大震災から三年目 


三年目の明と暗

二年が過ぎ、報道各社も見出しを競うことでしょう。
『あれから二年・・・・・』という感じでしょうか。

現実を取材すれば、絶対に「明るいトーン」にはならないでしょう。それをやれば「嘘」になりますからね。

700日もかけて「解決した問題」は何と何か?
それを並べ上げると、あまりの少なさに呆然。つまり、「ほとんど何も解決していない」のですよ。



月曜日の報道を見る気にはなれません。バカマスコミがどういう見出しを掲げるか分かりきっているからです。内容も“いつものように”横並び一直線でしょうしね。

ですから、自分はあえて1年前のニュースを紹介します。

去年4月6日のAFP

【4月6日 AFP】(一部更新、写真追加)前年3月の東北地方太平洋沖地震による大津波で流され、現在米アラスカ(Alaska)沖を漂流中の日本のトロール漁船について米沿岸警備隊(US Coast Guard)は5日、付近を航行する船舶に危険を及ぼす恐れがあるとして、砲撃によって撃沈した。

 この「幽霊船」は東日本大震災の大津波で流され、太平洋を数千キロメートルにわたって漂流した末、前月24日、カナダ沖で発見された「漁運丸(Ryou-Un Maru)」。

 アラスカ沿岸警備隊のサラ・フランシス(Sara Francis)報道官はAFPの取材に「漁船は現在、海洋航行上の重大な危険要因となっているため、沈めることになった」「船の全長は150~200フィート(約45~60メートル)で、無人で明かりもなく漂流している。暗闇では、海域を航行する他の船舶にとって非常に危険な存在だ」などと説明した。

 漁運丸の所有者は返却は不要と伝えているという。カナダ船が引き揚げを検討し5日早朝に接近調査を行ったが、えい航や引き揚げは困難と判断、砲撃が開始された。

 米沿岸警備隊によると、まず25ミリ砲で集中砲火を行い、これによって漁運丸は炎上、船体が傾いた。沿岸警備隊は午後に2回目の集中砲火を行い、現地時間午後6時15分(日本時間6日午前11時15分)、漁運丸の沈没を確認したという。

 漁船に積載されていた可能性のある燃料はディーゼル燃料ですぐに分解されるため、撃沈による海洋汚染の恐れはないと米沿岸警備隊は説明している。
(c)AFP
2012年04月06日 20:41 発信地:ロサンゼルス/米

この件の内容については別に「ああ、そうか」くらいです。特別に紹介するような内容ではありません。

このニュースを紹介した理由は一つだけ。
そのヘッドラインです。

【大震災で漂流の日本漁船を撃沈・・】

先ほど書いたように「撃沈」を問題視してるわけじゃありません。米沿岸警備隊にとっては当たり前のことでしょうしね。

ただ、おいらにはこう読めるんですよ。
「震災と原発事故を撃沈」

あの日起きた事を「沈めてしまおう」
もっと言えば、「何もなかったような顔をするようにしよう」

さらに厳しく言えば、
「利権になりそうな事以外は闇に沈めてしまおう」

見ないふりをし、聞こえないふりをし、
「やり過ごしてしまえないものか」

そんな、これから先の「希望」「願い」
それがこの1行に秘められている気がしたのです。

そして「そのようになりつつある」気がするのです。

この二年でくっきりと明瞭に浮かび上がったもの。
それは、
・脱出(再出発)できた人々
・明日の見えない人々
そうした「二極化」である気がします。

あらゆるシーンで【格差】が明瞭に。

単刀直入にずけずけと言うなら、
「新築の自宅を着工できた方々」
「仮設住宅から動けずに心と体を病んでいく方々」

持てるものと持たざるものが存在するのは世の常。通常の場合であれば、「当たり前のこと」だとも言えましょう。

ですけども、
「あの出来事」は“通常の場合”だったんでしょうか。

そんな考えが通るような「Event」だとでも?
しかし、日本人のマインドは、急速に「通る」という考え方に傾き始めているように思います。

あらゆる支援制度は「2年の想定」で予算が組まれ、今、次々に期限切れを迎えています。

このような「制度」を組み立てた公務員の方々には、そもそも被災者の立場になって考える発想がない。

実行もできぬ「決まり」で、予算に「ゴムひも」を付けるだけ。

消化できぬ復興予算を「どうするつもり」なのか。そのような説明はなされる事がなく、闇にとけて見えなくなる。

批判が高まれば延長措置をとることもあるでしょう。しかし「自発的」では絶対にない。

役人が「先手を打つ」のは利権絡みと決まっており、国民に対してはまず100%「後回し」だからですよ。

メカニカルでドライなキーワード、【格差】
そんな「言葉のみ」が独り歩きし、知ったようなツラした若造どもが、「自己責任ですから」と吐かす。

「仕方ない」
「自分の事で精一杯」
「落ちていく人にかまっている余裕はない」

その傍らで、「一兆円以上」という使いようもない莫大な個人資産を持つ「大金持ち」は過去最高の人数を数え、人々は「そこ」だけしか見ない。

そんな中、世界は再び「バブル到来」とやらに、眼の色を変えつつある様子です。

ま、株や為替に投資して「日本人全員」「一人残らず」大儲けするように頑張ってください



一寸の虫にでも魂はある
人間の魂が虫けら以下の社会が訪れる足音

“苦しみ”というのは、その本人にしか分かりません。
他人に分かろう筈もなく、当事者だけのもの。
どんな美辞麗句を並べようと、それが真実です。

なので、言葉は無意味だと思います。

だからと言って「人の気持」は無意味だと思いません。
“男気”や“女気”、どうであろうと確かに存在するものがある。

日本人は国民性としてその「気」が強かった。
「強い」ではなく、「強かった」と過去形にせざるを得ないようです。

言葉に意味はないが、どうしても言いたくなります。
限界を越えている方も沢山おられましょうが、なんとか「踏ん張って下さい」と。
遅々として何も進まず、時間はあっという間に過ぎて行くのみ。

でもね、足を止めれば朽ちて行くだけです。
耐え難い日々も、泥の中でも、足を踏み出して一歩先に進んでいれば、いつか必ず「脱出」できます。

それまで、魂に、幸と安逸を。

いや、せめて安らかな睡眠を得ることが出来る夜を
そう願うだけです。

こんな世ですが、ねばり抜いて欲しい。

2013年03月08日

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