日本人の始まり~日本人とは何なのか(3)  

日本人の始まり

原始人の狩猟

「あなたは日本人がどこから来てどんな風にしてクニを造りあげてきたのかを、すべて見ているんですなぁ」 富士山の威容を眺めるたびに、つい心で問い掛ける言葉です。

人間はあまりにも儚い。
明日をも知れぬ運命を抱き、毎日毎日悩み苦しみにもがいているだけの短い人生。

しかし、それだからこそ一瞬のきらめきが眩しく輝くのです。疲れ果ててしまったヒトの心に一時の安息や柔和を与えるものは「他を思いやる気持ち」

短く辛い人生だからこそ、「幸福」の重さが際立つ。
人間はそれがあるから生き抜くことが出来るではないか。

精一杯人生に立ち向かう日々の努力こそが、「幸福の密度」を高めるのだと言えましょう。

そして本物の幸福感は「他者があなたに」もたらすものです。真の幸福感は自分一人では決して味わえるものではありません。

つまるところヒトは「他者との接触」がなければ幸福を得ることが出来ないのではないか?

孤独では何も得ることができない。
それは「始まり」の頃から同じだったでしょう。

現代の我々は、最も大事なことを忘れている気がします。「人生は短い」のだという原点を忘却して、いつまでも若く、いつまでも生きれるという意識にとり憑かれている気がするのですよ。

その意識が「幸せを薄くしている」
そういうことではないかと、自分は考えてます。

そして、歴史の深淵を覗くことは「人間の儚さを客観的にみる」ことに役立つ、ひいては「今を精一杯生きよう」という心の動きにつながる。そう思っております。

人類の起源にしろ、日本人の起源にしろ、正確なことはほとんど分かっておりません。数万年という巨大な壁を越えることは、現在の科学を根底からブレイクスルーするような超科学でも出てこない限り不可能に近いからです。

したがってこういう分野で語られる話は基本的に「仮説」の域を出るものではありません。今のところ「実証」することができないのですから。その事は頭に刻んでおいてください。

「日本人はいつどこから来たのか」についての仮説も、分子生物学が発展した80年代以降と、それ以前ではかなり大きく変化しています。

遺伝子の追跡が万能だということではありませんけども、かなりな確度を持っているのは間違いないようです。

そうした多角的な分野から研究が進んだ「日本人のルーツ」の概略は以下のようなものです。

・約10~7万年前、現世人類の祖先である少数(数百人程度)のグループがアフリカ大陸からユーラシア大陸に進出(出アフリカ)、数万年かけて世界各地に拡散し、最終到達地のアメリカ大陸には約1万4千年前頃に渡来。

・この集団はおよそ6万年前に東南アジアに渡来。

・さらに一部は東進してオーストラリアへ。
あるグループは南西諸島に拡散。
別のグループは北東アジアやシベリアへ。

・シベリア・バイカル湖周辺で約3万~2万年前に寒冷地適応をし、北回りで陸続きの日本、北アメリカに向かった。

※シベリア組の一部は東進南下もしており、1万年~5千年前にくらいには中国東北部、朝鮮半島、黄河流域、江南地域にも拡散しています。
シベリア組の特徴は「寒冷地適応したアジア系(モンゴロイド)」だという点。

※注意すべき点はこの集団が「日本に来た最初のヒト類」ではないことです。彼らは後期更新世人類であり、縄文人の祖先の「候補」であるというだけのことです。遺伝子研究から日本人の祖先は「アウト・オブ・アフリカ」の集団(日本人だけではなく現生人類含)だと考えられているのです。

※面白いというか謎なのは祖先が日本やアメリカに渡ったルートです。現在までの「証拠」によれば、祖先が日本やアメリカに渡来した時期はいずれも氷河期の頃。なので北海道にしろアラスカにしろ「陸の橋」は氷の世界なんですね。

冬のカナダやアラスカをご存知の方は頭に浮かぶでしょうが、ヒトが徒歩で移動できるような環境ではありません。まして食料など調達不可能です。

そんな場所をどうやって「歩いて」来れるのか?
これについては、「既に船らしきものがあった」という説もありますが、百キロ単位の航海は無理というものでしょう。最新の研究によれば、「海岸線は氷がなく食料の確保にも困らなかっただろう」という説が有力です。

ヒトの祖先が出現したのは約500万年前。
日本列島が陸から切り離されたのが1万2,000年前
480万年以上の間日本は大陸とつながっていた。

現在日本で見つかっている最古の前期旧石器遺跡は約12万年前のものと見られています。

ここから言えるのは出アフリカ組が日本を「発見」した時には、すでに「先住民」が居たということです。

出アフリカ組が縄文人の祖先であることは間違いなさそうですが、「それ以前に石器を操るヒトたち」が存在していたわけです。

人種の分岐

出アフリカ(約10万年前)
  ↓
中東地域(コーカソイド/西ユーラシア人)
  ↓ (地中海を北上した一部は白人に分岐)
オセアニア(オーストラロイド)
  ↓   (オーストラリアの原住民へ)
アジア(環境適応でモンゴロイド(黄色人種)に)
  ↓
アメリカ大陸(アメリカ原住民/インディアン)
   (モンゴロイドがベーリング地峡を渡る)
   (1万4000~1万2000年前)
(ヒマラヤ山脈以西、つまり中東・インド人やヨーロッパの各民族はコーカソイド。山脈より東はモンゴロイド)

※ちなみに、ミトコンドリアDNAの分析によれば、現生人類の共通祖先の分岐年代は14万3000年前±1万8000年で、ミトコンドリア・イブ(共通女系祖先)が約16±4万年前。
ヨーロッパ人と日本人が共通祖先から分岐したのは7万年前±1万3000年だと推定されるそうです。
 

プレ縄文/石器時代の原日本人

日本海が形成されたのは1500万年前頃で、それ以前の日本は列島ではなく大陸の一部でした。

日本海が出来たと言っても、その後何度も氷河期が訪れてますし、海水準の低下で北側と南側は大陸とつながった状態です。

宗谷海峡が水没し、大陸から切り離されて列島になったのは更新世の末から完新世の初頭(約1万3,000年から1万2,000年前)の出来事。

この時期に「大洪水」が起きたという神話や伝説が世界各地に残っていますし、ものすごい海面上昇があったのは間違いないでしょう。

ちょうどこの時期に、旧石器時代から早期縄文時代へ移行しています。
「春がきて、日本は島国になった」というわけで、これが日本という国のスタート地点なのかも知れません。

さて、遺伝子を辿る科学は驚くべきものではありますが、伝統的な形質人類学における化石の分析は「現物がある」という点でやはり重要です。

「物的証拠」ですからね人骨の化石は。

ところが、人骨が石化した化石は日本ではあまり発見されません。それは日本の土壌の多くが酸性だからです。火山活動が活発だからでして、降り積もった火山灰によるものです。瀬戸内や近畿地方などを除く日本本土の全域は更新世の火山噴火によって土壌が酸性なのです。

骨の主成分はリン酸カルシウムなので、酸性の土の中で溶け去ってしまうしまうのですな。

稀に化石が発見される場所は石灰岩層です。そして貝塚。つまりアルカリ性が強い場所では溶けずに化石になる可能性が高くなるわけです。

過去に何度か「縄文以前の石器を使っていた人々」のものとおぼしき骨の化石が日本で発見されました。

憶えている方も多いと思いますが、「明石原人」とか「牛川人」とか「三ヶ日人 」とか、発見当時は数万年前の更新世人類の骨だとして騒がれたものです。

しかしこれらはその後の研究でことごとく「否定」されています。「更新世人類の骨ではない」

現在のとこ更新世人類の化石だと認められているのは、【静岡の浜北人】と【沖縄の港川人】のみ。浜北人と港川人は12000年~18000年前の「縄文の夜明け」くらいの人々だといわれます。

沖縄県ではさらに有望な発見があり、那覇の山下町洞人、石垣の白保で発見された人骨は、3万年~2万年前のもの。

オセアニアに向かったグループの一部が、途中で北上に転じて日本に向かった者達なのか。

原人、旧人、新人という分類の仕方ですと、新人は約4万年前からだとされますので、日本で発見された人類の化石は今のところすべて新人のものだということです。

ではそれ以前は?

日本における旧石器時代は、人類が日本に移住した時から始まり、縄文時代が幕を上げる1万5千年前後に終わります。

最古とされる岩手県遠野市宮守町の『金取遺跡』からは、8~9万年前の石器が出土し、さらに出雲市の『砂原遺跡』では12万年前のものと思われる石器が発見されたようです。

以前は群馬の『岩宿遺跡』から出土した3万年前の石器が最古とされ、「岩宿人は原人かそれとも旧人か」などと言われていたのですから、教科書を執筆する人も大変ですなぁ。

なにしろ20年間も『数十万年前の旧石器遺跡があった』と信じていて、教科書にまで載ったというのに、それが全部デタラメの捏造だったという事件がありましたからねぇ。
※下段の『旧石器捏造事件』に詳細

金取遺跡から出たのは中期旧石器に属するかなり高度な狩猟用などの石器。12万年前の砂原遺跡から出たのは前期旧石器ですが、槍や斧に近い物が見つかっています。

野牛やナウマンゾウを追ってユーラシア大陸から渡って来た旧石器人たち。

ナウマンゾウをも倒せる細石刃などは技術的な高度さゆえに、各地で自然発生したとは考え難く、バイカル湖周辺の集団が地続きの北海道経由で日本に移動してきたという説が有力。

この説では、シベリアの狩猟民であるエベンキ等がバイカル湖周辺からアムール川流域、サハリンを経由し、最終氷期の海面低下により地続きとなっていた北海道に到達し、九州にまで達したといいます。

対馬・朝鮮経由で渡来した集団もいたでしょうし、東南回りで南西諸島にも来た集団もいた。

しかし、これらの分析は主にイブの子孫たちであり、現生人類の祖先がターゲット。

でも「10万年以上前の人類」がいたのは確かなことで、ここをどう考えるかです。

同じ原人から分岐したネアンデルタール人の亜種が沢山存在した。旧人に属し東アジアまで広がった種がいたと考えるしかないでしょう。

ホモ・エレクトス(原人)がそのまま進化した種や、すでにホモ・サピエンスに分岐していた別の集団もいたでしょう。

こうした先住民が、『3万年前頃に渡来した現世人類の祖先』と入れ替わった。淘汰か滅ぼしたのか、交じり合ってしまったのか。

「住民の入れ替わり」は波状的に何度もあったでしょうし、石器から縄文、縄文から弥生、弥生から古墳、古墳から歴史時代、そうした変換期にもあった事です。

北からはマンモス、ヘラジカ、トナカイ、ヒグマ、ナキウサギ、キタキツネなどが。
南からはナウマンゾウ、オオツノシカ、カモシカ、ニホンジカ、ツキノワグマ、ニホンザルなどが。

日本が大陸から切り離される前、約7万年前くらいをピークに動物達が大陸から移動してきて、その動物を追って人類も移動してきた。

4万年~3万年前には世界最古に属する磨製石器が作られており、日本が「刃物先進国」であり続けている原点というかスタート地点が垣間見えて興味深いですね。

栃木の『高原山黒曜石原産地遺跡群』などから、大変に古い時代から日本人が「道具好き」だったのではないかと推測できます。

研磨石器

歴史時代の初期から「日本刀」を最高の国産品として海外に輸出していた点など、出雲の国のルーツなどと絡めて考えると非常に面白いのです。旧石器時代に根がありそうな気もしたりね。

もしかして高度な「包丁を世界で初めて製造した」のは、大昔の日本人だったのかも。

2万年以上も前の「家(竪穴住居)」跡から、調理設備とナイフ形石器などが発見されているのです。

包丁の原型か?

現在見つかっている世界最古の「土器」は日本の縄文式土器であり、約1万6千年も前の物。

コナラ、クリ、クヌギを主体とした落葉広葉樹林が日本本土を覆うようになった時期がこれくらいであることから、土器はこれらの木の実を調理する目的で出現したのではないか?

大半はアク抜きをしないと食べられない実ばかりですからね。つまり縄文土器はアク抜きの道具としてスタートしたのではないかと。

現代の日本は「モノ作りの国」として世界でも名高いのですが、あるいは3万年前から同じだった可能性があるということです。切る道具に調理する道具の最古で高品質の物が日本から発見されている事実。

こうして考えると、もしかすると「調理の段取りは男性の仕事」だったのかも知れません。

なぜかというと、「包丁と調理土器の洗練」
こうした物は男性もタッチしてないと、生み出されないのではないか。凝り性で道具好きなのは男の特性。

狩りと漁労で肉と魚を持ち帰り、包丁(石器)で捌いて下処理してから女性に仕上げを任せる。同様に植物の下処理もやる。

こうした「男女平等」とも言えるような仕組みが後の縄文時代から古墳くらいまで続き、その影響は戦国時代まで残っていたのではないでしょうか。

日本は、クニの形成において女性が主体的な役割を果たしていたとしか思えないのですよ。

※旧石器捏造事件とは
1980年代に東北地方で発見された「約70万年前」の前期旧石器時代の遺物がすべて捏造だと分かった考古学上の大スキャンダル。このデタラメが2000年まで信じられていたという考えられない出来事であった。

日本の学術界の体質がよく分かる事件で、「ちょっと良い事があればそれを恣意的に拡大して大騒ぎし、疑問を唱える正常な人は完全に無視される」という日本人が昔から今この瞬間まで延々と繰り返している悪いクセですね。

現実を正面からみることをせず、根拠の薄い捏造に近い事柄であっても「権威づけ」されたら事実と認定されてしまい、チエック機能が働かなくなった挙句、いざ「現実が証明されるような事件事故」が発生したら、まったく備えなどしていないので、壊滅に近い影響を被る。

原子力発電所が爆発にまで至った原因もまったく同じクセによる「横柄で権威的な構造」によるものと言えましょうな。
日本人のこのような体質はまったく変化してません※ので、これから先も似たような事件事故は起きると思いますよ。 是非ともリンク先をお読みになって欲しいものです。
旧石器捏造事件 wik

※このキーワドで検索すると分ります
論文 改ざん 捏造

2013年08月12日

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