酒盗と純米大吟醸  

地獄花と酒盗を肴に一杯

彼岸花(曼珠沙華)は、言うまでもなく有毒植物。
故に毒を嫌う動物を避ける為に、墓地などに植えられます。

彼岸花

水にさらすと毒が抜けると云われまして、昔飢饉があった時など、食用にしたとありますが(澱粉が多いから)、毒抜きが足らずに中毒者が続出してます。
間違っても口にするべきではありません。比較的よく見かける花ですので、子供さんをお持ちの方は注意して下さい。
日本では不吉な存在として忌み嫌われる傾向がありまして、当然和食で使うこともまずありません。飾りに使うのもいけません。


しかし、おいらはこの花が嫌いではありません。寧ろ好きです。
個人的な思い出を書いても仕方ありませんので省きますが、懐かしい気持ちになるからです。可愛い花も愛らしくて結構なもんですけど、ケンのある毒花もまた好し、ですね。


さて、板前やってますと日本酒との縁は切れません。やはり和食には日本酒が一番合うからです。自分飲みでも、日本酒でなくちゃってぇ場合もたまにあります。


これは焼津の磯自慢純米大吟。原料米に「愛山」を使ったのもありますが、おいらはやはり「山田錦」が好きです。


下のは何かと言いますと、真ん中にあるのは「カツオの酒盗」なんですが、白ワインで溶いたチーズフォンデュに、コクのあるピザ用チーズを少量入れて煮たあと「ぐい呑み」ごと冷ましたやつにのせてます。店では出しませんが、もちろん食べられます(笑
嗜好がありますので、真似しても美味しいと言う保証はしませんけども、カツオは乳製品やマヨネーズと相性が良い事は確かです。
 

カツオの酒盗はご飯と大変合いますが、名前からして酒のツマミに抜群です。
酒盗の作り方は単純で簡単なんですが、使用する胃と腸は一本からは少量しかとれません。もしカツオの内臓が沢山入手可能な人なら、手作りしてみるとよいでしょう。

■カツオ酒盗の作り方


★胃と腸は縦に裂き、内容物をしごき落としながらよく洗う。

★薄塩をしてザルにとり、そのまま冷蔵庫で一日寝かす。

★水気が抜けた胃と腸を細かくカットして、その量の1~3割の塩を加え煮沸した密閉容器に。
★数週間熟成させると出来上がり。
(内臓の酵素での熟成はゆるやかですから、出来れば半年とか長期がよいです)


*胃と腸の間に、袋状の「幽門垂」という器官があります。これが酒盗のミソ。独特の酵素で発酵を促して酒盗の味を作る働きをします。これを入れないと「カツオの酒盗」と呼べるものにはなりません。



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