アジ・イワシ・サンマ・サバ等小型魚の皮むき方法


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小魚の皮の剥き方

さばの皮を剥く

アジやサバ、サンマやサヨリなど、皮の薄い小魚の皮引きについて説明しておきます。

これらの魚の皮は、薄く切れやすいので、包丁の刃でやると微妙な動作が必要になり、大変難しい技になります。

ですから、普通は包丁の背(峰)を使って引きます。これを【峰扱き(みねごき)】と言います。

鋭い刃のついてない包丁の背だと、薄い皮を切ってしまうミスを減らせるため、この剥き方は便利なんですよ。

十年も板前やってりゃ包丁が手と同じになっていますので、薄皮でも刃で引いてしまうもので、おいらも普段は刃で引いています。しかし、最初はミネゴキで引くほうが確実です。

ではミネゴキのやり方を説明します。

アジの皮の引き方

アジとサンマの皮の剥き方はほぼ同じです。頭側から包丁を使いミネゴキするんですね。

まずミネゴキの方法をアジで詳しく説明します。

※あじは、皮を剥く場合「ゼイゴ」は取らなくてもけっこうです

ゼイゴの取り方

アジの皮をミネゴキする

三枚におろし、小骨を掃除したアジ

アジの三枚おろし
腹骨の取り方
小骨の抜き方

ミネゴキのやり方

①包丁の刃を使って角をめくり


②ここまでは刃で皮を剥きます

③この辺でくるりと包丁を180度回し、刃を上に向けます。

ぐるっと刃を上にし

そのままミネ(包丁の背)で引く

④包丁の背で皮をまな板に押し付ける

押し付けながら、包丁をぐっと押す

⑤片手で皮をしっかりつかみ

そのまま尾の先まで包丁を走らせる

⑥尾の先を切り落せば完成

(必ずしも切り落とす必要はなく、そのまま一気に剥き終えてもかまいません。板前は筋のある尾先を使いませんので、これは「ていねいな仕事」だとお考えください。ご家庭ならここまでしなくて結構ですよ)

みねごきのポイント

皮をがっちり掴んでおく事と、包丁をまな板に押し付ける力です。
この力点が甘いと失敗します。

また、特にアジはゼイゴがありますので、下に押しつける力を抜くと「浮いて」しまい失敗します。したがって重量のある出刃包丁がこの作業に適しています。

⑥までの流れ

アジの皮を手むきにする場合

サバやアジやサンマなどの皮は手だけで剥くことができます。ところが、「包丁で剥くよりも手で剥く方が難しい」です。

こうやって頭側に爪を立てて、剥いていくのですが、

魚サバキによほど手慣れていないと、ほぼ必ず身がひっついて来てボロボロになってしまうんですね。

これは表皮が何層にも重なっているからで、一番外の皮を持てば大丈夫なんですけども、そんな感覚は相当な経験がないと身につかないと思います。

この「手むき」が意外と簡単にできるのは「〆た場合」です。もちろん酢でしめたアジも同じです 塩で〆、酢で締める。つまりシメサバなどは手むきしやすいのです(と言いますかサバは手でないと剥けないのですが)。(このページの下段で説明します)

アジの皮の特殊な剥き方の例
酢締めにするアジ寿司ですが、本来であれば三枚におろし、〆てから手剥きにするところを、姿のまま無理やり剥いています

アジの姿寿司 作り方

サンマの皮の剥き方

さんまの皮引きは上記のアジとまったく同じく「ミネゴキ」で行います。

ただサンマはゼイゴがありませんので、尾の方からもミネゴキできます。また包丁ミネを使わず刃の方で引く場合は、アジよりも引きやすくなります。

こちらのページで詳しく説明してありますのでご覧ください

サンマの皮を引く

サバの皮の剥き方

「シメサバは手剥きしやすい」と書きましたが、「手でしか剥けない」というべきかも知れません。なぜなら包丁でシメサバの薄皮を剥くのはほぼ不可能だからです(やれない事はないが、やる意味がない)

また関サバなど生鯖をそのまま刺身にする場合の薄皮剥きも同じやり方です(締めサバよりも難しいですが、やり方は同じ。新鮮なサバは薄皮がむき難くなりますので、骨抜きなどでめくってから剥くと良いでしょう)

では、シメサバの皮を剥いてみましょう。

サバの薄皮 剥き方

①爪を使って頭側の角をめくり、そこから剥き始めます。
(シールなどを剥がす要領でめくり、そこを掴みます)

②下の「サバ模様」が綺麗なら、一番上の皮だけ正しく剥けているということです

そのままゆっくりと剥いていきます

③尾の方まで剥きましょう

最大のポイントは、画像には写っていない「左手の指」です。
(撮影のため右手しか写ってませんが、実際は両手を使います)

②の段階から、左手の指で身を押さえておいてください。
この左指の使い方が巧みなら、生のアジでもサンマでも手で剥くことが可能になります。


この動画は、魚をさばいた経験が無い若い子に、数分教えてやらせたものです。ポイントさえ分かれば誰でも簡単に剥けるということですね。

イワシの皮のむき方

いわしは殆どの場合(三枚にする時でも)、【腹開き】にします。

イワシを三枚にした場合、下のようになります。

矢印の部分、これは「背ヒレの付け根」でして、背の身に食い込んでいるのが分かりますね。この箇所はどんな魚でも三枚におろすにも皮を引くにも邪魔になるんです。

※ヒレ付け根は何故おろしと皮引きの邪魔になるのか
三枚おろし

イワシ皮剥きは、逆にこの背ヒレ付け根を利用してやります。

イワシ薄皮のむき方

腹開きにしたイワシは、ヒレ付け根に横から包丁を入れて皮の手前まで切り込みます

切り込んだ部分に親指を突っ込んで、そのまま反対側の「片身」の皮を剥きます。

片身を持って、もう片ほうの身の皮をむく

残った片身も指を入れて剥く

薄皮を剥いたイワシ

もちろん三枚におろした身を(ヒレ付け根が残った状態で)、そのまま剥くことも出来ますけども、上のやり方の方がより早くよりきれいに剥けるのですよ。





手前板前.魚山人:The person who wrote this page筆者:文責=手前板前.魚山人