病的な教育:悪いのは子ども?それとも大人?  

鏡面に映る姿

ちょいと事情で更新できませんので、世間噺でもひとつ。

近年と言いましょうか21世紀を迎える前後あたりからでしょうけども、心ある大人達を憂慮させてる事がございます。

お客様の層は各界幅広いんですが、特に文士さんのお仕事なさってる方がこの問題を鋭く分析なさってくれます。

物書業のお客様曰く、
「古代エジプト以降、いつの世でも大人達は言う、〔最近の若い者はなっておらん〕、しかしね魚ちゃん、最近の子供たちはそれとは少し様相が違うんだよ。明らかに異常としか言いようがない」

なんでも、90年代も後半にさしかかる頃から若者の不気味さが際立ってきたと仰います。

教職をなさってる人はこう言います。
「もうコミュケーションがとれない。会話が成立しなくてね。文学や社会問題に関する興味はゼロ。頭は自我で占領され、エゴが学生服着てる様なもの。関心があるのはマスコミ提供の低俗な事柄だけ。はっきり言って教育がどうのいうレベルの問題じゃなく、それ以前の問題。今の日本人の若者は地球最低の脳内構造になってる。比較対象もないくらい最悪」

商店街や町会の委員さんは、
「魚ちゃんよ、俺はもう長生きしたくないね。あのな、自転車の暴走族って知ってるか?いや、俺等が若い時の族とは違うんだよ。特別な不良グループなんかじゃねぇんだ。普通の子供達だよ。っていうか子供達みんなだ。その乗り方にね、「思いやり」が皆無なんだよ。体の不自由なお年寄りだろうが、小さい子だろうが、まったく気にしてない。いつ自転車で引っ掛けるやら恐ろしくて見てらんないよ。メチャクチャな乗り方。それだけじゃねぇんだ、俺が気に入らないのは「怖そうな人」だけは避ける姑息さなんだよ。弱者をいたわるどころかって話。ありゃあもう子供とは言えんよ」

もう1人は
「俺達が道路の植え込み掃除するだろ。そしたらガキどもときたら、その後からコンビニで買った食いモンのゴミをまいてきゃがるんだ。小癪な事にね、1人の時はあまりポイ捨てしないんだよ。2~3人になるとやるんだ。ウンザリだねガキどもには」

ダチで車掌を長年やってる奴は、
「あのな魚ちゃん。おまえ電車嫌いだから分からんだろうが、この十年人間が変になってるよ。俺等が若い時からマナー知らずのロクデナシは大勢いたよ車内には。不良やヤクザモンだ。今はそうじゃない。普通の若いのが気色悪くてしょうがない。周囲おかまいなしに騒ぐのは序の口、ねぇちゃんは爪いじってるか髪をといてるか鏡見てるか携帯いじってるかってなもん。とにかく周りの人間が眼中に無いんだなありゃ。俺はよ、あいつらが人間に見えない時がある」

会社の社長さん、
「もう新卒者はいらん。本を読まんからまるで白痴だよ。基本的な事を何も知らないから驚く。あれでなんで高校・大学を卒業できるのか意味が分からん。新卒ならアジアとか海外からの方がいいね」

しめくくって下さったのはさる高名な先生。
「それらは多分マスメディアの責任が重いでしょうね。何かで読んだのだが、あの神戸で起きた猟奇的な殺人事件の時に、悲惨なニュースを流す画面に制服の子供たちがピースサインを出し、笑いながらアピールしてるのが放送で流れたそうだ。それを見た世の大人達は日本の将来に慄然とした想いをいだいたと云う。そういった猿以下の行動と頭脳は、特にテレビを筆頭とした弱者排斥と『拙さ文化』にあるかも知れない」

「もしそういった子供達が社会に出ても再教育されないのなら、日本は必然的にファシズムに向かうでしょう。戦前のファシズムとは比較できない程悲惨で強圧的なものになるはずです」


いやまぁサンザンですな。
確かにこの国の将来はあまり期待ができそうにない。
しかしおいらは思うんですよ。自転車や電車の迷惑行為は子供達だけじゃないでしょう。オバサン・オジサンにも目を覆いたくる行為が目立ちませんかね。

おいらが使ってきた若者達ですがね、女の子には凶暴な側面が目立つし、男の子は変なのが増えた気はしますよ。正直言って頭が悪くなり、一般常識も無いのは事実だと思います。

でもおいら的には「昔と何も変わってない」と考えてます。
むしろ昔より素直な子が増えてる気がするんです。それは多分家庭や学校で「もまれて」ないからでしょう。鍛えられてないんです。

テレビに関して言えば、タモリとかたけし兄さんなどは疑いもなく天才だと思います。ただね、あの人達はパソコンでいうとプログラムを書いた人であり、操作してる側ではない。ゲームならソフト制作者。アニメなら鑑賞する人ではなく宮崎駿。パソコンの中身を作る人もゲーム作る人も、本人はあまりディスプレイ使わんでしょう。手作業が多いと思う。

何が言いたいのかといえばね、「天才を作る難しさ」なんですよ。
こういった人達は大変な数の本を読んでいるはずですし、努力も半端ではないはずです。
その困難さが伝わらない。それがテレビの問題点です。
美味しい部分だけつまむのが料理の王道ですし、娯楽もそうです。

大人の世界なんですよ。
子供に「大トロ」食わして喜んでる親御さんが多いですがね、それと同じ事なんですよ。テレビは。
子供にはね「基礎・基本」を叩き込まなきゃいかんのです。
子供にいきなり大人の世界を味わわせては駄目なんですよ。

タモリを見てね、「あ、面白いおっさん」としか感じない人間になる。
あの奇人の本当の才能などは理解できません。それは基礎教養が無いからなんですよ。誰も彼も自分と同じレベルだと思う白痴になってしまうという事です。

子供を大人の世界に引き出して見世物にしたり、それをチヤホヤする世界はいただけませんな。子供は押さえつけられる存在なんですよ。大人に「子供扱い」される存在なんです。その抑圧の中で学び大人になるのを待つんです。

すべからく基礎を身につけた後で「大人の味」を存分堪能すればよいんです。叱ってくれる大人を子供達も待望してるんじゃないでしょうか。まずは自分の子を叱る事から始めるべきなんじゃないでしょうか。

夢を実現させるのは、お手軽テレビ番組みたいに簡単な事ではなく、大変な努力を重ねる以外方法が無いことを理解させる。その為に若い時期を無駄に使わないようにさせる。
何でもかんでも知った気になって実は何も知らない人間が蔓延しないようにするには、情報のシャワーを浴びせるよりも、「子供の世界」に押し込める方が良いと思うんですがね。


Posted by 魚山人 at 2008年

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