マツタケの扱い方  

マツタケの扱い方

国産松茸の現状
その昔は、秋になると当たり前の様に国産マツタケが大量に出回り、秋の味覚の代表だったものですが、人々の生活に落ち葉や薪が不要になった事で山が荒れて松茸は激減し、いまや国産松茸は極少量しか採取できません。(昔は5000トンあった生産量はいまでは100~200トンくらい)

しかし日本人のマツタケ好きは半端ではありませんので需要は途切れず、その結果日本産マツタケは信じ難い高値になっております。

なかなか手の出せる金額ではなく、従って諸外国からの輸入品で間に合わせるという事になりましょうか。朝鮮半島・中国(四川省、雲南省、吉林省、黒龍江省)・北欧(スウェーデン、フィンランド)・北米(アメリカ、カナダ)といった具合です。ブラジル、トルコやモロッコ、ラオスやブータンなどからも輸入されています。
特に北欧産のマツタケは日本のものとDNAがほとんど同じだということが最近判明して注目を浴びております。

外国産といってもそれほど味覚が落ちるわけではないのですが、国産にどうしてもおよばない理由が二つほどあります。
『鮮度』と『洗浄』です。

茸類は普通洗いません。風味を損なうからです。
しかし法によって輸入品は洗浄しなければいけないのです。有害な菌の流入を防ぐ為外国の土は国内に入れる事が出来ないからです。そして風味は鮮度とともに低下しますが長旅の輸入品はこれも不利ってわけですね。

人工栽培に成功すれば風味のある国産マツタケの値も下がるのですが、まだ栽培には成功しておりません。ゲノムの解析には成功している様ですが、完全な人工栽培の道はまだまだ遠い様です。
※2003年に人工栽培に成功したとマスコミが報道した騒ぎがありましたが、あれはシイタケの変種でしかなく、たびたび出現する詐欺的商法の一種です。



マツタケの下処理と調理

「香りマツタケ味シメジ」と言われます様に、マツタケの醍醐味はその独特の香りにあります。この香りの主成分はマツタケオールとケイ皮酸メチルで、特にケイ皮酸メチルがあの香りを際立たせています。

合成にも成功しており「マツタケエッセンス」として売られておりますね。これが欧米人には悪臭に感じられる成分でして、納豆と松茸の香り、いかに世界に和食が広まっても「日本人の和食」は日本人のもので有り続けるであろうと思う部分だったりします。それでいいと思うんですよ。

マツタケはその香りを失わない扱いをします。

下処理は根の方の固い部分「石づき」を削り取りましょう。


※鉛筆削りの要領です
※この時に黒い穴があれば虫食いです
水につけて虫を出し、細かく切って使う料理に回す

流水で洗ってはいけません。
ボールに水を入れ、その水に指を入れてその指でこする程度の洗い方を。根から笠に向かって指を動かす。それで表面の薄皮と汚れを落とします。洗いは手早く終えて布巾で水気をふきあげます。

使う寸前まで乾いた布巾やペーパータオルなどに包んでおく

※保存は一本ずつペーパータオルなどで包んでラップして冷蔵庫で。そのままラップして冷凍する事も可能ですが、風味も歯ごたえも落ちてしまいますので、とてもおすすめは出来ません

あとは用途に合わせて調理寸前にカットします

マツタケ料理の注意点

松茸には笠の開く加減で「つぼみ」「中開き」「開き」があります。開きが最も香りが高いのですが、求めるのは「つぼみ」が無難です。

つぼみは網焼きが一番ですが、焼く時は二つくらいに裂いて焼き、

食べる時に手で細かく裂くようにすれば香りを堪能できます。

ホイル包み焼きにすると香りがさらに堪能できます。この場合は笠の上に庖丁し、包丁で数本に引き裂いてからホイルに。

笠がかなり開いてきた松茸ならば、香りがたっておりますので吸物や土瓶蒸しにするとよいです。

香りをさらに引き出すには炙るのが最適です。
加える寸前に炙るとよいでしょう。

マツタケ料理は味付けに注意します。とにかく薄味に。
特に醤油には気をつけます。醤油の香りでマツタケの香りを損なってはいけません。濃口は避けて微量を塩と合わせて使いましょう。

松茸炊き込みご飯もやり方は普通の炊き込みご飯と同じで結構ですが、やはり薄めの味付けをしましょう。

手頃な価格のマツタケはやはり香りに不満が残るものです。正直なところマツタケを食べたという感覚が薄く、寂しい。合成香料とはいえ気持ちの満足を得られますのでエッセンスを使ってみるのも手です。注意点は極めて微量にしておくという事。香水と同じく、使いすぎては気持ちが悪くなってしまいますよ。
マツタケエッセンス

マツタケの選び方

松茸は軸が太くつかんでかたい物が上物です。
そして笠の加減は未開き(つぼみ)か中開きが良いです。

鮮度が極端に落ちたマツタケは食べない方がよいでしょう。
古くなったマツタケのアミノ酸はヒスタミンやフェニールエチルアミンに変化し、これは有毒成分です。嘔吐や下痢などの中毒症状に見舞われる可能性があります。

秋に赤松(その他のマツ類にも)林に発生する松茸は冷夏で雨の多い年に大量発生します。秋の味覚の王者なのですが梅雨の時期に発生するものが少量あって、この季節外れのマツタケを『さまつ(早松茸)』と言います。



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