シメサバ~さば酢じめ 作り方

  

シメサバとコハダ酢

しめさば

さばの酢じめのやり方と、こはだ酢のやり方を紹介します。

シメサバとコハダ酢は、なにも寿司屋の専売じゃありません。和食でもよく使います。酢の物、和え物、前菜、お造り、コハダの粟漬けは正月料理に欠かせません。



コハダはともかく、生サバは皆さんにも馴染みが深い魚だと思います。だいたいは加熱調理にしてしまうと思いますが、新鮮なサバが手に入ったときは是非シメサバを作ってみましょう。シメサバの作り方は意外と簡単なんですよ。

サバとアジにはヒスチジンというアミノ酸がたくさん。これが独特のうま味の元になっています。しかしやっかいなことに、サバ・カツオには「タンパク質分解酵素」が非常に多く、このヒスチジンをヒスタミンに変えてしまうスピードが速くなってしまうのです。

タンパク質分解酵素の働きが強いというのは、要するに「腐りやすい」ということです。俗に【サバの生き腐れ】というのはそういうわけです。

ヒスタミンは腹痛や下痢などアレルギー症状を招きます。もっとも、ヒスタミンに対する反応は個人差が激しくて、当たらない人は全然平気なのですが。ともかくアレルギーを起こす原因ではあります。

鮮度が落ちるごとにヒスタミンは増える。これを少しでもストップできないか。

恐ろしいほどの殺菌力とタンパク質を「固めて」しまう作用がある【酢】を使うのは、この腐敗過程を遅くするためでもあります。カツオは表面を炎で焼き固める「たたき」にしますが、サバは表面を酢で凝固させるんです。こう考えると酢じめも一種のタタキかも知れませんね。昔の人はよく考えたモンだと感心します。

酢のチカラ・酢の物の基本

理屈はともかく、安心して食べられる刺身としてシメサバはいいものですよね。
(鮮度が落ちたものは「安心」ではありませんので、新鮮なサバ限定です)
(アニサキス等寄生虫が不安でしたら〆てから冷凍させるしかありません)

シメサバの作り方

シメサバの要点は「塩をしておく時間」と「酢につける時間」です。
一般的には、「塩を振って2~3時間、酢に60~90分くらい漬ける」と言われますが、これはまったくアテになりません。塩の時間はこれでも構いませんんが、問題は酢をする時間です。

サバの鮮度・サイズ・脂の加減、酢の種類と温度、こうした条件で漬ける時間は極端に変化します。が、どちらにしても1時間半も酢につけるというのはありえないですね。あきらかに漬けすぎになります。

もし1時間半酢をするとしたら、カツオくらいのサイズで・信じられないくらい脂がのっていて・酢の温度・外気温が5°以下で氷点下に近い、といった具合になります。まずあり得ません。(薄め酢ではなく生酢を使うとして)

酢に漬けすぎると、サバ内部まで真っ白になるか、薄皮が酢で溶けてボロボロ・ズルズルになってしまうか、どちらにしてもこれは失敗作です。

精酢(生酢)つけて30分を目安に目で確認する

これがおすすめです。
皮目ではなく、肉の方を見て全面が白くなっていればOKなので酢から出しましょう。

① まずサバを三枚におろします


サバのさばき方

※腹骨(ガンバラ)は付けたままにしておいた方が仕上がりがよくなります

② 塩を振る

盆ザル・ザル(無ければ穴あきバット)を用意


水受けのバットをザルの下に置いておきます

少量の塩をザルに振りましょう
その上にサバを並べます。皮目を下に、身を上に向けて

そこにたっぷりと塩を振ります

大量の塩で雪化粧のように。これを【べた塩(強塩)】といいます


生サーモンの酢締め

③ そのまま2~3時間放置

※基本的に鮮度の良いものは短め、冷凍サバなどは長め
夏場は短め、冬場は長め

④ サバが汗をかいてきたら塩は終了

数時間すれば塩分の浸透圧で表面に水分が出てきます。

同時に余分な脂と臭みも流れ出ます。

この状態になったら、ボールの水にドボンと放り込みましょう。そして1つずつ流水で塩分を洗い流してください。

・洗ったらザルや穴あきバットで軽く水切りします。

⑤ 酢〆にします

サバが隠れる量の酢を容器に入れ、一枚ずつ並べるようにして浸けます。


背を上にしてつける。ショウガのスライスやガリを好みで(入れなくてもいいです)

つける時間の目安は30分。

上で書きましたように、酢の時間はとても複雑ですから30分は目安にしかなりません。【酢の回り具合ー魚の個体の関連性】は経験を積まないと判断できないからです。

どちらにしても酢の温度が上昇する事は望ましくないので、可能であれば容器ごと冷蔵庫に入れた方が良いですが、室温であっても、「つける時間」を短めにすれば問題はありません。むしろその方が「つけ過ぎ」を防ぎやすいです。

サバが新鮮であり、新しい酢を使えば、温度などを気にしないで普通にやってもまず大丈夫です。20~30分でキレイに締まるはずですから。

時間になったら身の色を確認して取り出せばいいのです。

☆身の表面が白く変色してなければ早すぎ
★薄皮が溶けてズルズル剥けるならつけ過ぎ

これが通常のしめ鯖の色。約30分。

これは極めて上等(鮮度が良く脂がある)のサバを15分程度軽く〆たもの

しばらくザルにあげておいて、キッチンタオルや布巾で余分な水気を拭いてから、薄皮を剥いて腹骨を取り小骨を抜けば完成です。

一般的な作り方は動画をご覧ください。料理経験の殆どない女の子がやっていますが、参考になると思います。刺身の切り方も動画の仕方の方が簡単かも知れません。

魚を塩と酢で〆るのは、そのまま昆布締めの下ごしらえにもなっています。〆た魚は昆布と相性が良いからです。昆布締めに進む場合は、塩・酢ともに薄く〆ます。
魚のコブジメ

シメサバを切る手順

(1)腹骨


腹骨を取る

(2)小骨


小骨を抜く

(3)薄皮


薄皮をむく
 →

(4)切る

刺身に切る


サバの八重作り

この八重作りは「切りかけ切り」になります。ページ冒頭の画像ように普通の「平作り」にしてもかまいません。その場合「引き作り」の方がやりやすいと思います。

平作り・引き作り

(5)すしタネ

すしを作る

にぎり寿司やちらし寿司の材料にするときは、上の刺身のように背皮だけ見えるように切るのではなく、包丁を斜めに入れる「そぎ作り」にし、身の面積を多くして使います。


サバの切りつけ

箱寿司・棒寿司にする場合は、片身をそのまま使用します。


さば寿司の作り方



コハダの〆方

コハダとは

シメサバは皆さんご存知の通りですが、コハダについてはあまり知らないかもしれません。なにしろスーパーなどでは見かけない魚ですから。寿司屋で見るくらいでしょうか。

コハダは出世魚でして
シンコ→コハダ→コノシロ という具合に名前が変わります。

※よく似た岡山名産ママカリ(サッパ)は別種

旬は秋ですが、江戸っ子としちゃ何と言っても6~7月のシンコが一番です。

皮の剥けない魚で小骨が多く、料理法は、「煮る」「焼く」「揚げる」「酢でしめる」くらい。実際には酢締めくらいですね用途は。

小骨を抜く方法がなく、加熱調理のたびにいちいち骨切りしていられないからです。骨切りしないで食べると口の中が小骨だらけになります。だから小型のヤツを酢でシメるしかありません。

コハダには面白い云われが多く、
●武士の切腹時に使われた魚で縁起が悪い
●「焼くときの臭いが人を焼く臭い」だから焼き魚は駄目(関東)

かと思えば、
●「子ノ城」なので殿様に喜ばれ、端午の節句の祝い膳にした
●正月料理に粟漬けを入れるのは「子の代(しろ)」を当て、子孫繁栄を祈願したから

変な魚ですが、魚ヘンに祭りと書きますんで、まあ縁起のよい魚なんでしょう。

それじゃ酢〆を手短に説明しましょう。

コハダの酢締め

コハダはサバのベタ塩と違い、極めて薄く塩をします。

コハダの幼魚である「シンコ」などは、塩ではキツすぎるので立塩(薄い塩水)で塩締めします。

塩をしておく時間も短め。酢も数十分単位です。(大きさにって時間を変える)

これもやはり締まり加減を「目視」で確認するのが一番確かです。

塩はこのへんで終了

皮の艶が出てきた加減で酢から取り出す

詳しいやり方は下のページをご覧ください。

コハダの仕込み方は

コハダのさばき方

新子(しんこ)については

シンコ


著者:手前板前 魚山人