食用に限ってアジを大きく分類すれば、マアジ、マルアジ、ムロアジ(室鯵)、シマアジ、カイワリ、ギンガメアジ(巨大なロウニンアジもこの属)、そしてアジ科の仲間で重要種であるブリ(ハマチ)、カンパチ、ヒラマサ。
ムロアジ(室鯵)に属するアジも尾の赤い「オアカムロ」やクサヤにする「クサヤムロ」「ムロアジ/ホンムロ」など約10種類。
それにシマアジ(縞鯵)、カイワリ(貝割)、イトシキアジ(糸引鯵)など菱形のアジ。それとブリ類。これらも大事な食用種のアジ類ではありますが、それらを詳細に書きますと記事に収まりませんので、これらは割愛します。
なにしろムロアジと「アカゼ」はどう違うって魚屋同士で意見が割れたり、「赤鯵」という見た目はオアカムロにそっくりな「ヒメ」なんて鯵もいて、ややこしい限りですので。
また、比較的馴染のあるマルアジ(アオアジ。東京では丸、沖縄ではナガイュー)とか眼アジも除外して、ここでは『マアジ(真鯵)』だけを紹介します。
※関西ではマアジを赤アジ、ムロアジを青アジと言います。
※沖縄では大きなロウニンアジやヒラアジなどを含めアジ科の種が豊富で、これらを一まとめにする便利な言葉『ガーラ』ってのがあります。種類が分からなければ、これは「ガーラだ」で済むわけですね。実際の話、専門家にしか細かい名前など覚えられない多彩さですので。
さて、桜の散る今頃の季節になりますと、いよいよアジが北上を開始しまして、夏場の最盛期が目の前です。サバを紹介すれば当然旬のアジを書かないわけにはいきません。
ややこしい仲間は除きましたので、マアジに絞り込んで話をいたします。アジといえば自動的に真鯵を指すと言ってよいでしょう。
《ホンアジ、メダマ、アヅ、ノドクロ、キアジ、クロアジ、キンアジ、アカアジ、ヒラアジ、オオアジ、トツカワ、ゼンゴ、ゼイゴ、キンベアジ、》これらは全部真鯵(まあじ)を指した地方名です。
マアジは全部で13種ほどいまして、ゼンゴの棘が70個前後あり、この数やなんかで細かく種類分けできますが、そんなもんは魚類図鑑あたりに任せておけばよい話で、我々には関係ございません。
重要なのは、マアジは2種類に分かれるってことです。沖合いを南北に回遊する型と、沿岸に定着する瀬付き・根つき型の2型です。
回遊型をクロアジ・ノドグロなどと呼び、背の黒色が強くシャープな体型で身に締りがあり、食味は潮の風味が濃い。少しムロアジと似ている。ゼイゴの突起が大きい。

クロアジ
瀬に居付くタイプをホンアジ・ギンアジ・キアジと呼び、体色に黄色味が強いのが特徴。脂があるので市場価格は高くなります。
所謂「根アジ・釣りアジ・黄金アジ」の名で付加価値も付く訳です。そのせいなのか近年資源が減少しており、昔ほどは獲れなくなりました。「高級魚化」の弊害かも知れませんな。

キアジ
輸入のマアジは南太平洋に生息する「ミナミマアジ」と「ニュージランドマアジ」。オーストラリアとかニュージランドから輸入されてます。あと大西洋から「ニシマアジ」も輸入されています。