カサゴの煮付け


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笠子(カサゴ)

カサゴは白身にしては脂が多く、なおかつ身締まりがよく、大変美味い魚。種類豊富で全国各地で獲れますんで一年中出回ってますけども、美味い季節は冬から春にかけて。

江戸の頃はその勇ましげな姿が武家に喜ばれて、端午の節句の祝い膳につきものだったと云います。ヨーロッパでも好まれる魚で、ブイヤベースに多用されますし、フランス料理のシェフも好んで使う様です。

磯釣りの対象魚でもあるんですが、なにせ模様や色が雑多でして、市場では細かく種類分けしてません。大まかに分けて、本カサゴ、ユメカサゴ、アヤメカサゴ、オニカサゴ、イズカサゴ等でしょうか。

ユメカサゴは「ノドグロ」って名もありますが、本家のノドグロは赤ムツで別種。なお本カサゴもアラカブ、ガシラの他にアコウ、アカソイ、アカメバルなんて別名もあったりしてややこしいですが、アコウもソイもメバルも別の魚です。

締まった白身が美しいですね。

おろし方は他の魚と変わりませんけども、煮付けが大変美味い魚で、武家の祝い膳に使われた魚ですから、腹を切り開かずに料理したいもの。そこで腹を切らずにエラと内臓を抜くツボヌキって方法を使うとよいでしょう。これはアユの姿焼きやマス系の川魚の甘露煮など、その他魚の腹を開きたく無い料理にする場合にもよく使うさばき方です。
ツボヌキのやり方

カサゴの煮付け方

霜降りします。
魚をボールに移し、落し蓋をして80~90度くらいのお湯を回す様にしてかけます。(沸騰湯ですと身が爆ぜて皮が汚くはげてしまう可能性があるからです)指でそっと残ったウロコや汚れを除いてください。その前に表になる側に切り込みを入れておきましょう。火の通りをよくすると共に、煮崩れを防ぐためです。

魚が7割くらい隠れる量の水(もしくは酒だけ)を鍋に入れて沸かします。取り出す時や火の回り、鍋の形や厚みやサイズに考慮しましょう。

*この時点で水・酒・砂糖・味醂・醤油で味を整えておいてもかまいません。「煮汁」を先に作って沸かし、そこに魚を入れるやり方です。この場合は量を「ひたひた」にしておきます。ちょうど魚が隠れるくらいか8割程度にしておきます。その後落し蓋をして10分も煮れば完成です。今回紹介している手法は水も砂糖も使用しないやり方ですので、これとは少し異なります。

味醂を少しだけ加えます。甘みを付けるのではなく魚の旨味を引き出すため。沸いた時点で魚を鍋に入れます。盛った時に表側になる方を表に。落し蓋をします。

さて問題は醤油の「きり方」(差し方)です。
魚を入れて再度沸いてきたタイミングでまず一回目をきります。

このあと二回醤油をきります。 このときは落し蓋をめくり、そのふちから回しかける様に醤油をきっていきます。要するに分量の醤油を一度に入れるのではなく、三度に分けて少しずつ差していくのです。

火加減は強火がよいですが、落し蓋をしたら蓋の周囲からアブクが踊ってる状態に加減するようにします。目安は10分ですができるだけ短時間で仕上げましょう。

白身の魚は淡白に味をつけてあっさり仕上げ、背の青い魚は少々濃い味にした方がよいです。

笠子(ガシラ・アラカブ)





手前板前.魚山人:The person who wrote this page筆者:文責=手前板前.魚山人