる低カロリー甘味料もあります。

「リンゴを食べると虫歯になりにくい」聞いたことがおありでしょう。
これは林檎にソルビットが含まれているからです。

ブドウ糖や麦芽糖の一部を人工的に水素と結合させると「糖アルコール」になります。ブドウ糖をこうするとソルビトール(ソルビット)に。麦芽糖はマルチトール(マルチット)に。乳糖はラクチトールに。植物のキラシンという物質からはキシリトールができます。

これらの「糖アルコール」は砂糖と同じ甘さがありますが、エネルギーは約半分です。腸で吸収されにくい性質があるからです。

先ほどのリンゴの件ですが、あれは誇張であり林檎でも他の食品同様食べカスを放置すれば虫歯になります。虫歯の原因菌はストレプトコッカス・ミュータンスでして、この菌の大好物がショ糖です。

このショ糖と同じくブドウ糖と果糖からできた二糖類でありながら、虫歯菌のエサにならない甘味料にパラチノースがあります。しかしこのパラチノースは先の糖アルコール類とは違いエネルギー自体は砂糖と同じです。

古くはトルエンなどから合成されるサッカリンナトリウムがあります。
一時は発癌性を疑われましたが誤謬だったらしく今は発癌性物質リストから削除されています。痺れるくらいの甘さが特徴で現在の日本では敬遠されていますが、甘味大国アメリカでは相変わらずバシバシ使用されてます。

ステビアという菊科の植物からステビオサイドという甘味物質を抽出したもの。ショ糖の分子を塩素で加工したスクラロース。アミノスルホン酸とジケテンを科学反応させたアセスルファムカリウム。

たんぱく質からも甘味料はできます。
ソーマチン(タウマチン)はアフリカ産のタウマトコッカスダニエリという植物から。
アスパルテームはアミノ酸のアスパラギン酸とフェニルアラニンが結合したジペプチドです。

これらの甘味料は「高甘味度甘味料」と言いまして、その甘さは砂糖の数百倍から数千倍にもなります。ですからほんの少量で甘くなり、従ってカロリーも低減します。いかにも人工的な感じがして「体に悪そう」ってイメージもありますが、人工的なのは砂糖もまったくもって同じ。

砂糖の有害、無害はその【使用量】の問題ですので、甘味の強さにより量を減らせるこちらの方がメリットがあるという考え方もできます。

米国では何か規制を加えて糖分摂取を抑えようとする動きがみられます。ソフトドリンクもタバコと同じにしようって寸法でしょうかねぇ。しかし異常な甘味大国ですんで、この動きは仕方ない面もあるんでしょう。

WHO/FAOの見解では、食事中の総熱量に占める糖類の熱量を10%以下にするのが望ましいとしています。(熱量=カロリー)

またWHO/FAOは現段階では虫歯以外の砂糖への疑惑(肥満、高血圧、糖尿病、ガン等)は認められないともしています。

砂糖はカルシウムを奪い骨を脆くする、これもデタラメですが、去年CMで流れた「砂糖は脳の唯一のエネルギー源」ってのはひどい。唯一のエネルギー源は砂糖ではなくブドウ糖(グルコース)です。

砂糖は食品として有害ではないが、摂取量を誤れば有害。
これがまともな学者さんの考えでおそらくは正解でしょう。

しかし摂取量を誤れば有害ってのは「全食品」に共通ですよ。しかも食品だけじゃないですなこりゃ。「ありとあらゆるものすべて」は過剰になれば有害ですわ。

食品を作る現場(例えば工場とか料理を出す店の調理場)をね、学者さんは見た事がないんじゃないか。机上での計算だけじゃないか。おいらはそう思います。過剰なんてものじゃありませんよ。

簡単に量を抑えることが可能な酸を加えた転化糖を使う職人も現れましたが、寿司のシャリにどれだけ砂糖を使ってるか知ってるんすかね?

塩しか使わないシャリの寿司を食べた事ありますかっての。
野菜自体の旨味を消すだけの「甘酢」の割りは色々ですが、手鍋半分量の酢に上白糖を500グラムから1キロ近くぶちこむ。

なんでこんなものを使って酢の物を作る必要があるんですか?

キュウリなんぞ栄養と旨味が抜けてスカスカにしかならない。でもキュウリの酢の物には甘い酢って決めちゃってる。

食べ物作る場所には必ず砂糖の袋が何十キロも用意されていて、いつでも手の届く場所にあり、これだけは在庫切れになることは無い。あまりにも頻繁に使うからです。菓子屋ならともかく何で普通の料理出す場所がこうなってるんだって話。

元々砂糖は調味料としては新参者。
200年前には使われてなかったけど、その時代には料理が無かったのかと言いたくなりますよ。なぜ新参者がこんなにでかい面をしてやがるのか。

砂糖自体は無害だとしましょう。
しかし料理の調味料としてならあきらかに有害です。

これは議論の余地がありませんな。砂糖が大衆化したこの100年あまりの料理文化をよく御覧になれば分かることです。

塩は素材の持ち味を引き出しますが、砂糖は素材の持ち味を消すだけで、その特性を逆用して素材の悪さを包み隠す結果になり、人間の舌を幻惑させる(馬鹿舌にする)だけです。

塩は自動的に過剰をセーブできる食品(そもそも沢山使えない)ですが、砂糖はブレーキ無しの暴走車ですよ。少しで収まらないから現在の使われ方があるんです。

世界の砂糖生産量は30年前の1億トンから1.5倍くらい増加しています。
しかし国内の総需要は年約230万トンで横ばい状態。

あなたは自分のストイックさに自信がありますか?
そういう問題に帰結すると考えています。