沖縄の食材と料理
沖縄は本土と異なる亜熱帯気候ですので(奄美以南)、四季が明瞭ではないのが特徴です。従って産する動植物の形態も当然ながら違ってきます。
野菜ではゴーヤー(ニガウリ)、ナーベーラー(ヘチマ)、ターンム(タロイモ/田芋)、ウリズン(シカクマメ)、パパイヤ、シマナ(カラシナ)、ンジャナ(ニガナ)、シブイ(冬瓜)などが目を引きます。大根や人参などは本土同様よく使われます。
魚ではグルクン(タカサゴ)、タマン(フエフキダイの類)、イラブチャー(ブダイ)、アバサー(ハリセンボン)、エーグァー(アイゴ)といった魚板前としちゃ引いてしまうような生臭い熱帯魚系がいますがこれは水温が違うから仕方ない。反面、ミーバイ(ハタ)、赤マチ(オナガ)、シチューマチ(青ダイ)、クブシミ(コウイカの類)なんていう本土でも高級な魚もいたりしますし、グルクンは惣菜魚としては極上だと思います。
貝はアジケー(シャコ貝)やヤコウガイ、テラジャー(巻き貝の類)など。
沖縄といえば豚肉料理。1頭の豚を徹底的に余すことなく使います。 観光コースでもある那覇の牧志にある公設市場に出かけて、豚の頭に吃驚された思い出をお持ちになる方も多いことでしょう。
ラフテーやソーキは三枚肉から、耳の軟骨部分ミミガー、顔の皮チラガー、豚足のティビチ、内臓や血はナカミやイリチー、塩漬けはスーチカー、脂身はアンダカシーやアンダンスーといった具合。
徹底的に煮込んでアジクーター(濃い味)に焚いたラフテーは、脂身嫌いのおいらでも喜んで脂ごと食べれるくらいの美味さ。それほど無駄な脂が抜けてます。

らふてい
ヒージャー(ヤギ)もよく食べられます。パーティ(特に沖縄ではビーチパーティ)などの定番。フーチバー(ヨモギ)やショウガで煮込んだヒージャー汁の他刺身でも。
特筆すべきは豆腐の美味さ。
地のニガリで固めた「島豆腐」も、柔らかい「ゆし豆腐」(寄せ豆腐)も絶品です。落花生(地豆/ジーマーミ)で作る「ジーマーミ豆腐」も沖縄ならでは。
ジューシーは雑炊なんですが、料理屋ではむしろ「炊きこみご飯」に近い作り方をします、そのほうがフーチバージューシーなんかと違い高級な具を使えるからでしょう。
当地で産しないのによく使われる食材も多く、小麦や昆布がその典型でしょう。小麦粉では沖縄そばや車麩(麩チャンプルー、麩イリチーなどの定番料理)
昆布はもう産地北海道や本土の人に見習ってもらいたいくらい徹底的に利用されます。クーブイリチーなんかのチャンプルー系、オカズなどの煮物系の様にダシだけではなく初めから「食べてしまう」事を前提とした料理が非常に多い。アーサ(アオサ)やスヌイ(モズク)、海ブドウなんかと同じでこれは健康的ですよ。
小麦粉で作るサーターアンダーギー(砂糖てんぷら)

沖縄料理の概要
沖縄料理は台湾料理や薩摩料理との類似点がよく言われますが、歴史的に中国の福建との結びつきが強く、料理もやはり中国の影響が絶大でしょう。しかしそればかりではなく、日本や東南アジア諸国との交流も盛んでしたから、そうした複数からの影響を受けて琉球独自に発達したものと言えるのではないでしょうか。つまり沖縄料理は沖縄の料理だってことです。
しかし戦争のおかげで日本本土との交流が途切れてしまい、それが現代沖縄料理に深い影響を与えている様です。戦後長い間アメリカの軍政下でしたので食文化にも影響があり、その代表が牛肉。
ビーフステーキの専門店が多く、ハンバーガー、ホットドッグ、ピザ、タコスなども本土より先行して普及していました。コンビーフハッシュとかキャンベルスープなんかは家庭の常備食。ポークランチョンミートの消費量は飛びぬけてまして、チャンプルーから味噌汁まで、なんにでも使われます。
《沖縄県民は平均寿命が高いと言いますが、これは70代以上の高齢者が平均を上げているもので、50代以下の平均余命を調べてみると、逆に全国各県の平均を大きく下回っておりまして、これは明らかにアメリカ式食生活が普及して肉食県民になったからでしょう。
寿命の高い世代の主食が芋や雑穀という粗食・貧食だったところに注目すべき。(本土でも同じ現象がありますが)*豚肉の消費増大も実は戦後からです。広大な米軍基地の迷惑さ加減は広く知られますけども、実は一番の「米害」は「食文化」だと考えていいかもしれません。》
→健康食としての沖縄料理【薬膳とヌチグスイ】
泡盛
しかし沖縄と言えばやはり泡盛ですなぁ。酒としての完成度と値段の比率から考えるとこれ以上の酒を探すのが難しいくらいです。2004年以降は泡盛業界も厳しい状況ですが、なんとか頑張ってほしいもんですよ。
*「のり」に使うコメを転売して問題になってる業者が、「経営が苦しかったから」ってな幼児としか思えん発言をしてますが、泡盛は「タイ米」を使用してます。
面白い泡盛ボトル。表には沖縄県魚のグルクン。

ここにはタマンが。

ターキーが好きなおいらは強くても平気なんで、泡盛でも「花酒」をたまに飲みますが、「どなん」よりはこちらが口当たりが柔く好きです。

酒税法上60%もあれば焼酎とは言えないんですが、与那国島の三銘柄「どなん」、「与那国」、「舞富名」は特例で、これを「花酒」と呼びます。乙類焼酎のアルコール度数は45%以下っていってもそれはあくまで「税法」ですから酒そのものとは無関係ですしね。
それにしても困ったもんですわ。
泡盛の美味さには。

オリオンビールも泡盛も本土で手軽に味わえる様になりましたが、これらは沖縄の気候風土に驚くほどマッチしており、「沖縄の空気」という「肴」で飲んでこそ、その真価を発揮します。今年は色々とあって残念ながらまだ一度しか沖縄に行ってません。年内にもう一度行きたいとそう思っております。思い立ったらそわそわして落ち着きがなくなってしまうってところが沖縄の魅力なんでしょうか。
2008年09月11日
Comment
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お疲れ様です いつもご返事ありがとうございます。深く考えさせられるお言葉ばかりです。焼酎業界も揺れていますね 知らずに使っていた所もあるみたいですが 自社が使うもの 徹底して品質を見極めることが これからいろんな業界に必要になると かんじてます もちろん自分にも言えます。 沖縄ですか…10年くらいまえに 板場を移るとき 1ヶ月時間を作って 西目指して車で友達と旅しました 当時は今じゃ吐き気がするくらい大酒飲みでした(笑)アル・パチーノに痺れてる若造でして ジャク ダニエルばかり飲んでましたね 料理屋とバーをまわりながら その土地の人たちのいろんな人生をみました 鹿児島から 桜島を背に本土よ さよなら~ とカーへリーで沖縄にいきました ゴーヤがすきで毎日たべてましたね 泡盛もたくさん飲ませていただき 沖縄の人たちの情でまた酔い 自分は南国的な濃さの顔ですから すぐ溶け込んで(笑) 現在は近所の沖縄料理さんにたまにいきます 魚山人さんのブログにかかれているような 本格的な食材は使ってないですが いろいろ知ることができましたので 次にいくときはまた楽しく飲めそうです 泡盛は沢山おいてありましたから こちらから泡盛情報でも伝えられれば… あまり揚げ物はたべないんですが なぜかそこの バナナのフライが泡盛に合うんですよ(笑)ジーマミーもよく食べます 片栗粉だけで練る作り方みたいです。 余談ですが蕎麦道具を揃えました。事情で年内には始めれそうです。 失礼しました
Posted by たいら at 2008年09月11日 17:06
お疲れ様ですダイヤ
蝉の声が今日ゎ聞こえなかったよるんるん秋なのかな?
『沖縄県』
行ったこともネェし
巷で見かける沖縄料理店にも入ったことすらネェ…
海ッペリの町にゎ昔っからの沖縄県人達が 生活してる所があんだよ 横浜鶴見にゃね!
泡盛バー
確かにヤバイ酒とっくり(おちょこ付き)
一度行ってみっかなぁ-
鶴見の沖縄ぴかぴか(新しい)
爺ゎぞっこんみたいだし-
(笑)
実際に沖縄県にゎ経済界に無理なんで(笑)
あえてカキコミしますが
俺ら世代の横浜人ゎ
どうも沖縄が苦手なんすあせあせ(飛び散る汗)
ごく一部の方々が あまりに不作法だった為に…
最近ゎマスコミが 頑張ってますんで 『沖縄時間』なる
SlowLifeが魅力的なんだろねダイヤ
豚ゎどうも苦手なようで僕美味いと思ったことがない(┰_┰)
ポークチャップのロース肉
脂身ゎ必ず弟にあげてたなぁ-(笑)幼少期ニャ!
でね爺?他の古い記事に
カキコミしてもいいんすかぁ?
蛸の記事にカキコミしたいんだけど…
グルクン魚
唐揚げなら美味そうだね
空揚げでなく唐揚げ†
あくまでも手(パー)
石垣島に永住する人達
増えてますネェ-最近
荒らしにならないよう
お願いしたい反面
んじゃ都会が どんだけイカレてんのか…
爺…
?
Posted by SILENT† at 2008年09月12日 02:04
たいらさん。
沖縄の食材は好みがはっきり分かれるモノが多いのが特徴でしてね、おいらも好きな物、嫌いな物が極端に分かれます。
手離しで何でもかんでも美味いとはお世辞にも言いません。
泡盛も同じ事でして、泡盛バーなんかにゃ笑えますよ。
そんなに沢山の銘柄をどうすんの?って感じですか。
20年以上各種泡盛を試してますが、結局飲んでるのは数銘柄だけですね。
食も情もとても一筋縄ではいかない難しさ。
おいらはそれが沖縄の魅力だと考えています。
Posted by 魚山人 at 2008年09月12日 05:44
SILENTさん。
なるほどね(笑)
実際の話、板前業界にや沢山いたね、昔。まだアムロちゃんやスピードや踊りのニィニィグループ(だぱんぷ?)がブレイクするはるか前。ウチナータイムやその他エエカゲンにうんざりさせられた業界人も多数でしょうな。しかしキチンとした男もいたわけで・・・
鶴見ね、あまり行きません。特に沖縄ブーム以来店増えたから行く必要ないし。
昔はイチコクを通る時にぁ東寺尾あたりでハンドル切ってたんですけどね・・・
あなたは行かない方がよいでしょう。よけいに沖縄嫌いになるだけです(笑
おいらはホテル関係の助でむこうに住んだ経験がありますが、最初はウチナータイムにウンザリし、沖縄そばにも、泡盛にも見向きもしませんでしたよ。エラブチャーなんかは「使えない」と業者に突っ返してました。すべてに慣れるまで時間がかかりました。
ですから「南国的な雰囲気」だけで移住を考えてる方は覚悟が足らんと思いますよ。そんな気持ちじゃ暮らしていけんでしょうな。
ナイチャーを排斥する雰囲気は多少薄れてきたものの今だにあるし、沖縄の方言は大人になってからはとても憶えられるシロモンじゃありませんしね。
しかし、だからどうしたって話なんですよ。
日本全国、世界中、どこ行っても同じですよ。
良いとこもあれば当然悪いとこもある。変わりゃしません。
行くなら当地のマイナス面もしっかり把握してから。それが常識です。
都会も田舎も同じでして、自分が変わんなきゃ例え宇宙に行っても何も変わらない。そういう事でしょうな。
>古い記事に カキコミ
お好きにどうぞ(笑)
Posted by 魚山人 at 2008年09月12日 05:45