「けんちん」とは、【けんちん地】を材料にした料理の総称。
「けんちん汁」「けんちん煮」「けんちん焼き」「けんちん豆腐」
そして代表的な献立が「けんちん蒸し」(巻繊蒸し)
けんちん地は、大根、人参、ごぼう、筍、木耳などを細切りにして油で炒めて調味、豆腐を崩して加え、さらに炒めたもの。
このけんちん地を、湯葉で巻いて油で揚げた春巻き様の料理が元々のけんちん(巻繊・巻煎)であった。
中国から長崎に伝わった「卓袱・普茶」のひとつであり、巻繊(あるいは巻煎)と書いて「けんちぇん」と読んだのが、「けんちん」に転じたとされる。
(長崎の卓袱と似た歴史のある琉球料理。現在の沖縄料理に「豆腐チャンプルー」なる料理があるが、これは巻繊地の作り方と類似性があり興味深い)
また、建長寺の僧が精進料理として作ったとされる「建長汁」は「けんちん汁」の原形だともいわれる。
しかしながら、原形がどうであれ現在の和食で「巻繊」と呼ばれるものは上記の【けんちん地】を元に、さらに一段手を加える料理である。