今年も残すところ一月ちょっと、ここへ来てようやく少し寒さが来たようですが、室内じゃまだ夏の格好ですごせます。
季節感が薄れるのは和食料理にとって困りモンですねぇ。和食ってのは四季の変化で食べさせるのが基本ですから。
季候が平板だとメリハリが出やしませんなぁ。
世界の多くの人は、鳥獣肉が好物でして、魚喰い人種ってのは地域が限られていた様です。しかし近年鳥獣肉は健康にマイナスであるって論が広まっていたとこへもちまして、牛肉や鶏肉が原因とされる「病気」などが問題になり、ヘルシー指向とあいまって急速に魚肉へのシフトが拡大しています。
さらにこれとタイミングを合わせたかの様に、日本近海の魚介の漁獲量が急速に減少、漁業は高齢化と廃業の悪循環にはまったままです。
それで日本人が魚を食べなくなっているのかって言えば、そうでもあるし、そうじゃないともいえます。
面倒な骨が付いた「マル」の魚は敬遠されてますが、しかし魚喰いが遺伝子に組み込まれる日本人ですから、別の形で魚の消費は伸びてます。例えば外食業でもダントツ人気の「寿司」とかコンビニ弁当とか、要するに「魚の形をしてない」のは消費が衰えません。
つまり魚介類への需要はいまだ健在ってわけですが、次章で反転します
しかし先に書いたように日本近海の魚は減少気味で、とても賄えませんので、必然的に世界中から輸入ってかたちになります。
今まで、肉食の方達はたいして使い道の無い魚を買い付けてくれる日本を歓迎してました。でも上の理由で喜んで魚を日本に送るって流れが切れようとしています。
市場原理ってものがあります。
高い金を払うほうに商品が行くってことですね、単純にいえば。
日本は世界の漁業関係者には最高の市場でした、ただし今まではです。今「最高の市場」は中国になろうとしています。それを確実に感じるのは、漁獲が減っているのに国内での需要はある、つまり「高価」な海産物が日本から中国に向けて輸出されてる事実です。
さらに冒頭にあげた「気象の変動」があります。
気象に国境はありませんから当然これは世界的な問題でして、なんとか手を打たなきゃえらい事になるって意識が出始めてまして、色々動き出してる様子です。気象は「海」と密接に関係してますから、手始めに海洋資源を保護するって行動にでてる。なぜ具体的な対策が海洋資源保護なのかといえば、やはり上に書いた理由も多少含む「政治的思惑」も当然あると思います。「魚を売らない」そう堂々と言える理由作りにもなるからですね。
これらの事からいえるのは、近い将来日本は魚の入手経路が断たれる可能性があるってことなんですね。
そんな事態になってから「漁業の育成」に力を入れても手遅れです。
それに今の時代は、正直言ってどんなに努力しても漁業が盛んになるって事はないでしょう。そもそも魚がいない。
今しなきゃいけないのは、魚種が絶滅する前に種苗を確保しておくことでしょうな。好みの問題はおいといて、「工場で魚を生産する」方向に行くほか日本に魚を確保する道はないでしょう。
さて、それじゃなんで魚が消えるのかって問題です。
よく言われるのが、乱獲と環境破壊による汚染。こりゃ人災で、自業自得ってことでしょう。確かにこれが原因でもあるでしょう。
しかしね、「よく分からない」ってのが本当なんですよ。
例えば地球温暖化。ガスによる温室効果が原因だって定説になってますよね。これも人災だ。しかしこれは確定した説ではないんですよ。太陽の周期的な変動が原因じゃないかって説も有力なんです。
本来地球のサイクルっていうのは、人間の短い寿命からは想像が困難なもので、世界全部を人間が支配してるって傲慢さから、自然現象を小さく過小評価しちゃってるんじゃないか。要はね、自然の広大さを怖れなくなり、人間は自然の一部で小さい存在だって事を忘れて、なんでも分かってしまった様な錯覚を起こしてるんじゃねぇか。
自然をナメすぎてんじゃねえですかねぇ。