鵜飼を観じて呷る日本酒  

鵜飼を観じて呷る日本酒

今まで記憶にない連日の暑さに、蝕まれているみたいです。
うちの板前から、「どうしたんですか」「大丈夫ですか」と、仕事中に言われる始末。集中が続かないのですよ。

おそらく寝る時間帯にも気温が下がらないのが原因でしょう。
エアコンや扇風機をONにしていては寝れない体質ですから夜中に汗をかいて起きてしまう。

もうウンザリですな。
秋の献立を書いていてもまったく気乗りがしない。なにが秋だってんだか。もちろんサイトにも全然集中できず、このブログも今夏は少々おかしい。
(いつもおかしいですが 笑)

文字通り「殺人的な」暑さだった夏(まだ終わってない)。
熱中症でお亡くなりになった大勢の方に心から御悔み申します。
本当にお気の毒なことで、ご冥福をお祈り致します。合掌。



「冷卸/ひやおろし」

さて、いくら暑くとも今は秋です。
秋のモンを紹介するとしましょう。

前の記事で菊理姫を紹介しましたが、高いばかりが酒じゃないって教えてくれる日本酒が『鳳凰美田』です。その鳳凰美田の秋の酒「ひやおろし」です。

冬に醸され、新酒の時期に絞られ火入れされて貯蔵。暑い夏は冷たい蔵の中で熟成され秋口に二度目の火入れをせず、「冷や」のまま容器に「卸して」出荷される酒が「冷卸」。

鳳凰美田でも冷卸のみは瓶貯蔵ではなくタンク貯蔵にして、「ひやおろし」の本質を守っております。

米種は山田錦と五百万石の2種がありますが、冷卸としては山田錦よりも若干さっぱり感のある五百万石が向いてる気がしますし、五百万石の方が値段も安くなる。

日本酒を旨く飲むには「和食」を食べつつ飲む事。
特に海産物を肴にすると相乗効果を得られます。

器を変えながら飲むのも面白いです。

日本の器は独自性が強く個性が際立ちます。
ですから器を変えただけで酒の味まで変る感覚を楽しめるのですよ。

鳳凰美田


日本酒というのは不思議な酒です。
どれほど旨く感じ、自分はこれが最高だと思っても、飲んでいると「限界」を感じてしまう。米の甘さは砂糖を感じさせ、麻薬的な習慣性ができると同時に口内に残留する「くどさ」に辟易してきます。
いかに磨こうが、熟成させようが米のもつ特性は消えない。

正直に言いますと、現在の世の中、現代人の嗜好の動きから考えて、日本酒が生き残って行くのはかなり難しいというのが率直な感想です。これは何故だか「今の日本人がおかれた状況」にそっくりなんですよ。

口径10ミリの遠眼鏡

ここのところ連続で「日本は救いようがない国」というトーンの記事ばかりになっております。「あんたはそんなにこの日本国が嫌いなのか」と思うでしょうが、もちろんその正反対です。骨の髄から日本人ですから。

しかし、自己憐憫による歪んだ愛国精神に陥り、醜い「日本バンザイ、ガイジンは消えろ」みたいな猿同然の言葉を吐くスタンスはごめんです。

だからといって、危機感を煽るように「狼がきた」と叫ぶ気にもなりません。
「冷静に考えて事実としか思えない」ことを書いているまでです。
いえ、「事実」を書いております。

日本が非常に困難な立場に追い込まれているのは事実。
なのにマスコミのトーンは20年前とまったく同じ。
これほど現実が認識できずにボーっとしていられる理由は何か。

戦後から70年代に頑張って貯めていた「財産」があるからです。

「失われた20年を日本はよく持ちこたえたもんだ」と感心する海外の学者がおりますが、バブル崩壊後現在までなんとか持ちこたえて来られたのは、その時期に貯めた「財産」を切り崩していたからですな。

「もう隠し玉が消えた」
それが「今」なんですよ。もう日本には切り崩す財産は無いのです。
「教育」「インフラ」も「人の魂」も吐き出すだけ出し尽くし、空っぽ。

中国さんが作ったアフリカのビルがたった数年で崩れるのを笑っている場合じゃなく、日本の橋や道路、山の擁壁や海そして川の堤防は殆どがもう崩壊寸前なのです。

「開発」と称して自然の渓谷を潰し必要の無いダムを作り、海を埋め立てはしますが、これらの古いインフラを補修する事には何故か興味がなく、またそんな予算も無い。したがってこの国は自然災害に脆い。

温暖化による異常気象が本格化すれば、あるいは致命的な事態を迎えるかも知れません。なにしろ大雨一発で水没の危険がある都市ばかりですからね。

この国に残っているのは「マイナス」だけです。
感情が無いかのような殺伐とした事件事故。
先日の「高齢者隠し問題発覚」などもそうですな。

貯金箱が底をつき、奥に隠れていたパンドラの箱を開けるしかなくなってしまったんでしょう。これからもボロボロと出てきます。

日本最大の財産、「有能な人材」はどこに消えたのやら。

かたやアキバに行き、かたや東大出て官僚ですか。
どうやら他国とはもう「競争」になりませんなこりゃ。

寄生虫だらけになり、「細くなったスネ」に噛り付く者ばかり増えて、裸一貫で銭を稼ごうという気概を持つ者は海外流出していく。こんな国では商売にならず、大企業もやがて海外移転を本格化する。

戦後築き上げて来たものを全て食い潰し、あとは最後の拠所『国民の貯蓄』だけですが、実際はこれが国債に化けており、国家経済が破綻すればほぼ消滅します。

世界から見る「日本の価値」はその千兆円を超す国民貯蓄だけで、それを虎視眈々と狙っている構図ですが、財政赤字が千兆円に迫る今、実質的にはそれだけの価値を持ってないと考えるのが正解でしょう。

しかもハゲタカさんは頭が良く、「生かさず殺さず」です。将来的に肉は残すが骨の髄は吸い取られてしまう可能性が濃厚ですな。もしくは破綻してIMFの支配下に入るかでしょう。

何かの姿に似ておりますなぁ。
戦後乗り込んできた占領軍、つまりアメリカさんは『鵜匠』にそっくりですね。
日本は首に縄をかけられて鮎を吐き出す鵜ですな。

意図していたのでないのかも知れませんが、結果的にそういうことになってますね。


世間は中国、中国と大騒ぎ。
数字だけをみて、やれ**年にはアメリカを抜いて世界一の大国になるだの喧しいかぎりですが。馬鹿げておりますな。

日本を抜いて世界第二位のGDPになったからってそれがどうしたって事ですよ。10億を超える国民の半数が貧困状態のナンバーツーにどんな意味があるというのか。小さな北欧諸国と「国民の幸福度」を比較してみればよい。

そのぶん開拓の余地があり市場は厖大?
中国国民一人あたりの所得が米国や日本なみになるまでって計算ですが、工場の工員の給料を上げずにそれが出来ますかっての。

そうなる前にバブルが崩壊して産業が空洞化するに決まってるでしょうに。マネっ子がクセになってオリジナルの産物は誕生せぬ偏った産業構造であればなおさら。

アメリカは今経済不安に怯えてる姿が印象的で、評価も落ちつつありますけども、中国がアメリカを抜くことはあり得ません。

アメリカはね、「世界中のオイシイ部分」独占している状態であり、それはまったく変わりません。「肝心なもの」はほとんどがアメリカに押えられているんですよ。それは経済分野だけではありません。「あらゆるもの」です。

例えばあなたの趣味がなんであれ、それの「最高」を突き詰めていきますと、必ずアメリカ資本に到着するはずです。飛行機マニアにしろ映画・音楽ファンにしろね。それが「独占」の意味です。

まぁ今のアメリカは面倒な「モノ作りは」やめてしまい、「物を作る連中の上前をハネル」だけで儲かる金融屋の時代ですが、それでもブラックボックス的な「肝心な物」だけは手離しておりません。安物製造は海外に移転しても真に付加価値があるものだけは米国にあるってことになります。

具体的な例を一つ。
日本は40年間世界ナンバーツーでしたが、それでも自衛隊の次期主力戦闘機を自分の国で製造することすら出来ません。なぜ最先端の技術を持ってるはずの日本が飛行機ひとつ自国製造できないのか。その理由を詳しく調べてみれば、上に書いてる事が真実だと分かりましょう。

アメリカの真似は中国には絶対に出来ません。
日本と同じ運命をたどるでしょう。

偏った経済繁栄はやがてインドやベトナムにシフトして行き、結局「世界の田舎者」からは脱出できないで終るってことです。

中国も、『鮎』をつかまえたつもりが実は欧米へ獲物を吐き出す鵜にすぎないって事でしょうなぁ。

日本や中国は「欧米の様な」金の使い方ができないアジアの田舎者に過ぎず、一時期甘い夢を見させらただけって結果になりそうです。アジアで多少金の使い方を知ってる国はシンガポールやここ数年の韓国あたりでしょうかね。

「国家は大きければ良い」という考えを捨てているからでしょう。

【市場になるより市になれ】ですが、日本はそれを学べなかった。そして中国も同様に市場になって荒れた国土を残すだけでしょうな。身の丈に合わぬ背伸びがすぎたのかも知れません。


まぁこんな論調ですが、実際のとこ暗いことばかりではないでしょう。

何事も正があれば負があります。
そしていつまでも続く事象はありません。

変化は世の常で、予測はいつも覆るものです。
真面目に働く者が報われず、ハゲタカ寄生虫の性質を持つ人間だけがリゾート地に別荘を持てるという現在のグローバル世界の姿も、いつか変化していくのかも知れません。

SNSも一段落つき、ブログも含めて「この形のネット」の最盛期は終ったような気がしますけども、ツイッターには何らかの可能性が残っているかも知れませんしね。

マスコミを一掃してしまう可能性です。
日本を変えるのは簡単です。今のマスコミを滅ぼせばよい。

おいらは日本人気質にツイッターは絶対合わないと思うので否定的なんですが、使い方に色々面白い変化が出てきている様ですな。

たとえ大半が使いこなせず脱落していこうとも、いつの世も革新は少人数から始るものです。【ツイッター維新】にでも期待しましょうかね。若い衆。

真面目に努力する者が報われる国に日本を変えて欲しい。
そうでなきゃ「未来」は闇の中です。

2010年09月03日

Comment


お問い合わせ・サイトポリシー
Copyright © 2024 手前板前. All Rights Reserved.