またもや悲惨な「ストーカー殺人」が起きた。被害に遭った女性が、あまりに気の毒で言葉が出ない。
動機は今回もまた「男の妄想」によるものだからである。そんな理不尽極まりない理由で死なねばならなかった女性と、その御家族に弔慰を記したい。
ストーカーを育む「病魔」
新聞各紙に依って事件を要約すれば、以下の様になります。
事件
・神奈川県逗子市の集合住宅で33歳の女性が刺殺される
・容疑者の男(40歳)は女性を刺殺後、首を吊って自殺
事件の背景
・2004年頃、2人は交際を開始
(男は教員、女性はデザイナー)
・2006年頃、交際は破局するも、男はストーカーに転ずる
(女性は都内の所轄署に相談している)
・2008年頃、女性は逃れるように逗子に転居
・2010年の師走、女性は逗子署に嫌がらせメールの件で相談
(つまり、転居後もメールは続いていた)
(逗子署は家族を通じて男に警告)
・2011年、嫌がらせメールは「脅迫」にエスカレート。「殺す」という内容
逗子署は脅迫容疑で男を逮捕
男に懲役1年、執行猶予3年の有罪判決
(逗子署は女性宅に緊急通報装置を設置している)
(神奈川県警はストーカー規制法に基づく警告を出している)
(男の有罪判決後、女性宅に監視カメラ設置)
・2012年、前半に大量のメールを送るも、初夏頃からメールが減る
女性は「静観したい」と逗子署に申し出る
しかし、同年11月、女性は刺殺される
なぜこの事件をブログ記事でとりあげているのか?
それは気になる点があるからです。
まず、この事件を報じているマスコミのスタンス。
その「方向性」はこうなります。
「メールだけでは立件できない法は問題がある」
「何らかの法的処分を下せるようにしてほしい」
つまり、「現行法の甘さ」で、防げる被害を防げなかった、と。
さらに、「警察はなぜこの種の事件を防げないのか」
これは暗に、「警察は何をしてる。怠慢ではいか」という主張。
経緯から見ると、逗子署は出来る限りの事をしています。
手を抜いていた様子はないと云う。(そういう報道になっています)
隠されたメッセージはこうですね。
「警察が何もできないのは、法規制が整備されていないからである」
「穴だらけの法を強化しろ」
これを受けて警察庁は、警察庁の片桐裕長官は8日の会見で、「連続メールは(現行法の)規制の対象外。今後、法律にどう位置づけるか、大きな検討課題」と、法改正にも言及。
「大きな検討課題」であると応じたわけです。
問題の核心に触れず、なおかつ「本質」をぼやけさせて、すり替える。見せたい部分だけを強調し、世論の流れを誘導する。何処に誘導したいのか?もちろん「規制強化」です。
「規制」とは市民生活の向上の為にあるのではない。ある連中の『利権』が、すなわち規制だと定義できましょう。
では、この事件の「核心」「本質」とはなにか?
ここで素朴な疑問。
女性は、06年に男と別れた後、転居までしている。おそらく男の執拗さから逃れるためでもあろうと思われる。経緯から考えて、これ以降、今年の秋まで、男は女性の住所も分かっていない。
ではなぜ、嫌がらせメールを送れるのか。
女性が「メールアドレスを変更していない」からである。
逗子署は、女性に対し、携帯番号とメールアドレスを変えるようにすすめているが、「仕事に支障が出る」という理由で女性は断っている。
この事件の「核心」は、殺人者たる男が、【どうやって女性の住所を突き止めたのか】です。
なぜなら、この手のストーカーは日本中に山のように存在してるはずであり、その連中の中には「相手の住所を知りたくてたまらない」者が相当いると考えられるからです。
この壁を破れずに「予備軍」に甘んじ、やがては諦める者もいましょう。だが、その反対なら?
>容疑者はメールやインターネットの掲示板などで女性の居場所を執拗に捜し、彼女の元勤務先にもメールを送って住所を聞き出そうとしていた。
>容疑者の自宅を家宅捜索し、ストーカー行為の詳細や女性宅の住所を特定した経緯を調べている。(パソコンなどを押収)
男は、2011年6月に脅迫罪で起訴された際に、女性の現住所を知った可能性があるとの報道もある。
しかし、住所を突き止めたのは今年の夏以降とみるのが自然であろう。このような男が居場所を知れば、じっとしてる訳がないし、次の年の春に1000通以上のメールを送っているのは奇妙。
※続報により、この件は「警察のミス」である事が分かった。 逮捕した男を取り調中に、あろうことか、女性の新しい名前や住所を読みあげたらしい。冤罪ばかり引き起こすわ、犯罪者に被害者の情報を漏らすわ、いったい警察は何をしておるのか。と言うか、これは「ミス」ですむ問題であろうか?※しかしながら、本記事の趣旨がこれによって変化することはありませんので、このままにしておきます※ |
そのメールも、5月に入るとピタリと止まったという。執拗なメールは住所が分からぬ「いらだち」でもあったとすれば、これが止まった時期に何らかの方法で住所を知った可能性がある。
世田谷区の男が、職も住所も変え、神奈川の逗子に移った「元彼女」の現住所をどうやって突き止めたのか。
ヒマと金があれば可能である。しかし、この加害者にそのような様子はない。あるのは、「執着心」のみであろう。
こうした話の先に浮上するのは何か。
「インターネット」と「SNS」である。
まず知りたいのは、被害者の女性がSNSを利用していたかどうか。SNSは本人が特定しやすい「サークル」である。
仮に使用していたとしても、トラブル発生の2006年には使用を停止したと、通常は考える。しかしこの女性はトラブル発生後も携帯番号とメールアドレスを変更していない。
加えて2006年はSNSが今ほど「ブーム」だったというわけではなく、最近加入した可能性もあろう。そこはどうなのか?
検索エンジンなるものは、「ロボット」が仕事の主役である。ロボットには人間の心理が忖度できないし、善悪の判断もできない。
「アルゴリズム」とやらも、数十億の人間の「思惑」を、どうにか出来るものではない。何れかのキーワードがヒットして、「ヒント」を与えた可能性は拭えない。
地を這う餌を追う鼬 それを狙う大鷲
自分は、この事件は被害書と加害者が「ネット空間で繋がっていた」という見方をしています。
もちろん警察に相談するくらい困る嫌な相手と、自ら積極的にネットを共有するわけはない。ネット空間は、時空を超越してしまっている可能性がある。
「本人が忘れた過去」さえネットには存在し、時間の経過を問題としない。ましてや「空間の隔たり」などというものなど、とっくに存在していない。そのことを、ネットを使うユーザーたちはどこまで認識しているか。
これ幸いとばかり「メールの規制」「個人への監視強化」、それに連なる「ネット規制」に傾いていくのは話がおかしい。
【迷惑メール】など何も問題ではない。アドレスを変えるかメールをゴミ箱に直行させれればそれで済む。どうでも嫌なら携帯・スマホを捨てればそれで終わる。
自分はいくつもあるウェブメールに一日500通は迷惑メールが来る。だからと言って困ることは何もありません。自動的にゴミ箱に入り、見ることがないからです。
つまり「無い」のと同じ事。大事なアドレスや携帯のアドレスは身内や信用する人間にしか教えない。それが当然でしょう。
個人情報を貪食して憚らぬネット関連企業にも、問題はあります。そこに一枚噛もうと狙っている「当局」の、規制強化とやらも胡散臭い。
ですがね、問題の根っこは「ユーザーの意識・認識」の度合いですよ。「自分自身を特定できる可能性がある」写真や情報などを、先々を考えず気軽にネット空間に記録する。
それで何もなければよいし、普通はなにも起きません。だが、世界中から届くニュースの内容が教えるのは、「何かが起きた場合、取り返しがつかない」という事実です。
自分を悪し様に書かれ、裁判に訴えるも、ネット空間にある「記録」を全部消すのはまず無理。不可能です。そのようなケースの多くは、元々、訴える側が、自分の個人情報をネットにあげたのが始まりなのですよ。
あのですな、今なにかと話題の「尼崎事件」、あの鬼ババァが人間の性質を現しておるのですよ。あれは異常者ですが、あのような面を人間は誰しも持っているんです。
「今現在仲良し・恋人」であろうが、それが続く保証はどこにも無い。人間の「妄執」「暗愚」「狂気」を、甘くみてはいけません。
人間をストーカーにしない最良の方法。それは「相手の甘い期待を完全に破壊してしまう毅然さ」です。
「甘い期待」、それが妄想を芽生えさせる土台なんですよ。「手が届く」と相手に思わせうる可能性を、全部潰す必要がありましょう。
もちろん、これは寂しい話でありどちらかと言えば「後ろ向き」しかし、1人の人間が10億人と仲良くなることはできんでしょう。
死ぬ時は1人、伴侶も1人だけで良い。短い人生で真に心を許しあえる友人も、数えられる程度で良い。
他人ってのはね、「こちらが望むとおりの行動」など絶対にしない。若い人はくれぐれもそれを肝に銘じておいて下さい。自分の人生を大切にしなきゃいけませんよ。
2012年11月09日