盆・膳・杉八寸・番重

盆・膳・杉八寸・番重

膳や盆を器の一種と考えますと、長手盆とか番重、トレー、まな板、こね鉢ボウル等々調理関係の器具をも器に含めなきゃいけません。もちろん食卓を彩るものですから器の一種と考えてもかまわないと思います。ですがそういうものは上のカテゴリである「什器」という事になりましょう。

ここでは「料理を盛るもの」あるいは料理と直接触れるものを器としますので、器と呼べるのは「八寸」くらいのものだと考えますけども、一応下記で簡単に紹介しておきます。

八寸

八寸とは八寸(24㎝ほど)四方の杉盆で、懐石に使う折敷(おしき)でして、これも本来は器を載せる膳ですけども、これを器として前菜を盛るケースがあります。

八寸は元々神事に使うもので、神社などでは必ず見かけるものが原型。「お供え」をのせる敷物とか台ですね。

これを茶道に取り入れたのが茶祖利休だと云われています。
八寸角の杉のへぎ木地の角盆に飯・汁・向付を乗せて茶を提供する前の腹作り軽食としたのです。これが懐石料理の始まりということになっております。

時は流れ次第に八寸は酒肴を盛る器となりました。そして現在では「膳」という概念を超えて「八寸は和食の献立」になっています。

和食では八寸という言葉だけが生き残って肝心の杉四方膳は見なくなり、代りに八寸皿や前菜の盛器などが主流。これを「八寸」と呼ぶケースが増えました(つまり八寸くらいの皿や板、盛台などです)
料理を載せるのですから、白木よりも塗りが具合良いですからね。

ですが正式な茶事の世界ではまだ健在。
一部の料亭などでも使用されています。


杉八寸盆

器として使う場合は。使用する前に杉・竹箸と同じく充分に水を吸わせて湿らせておきます。水気を切って左手前に山の肴、右向こうに海の肴。二種を対角線に盛ります。もちろん曲物ですから「つぎめ」は写真のように向こう側です(丸い曲物は継ぎ目が手前)

盆と膳

盆と膳の違いは簡単にいえばトレイとマットの違いです。
膳は別名銘々膳と呼び、一人前の料理を載せる台で、日本膳は足つき。
盆は平たい容器の事で器を運搬する用途に使います。

現代は畳上で飲食することは減って座卓やテーブルが多くなり、日本膳は減少。代わりに卓で使える会席膳やマット類が増えました。

本膳系(日本膳・宗和膳・花車膳・政宗膳)


宗和膳


政宗膳


日本膳

懐石盆


木製梅型懐石盆吟朱塗

大型盆(番重・脇取盆)

飲食業では古くから旅館などで使われております【脇取盆
これは宴会などの上げ膳、下げ膳に使われます。

番重(ばんじゅう)とは食品業界で運搬に使う箱(コンテナ)です。工場などあらゆる場所で使われてる樹脂製のコンテナ、アレの事です。これが脇取盆よりも大量に手早く、しかも飲み残しの液体をこぼしても大丈夫という事で合成樹脂になってからは飲食業でもよく使われます。もちろん仕分けや配達にも便利。


脇取盆


番重


番重 大

これは菓子用の小型番重です


菓子用番重