惑わされない、ぶれない 


惑わされない、ぶれない

恒例に近い秋の旅。
仕事を兼ねて九州まで行きましたが、飛行機は一部のみで新幹線を利用したのは寄りたい場所が多かったから。

名古屋駅で下り、名古屋~岐阜羽島~京都の部分は車でブラブラ。
おかげ様にて懐かしい板前仲間たちと旧交を温めることが出来ました。

関西の仲間の店にて馬鹿話したのが印象的でしたねぇ。



「最近ミスマッチの組み合わせで料理を美味く食べるってのが流行りらしい」
「色々あるが、和食に洋食系の調味料や食材をぶっ掛けて食べるって奴」
「意外な隠し味ってところだね」

「あぁ、分かるけど。昔からあるよ」
「その元祖みたいなのがマヨネーズ飯だろう」

(笑)
「それそれ!」
「確かにそれがハシリだね。気色悪いよアレは」

「でもそれがたまらなく美味いって奴が意外といたんだ」
「それどころか、コーラぶっ掛け飯 って奴もいた」

「和辛子をパスタにとか逆もあるし、納豆をラーメンになんてのもあって、もうナンデモアリってところじゃないか」

「笑い話じゃなくて、どこまでも崩れて行くねえ料理は」
「その先に待ってるのは新しさじゃない気がする」

「分かってるよ」
「そんなものに心を惑わされないさ」

つまりお互いに【和食は一滴の醤油】ってのを確認した訳です。
出汁と醤油で成立しなきゃいけない料理なんですよ和食は。

大阪伊丹空港で車を捨て、後は飛行機。
九州を回り、帰りも飛行機。

店に戻ると番手が何かをしております。

「何をしてんの?」と覘いてみますと

どうやら前菜に使うらしい。

調理台にはこんなものや

こんなものがある。

「ふ~ん、おめぇも和食屋らしくなったもんだ」
「どこから見ても板前だよ。そいじゃ (笑)」

塩で段取りしてアタリは出汁と醤油。
古臭すぎるかもしれませんが、こいつを守って行きたい。

おいらの厨房には世界中の調味料や食材があります。
「賄い」でこんなモンを食う事も頻繁にある。

だが無国籍料理のコックではないのでそれ等を店の料理には使いません。

おいら達は「板前」なんです。
ナンデモアリの世の中だからこそ、それを忘れたくはないんですよ。

2010年10月07日

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