「ちりめんじゃこ」とは「しらす」を塩水で釜茹でし、水分を機械や天日で乾燥させて縮緬状に加工したものです。
選別しただけのものが「生しらす」
板状にして干したのが「たたみいわし」(ほぼ片口鰯)
茹であげただけのものを「釜揚げしらす」
干しを甘くし塩分が濃いのを「白子(しろこ)」
七分乾きくらいまでを「シラス(白子)干し」と呼ぶ
カチカチに干したものが「上干(じょうかん)」
または「かちり」
これを「ちりめんじゃこ」と呼びます
左から、「釜揚げシラス」「生しらす」「しらす干し」「ちりめん」

シラス(白子)
シラスとは特定の魚種を指すものではなく、まだ体に色素が出ていない白い稚魚の総称。主にカタクチイワシ・ウルメイワシ・マイワシ・イカナゴ・アユなど。シラス網は目が細かいので、イカ・タコ・アジ・サバの稚魚はもちろん、エビやカニの「ゾエア幼生」とかプランクトンまで混入します。これらは漁獲後に選別作業で除かれます。
ウナギの稚魚も白子と呼ぶが、穴子の「のれそれ」と同じくこれはレプトケファルス。ちりめんじゃこを作るのはほとんどがカタクチイワシで大きさは35ミリ以下がシラス、50ミリまでを「かえり」と呼びます。西日本ではイカナゴも多用します。
ちりめんじゃことしらす干しの呼び分けが曖昧になってきております。元々関東では春物が好まれる風潮からか、生乾きの白子干しが好まれておりましたので、昔は「シラス」は小振りの白い姿でシワなどなく塩辛いものとされ、一方で縮緬じゃことは薄茶系でシワシワカチカチの品物と、はっきり区別されていました。
これが混沌としてきたのは80年代くらいからの例の「健康ブーム」が影響しており、「グルメブーム」がさらに拍車をかけていましょうか。と言いますのは関東で言う白子は乾きが甘いので塩分が強いが、関西系のチリメンジャコはいかにも「健康的」だからです。
(違いは水分量と塩分だけで栄養は同じ)
元々病的な白色が人気だったんですが、よく考えれば塩分も高いし漂白したような真っ白い白子干しよりちりめんの方が健康的で旨そう。
それでも我々から見れば「白子は白子だし、ちりめんはチリメン」。これの区別がつかぬなど考えられません。よもや「ちりめんじゃことしらすの違い」を説明しなきゃいけない時代になるとは、日本の空洞化と言いますか食道化というか、道化ですな、まさしく。
ある「思惑」が消費者を意図的に混沌に導き無知にする。沢山あるこのパターンに見事に当て嵌まる一例かも知れませんな。食品はこうした例が非常に多く、スーパーを見回せばそんな品物で溢れておりますね。近年それが馬脚を見せ出したので「食の安全」への疑問が噴出したのでしょうが
まだまだ「道は遠し、霧晴れやまじ、ここは何処の森の中」ですわ。
さていつものごとく横道にそれてしまいました(笑)
話を元に戻しましょう。
春シラスの「春子」も良いが、「秋子」の「秋しらす」は美味いってところからでしたな確か。
「秋しらす」が絶品でも「実山椒」は初夏のモン。でも「秋しらす」で『ちりめん山椒』が食いたい。ですんで初夏に頑張って多目に丹波の実山椒を買い込んでおきまして、-50℃の冷凍ストッカーに保存しておきましたのを使います。生山葵もそうですが、-50度ともなれば、香りもほとんど消えません。色も香りもほぼ生状態と遜色がないのです。(もちろん旬生が上ですが)