閖上の赤貝


このサイトには広告リンクが含まれています

閖上の赤貝

宮城県のSさんから春の便りを頂戴しました。

こんな感じのお便りです。

>今朝の朝刊の【日本一のアカガイ再び】という見出しが嬉しくて
>記事を添付しメール致しました。
>私の職場付近は約2mの浸水でしたが、
>がんばって復旧しています。
>宮城県 S

日本一のアカガイ再び 震災後、初水揚げ 名取・閖上

東日本大震災で壊滅的な被害を受けた宮城県名取市の閖上漁港で25日、アカガイ漁が再開された。質、量ともに「日本一」と称される閖上沖アカガイの震災後初めての水揚げに、関係者は「復興の第一歩」と喜び、港に活気が戻った。

水揚げは例年の3倍以上となる約70キロ。1個当たり130グラム程度と大きさもまずまずだった。
 仲買人による入札では、1キロ当たり1500~4800円と例年に比べ若干の高値が付いた。東京・築地などに出荷されるという。
 宮城県漁協閖上支所は、津波で所属の漁船・釣り船約100隻をすべて失った。

 「アカガイは閖上の復興のシンボル。漁の再開で、ようやく復興の第一歩を踏み出すことができた」
漁は来年の6月末まで続く見通し。

河北新報ニュース

閖上(ゆりあげ)の赤貝は江戸前鮨職人の憧れ。
本ダマは文句なしの日本一でしょう。
どういうものか閖上の赤貝は飛び抜けて味が良いんですよ。
姿形も良くて美人や男前揃いなんです。

赤貝はフネガイという奴の仲間で貝類では唯一ヘモグロビンがあります。
ヘモグロビンはヒトの血液とほぼ同じ成分で、鉄分が赤色を呈します。
(正確にはエリトロクルオリンというヘモグロビンと似た色素)

この特徴から「赤貝」と呼ばれます。

赤貝のさばき方

まぁ、寿司屋じゃ外せないネタの一つだと言えるでしょう。

仙台空港の惨状をテレビでご覧になった方も多かろうと思いますが、あの空港があるのが名取市。この空港に関しちゃ、アメリカ空軍第320特殊戦術飛行中隊(嘉手納)の迅速な動きに頭が下がったもんですよ。なかなか出来るこっちゃありません。ありがとうアメちゃん。そして駐日アメリカ大使のルースさんにもお礼を言っておきます。

津波は閖上漁港から名取川を遡り甚大な被害をもたらしたのです。
あの港の近くには寿司屋や魚料理の店が多く、心を痛めておりました。

そういう意味もあり、Sさんからのメールは感激でした。
これに先立ち、気仙沼の美味い牡蠣も出荷に成功したと聞き及びます。
マイナスからの再生・再起。
それを可能にした「人間力」と海の深い恵み。
まだまだ道は険しいと思います。先は長い。

思うことはね、
結局「こだわり」を持ってきた者が残るという事実です。
時流に流されず、先が見えない中でも「信念」を貫いてきた。

信念と言っても単純なことですよ。
「美味いものはうまい」、それだけの事です。

だが、ケツの軽い世の中でそれを守るのは厳しい。
「経済的理由」「その他いろいろ」でヒトと同じになってしまう。
下らないと思いつつ周りに合わせてしまう。
その結果「同じようなツマラナイもん」を作ることになる。
だから「流行」が終われば皆と同じく駄目になるんです。

日本で一番アテにならないのが「ブーム」という奴なんです。
中身が空っぽなのに皆が騒ぐという馬鹿げた現象。

「本物」ってのはね、いつの時代でもブームとは無縁です。
頑丈な根っこが浮ついた風を寄せ付けないからですよ。

そこをよく理解して復興を目指してもらいたいと切に願います。
都会なんぞクソクラエですよ。何もありゃしません。
「本物はどこにあるか」それを考えて頂きたい。

赤貝の旬は12月後半から6月まで。つまり「春の幸」です。
まさに春の便りです。

お礼として、おいらからは赤貝の握りを贈りましょうかね。
大空へ向けて羽ばたいて欲しい。
鶴のように華麗に雄々しく美しく。
そのように見えてくれればいいんですが、ムリかな・・(~_~;



Comment


手前板前.魚山人:The person who wrote this page筆者:文責=手前板前.魚山人