外食業の客あしらい 


接客業の道、悠遠し

今年もまた大型連休が迫ってまいりました。
みなさん其々に予定を組んで楽しみになさっていることでしょうなぁ。
好天に恵まれ良い思い出がつくれるといいですね。


飲食関係とかサービス系のお仕事なら逆に気がたっているかも知れません。段取りが気ぜわしいですからね。なにしろ忙しくなりますし。

それに今年は企業が軒並み「人減らしモード」。本社は人員をカットしろと突っつくし、でなくてもホール係のバイトなどは連休に出たがらない。

そんなこんなで大型店舗の店長やマネージャー職の方は眉間にシワができてるとお察し致します。

世の中の企業は傘下に外食店を持ちながら、なぜか本社の人間が『週末のピークタイム』に店を視察に来ないところが多い。意味が分かりませんな。

もちろん例外もいて、そんな偉いさんのいる外食チェーンは伸びていますが。どちらにしろ「現場がまわるかどうか」くらい把握してないとゆくゆはガタガタになりましょうねその会社。「人減らし」じゃなくて「売上減らし」ですなぁそんなものは。

来店されるお客様が第一ですよ。対応できない人数では迷惑をかけてしまう。店のスタッフを減らすなら、先に店の席数を減らすのが物事の筋ってもんです。





さて自分はもうウン十年も接客業をしておりまして、ブログでは意味不明の人間では御座いますものの、店に出ればそれなりにプロ意識と緊張感を失う事はありません。お客様の前では足りない頭をフル回転させつつ精一杯つとめております。

それでもロボツトではありませんので「ミス」は起きます。我々にとってミスとはたった一つの事を意味しています。それは「お客様が何らかの不満を持って帰ってしまう」ということですな。

そうはならない様に神経を張って対応していますが、お客様といっても実にもう様々なタイプがおられます。人間だからそれが当然でしょう。

何かのはずみで気分を害する人を100%出さないってのはとても難しいんですよ。鮨屋や和食屋は特に難しい。なぜなら難しいお客が多いからです。

板前という店員に慣れてないお客様はね、緊張してるんですよ内心。そうするどうしてもかまえちゃう。そこんとこを察しきれない時に微妙なトラブルが起きる。お客のプライド、板前のプライド、見えない火花が散るんです。
もちろん板前がベテランで一流なら問題ない。お客のメンツが先だって知っているからです。お客を立てながら板前としての仕事人ぶりを巧みに出せます。

でもそんなベテラン板でもヘマやる時がある。お客様が発言しないタイプの場合です。もし板が何かを間違えても指摘しないんですな。遠慮か内気か怖がっているのか。

そのような方でも普通は見落としませんが(それ以前に間違いなどしませんが)、混雑がひどくて忙しい時なんかはうっかりする場合もある。

最悪、最後までモヤモヤが続いたままで店を出ることになるんです。お客の心に芽生えた不信を解消する暇もあらばこそ。心に怒りを持って帰る。

このタイプはね、ハナからイチャモンつけるお客より始末に悪いんですよ。忙しい時は接客のベテランさえ見逃してしまう可能性が高いからです。

勿論わずかの余裕があるときはこちらも長年続けた接客業。見逃しはしないし、「モヤモヤ」なんぞ解して気分良く帰ってもらいますよ。

ところが悲しいかな絶対とは言えない。バタバタしてると見逃すこともある。今でもそうです。

おいらはお客様が帰るときにレジの前でどんな素振り、どんな顔つきをしてるか必ず見るようにしています。習慣です。

この時に気がつくんですな。お客の本音に。お金を払う瞬間の顔ですよ。必ず顔に出ます。満足の度合い、何か粗相があったかどうか。

もしあなたが料理などを作ってお客さんにサービスする仕事をなさっているのでしたら、時々(できればいつも)お客に気付かれない位置からこのシーンを観察する事をおすすめ致します。どんなに美味しい料理を作っても無意味になる可能性があるからです。

もし不満顔で帰られたらその原因を割り出し、次からは二度とない様にする。そのたびに強く決意する自分がいれば、まだまだ接客業をやっていけると思います。


2009年04月20日

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