肌と髪のトラブルに効果のある栄養  

皮膚と髪のトラブルに効果のある栄養

髪のトラブル

しみ・そばかす

しわ・たるみ

にきび・吹き出物

アトピー性皮膚炎


皮膚は、カラダをガードする最前線部隊のようなもの。外界の刺激から身体を守ろうとする仕組みが、自動的に作動するようになっています。

皮膚の構造は、表皮・真皮・皮下組織の3層からなっており、表皮はさらに4層になっています。表皮の一番上が角質層で、角質が分化したものが毛や爪です。

表皮の一番下の基底層で細胞が常に新陳代謝していて、これが上の3層に上がっていきます。細胞が死滅し角質層に達して剥がれ落ちるのが「アカ」です。細胞が生まれてアカになるまでおよそ1ヶ月。

頭の「フケ」は頭皮の角質細胞が剥がれたもので、アカの一種。ある意味で自然現象であり病気とは少し違います。皮脂過剰からのものと、乾燥肌からくる2種がありますけども、清潔を保てば防止できます。



皮膚のトラブルは色々ありますが、多くは細菌に感染して炎症などが起きる疾患か、切り傷や火傷などのような怪我の類になり、そういうものは栄養や予防がどうのと言ってもあまり意味がありませんので割愛します。ただ、アクネ菌感染による「にきび」は、やや食事と関係がありそうなので取り上げておきます。

そして、髪の毛というのは「皮膚の一種」ですので、同時に御紹介しております。


頭髪の健康

髪のトラブル

●髪の健康に役立つ栄養

・毛髪の主成分であるたんぱく質

・たんぱく質の代謝に必要なビタミンB6

・細胞の再生に関与するビタミンB2

・ストレスや紫外線対策にビタミンC

・血流を促進させるビタミンE

※ビタミンC、Eは白髪予防にもなります

・抜け毛、フケ、ツヤやハリのなさに効くビタミンA

・皮膚や髪を健康にするヨウ素亜鉛
※過剰に摂るとマイナス

脂質や炭水化物は摂りすぎると皮脂の分泌量が増え、毛根を詰まらせる原因に。とくに質の悪いアブラは過剰な皮脂を分泌させて、抜け毛、ハゲを加速させる要因。

髪を洗わない、逆に洗いすぎる(朝シャンなど)、シャンプーの仕方(すすぎが足りない・すすぎ過ぎ・こすり過ぎなど)、パーマやカラーリング、紫外線の浴びすぎ、不規則な生活、暴飲暴食、酒や煙草の過剰、などが頭髪トラブルの原因になります。

毛母と毛根という組織で細胞分裂が繰り返されることによって毛髪は日々成長します。毛髪の成長が止まると、古い毛根の細胞は死滅し、自然に毛が抜け落ちる。抜けた部分では、再び細胞分裂が始まって新しい毛が生える。

・頭髪の成長
 1ヶ月で約1cm伸びる
・自然脱毛
 1日に約60本抜ける
・頭髪の寿命
 3~4年
・頭髪の太さ
 日本人は約100ミクロン、欧米人は60ミクロン
・頭髪の数
 日本人は約10万本、欧米人は12万本

髪の構造は、表面のキューティクル(毛表皮)、その下のコルテックス(毛皮質)、中心のメデュラ(毛髄質)の三層になっており、キューティクルがコルテックス層を保護している形です。
何らかの原因でキューティクルが損傷しますと、コルテックスの構成物であるマトリックスが失われてしまい、繊維の束であるフィブリルがほつれてしまう。これが「枝毛」です。

病気や怪我、放射線被曝や薬の副作用などを除く、抜け毛、薄毛、ハゲの原因は、遺伝とホルモンによるものが殆どのようです。皮脂漏や栄養不足・栄養過多なども原因となりますが、やはりホルモンが大きい。

精神的ストレスが原因で、一時的にハゲる円形脱毛症は、ストレスから開放されれば元に戻りますけども、毛根・毛母が細胞分裂が止めてしまえば薄毛からハゲへ進行し、元には戻りません。

昔は、「男性ホルモンの過剰がハゲの原因」とされていましたけども、そうではないことが分かってきました。

男性ホルモンは毛の成長を促進する作用があるので、男性ホルモンの分泌が多いと胸毛やヒゲが濃くなります。その一方で、頭髪の成長には女性ホルモンが関与しています。女性でも高齢になると頭髪が薄くなるのは、女性ホルモンの分泌が減少するからです。

男性の場合は、男性ホルモンから女性ホルモンが作り出されており、その女性ホルモンが頭髪の成長を助けています。
男性の体内にある男性ホルモンと女性ホルモン。この両者のバランスが壊れたときに脱毛が起きるのです。

白髪は、加齢による新陳代謝の衰えなどで、毛母に栄養が届かなくなり、メラニンを作る能力が低下するのが原因。
毛髪の色はメラニン色素の量で決まり、瞳の色と同じようにメラニン色素が多いほど黒になり、少ないと茶色になります。瞳がブルーの欧米人はこの色素が少ないわけです。

メラニンを作る量が減っていくと、毛髪のメラニンがあった場所が隙間になります。この「空間」が白髪なのです。空間にある空気が光を反射して光るため、白く見えるというわけ。

昔からの言い伝えに、「ワカメを食べると髪が黒くなる」というのがあります。
さすがに白髪が黒くなったりはしませんが、ワカメが髪の健康に良いのは本当です。アルギン酸など質の良い食物繊維、カルシウムなどのミネラル、甲状腺の働きに関与するヨード、万能薬であるビタミンAなど、どれをとってもワカメは優良な食材ですから、カラダ全体の健康に大いに役立つでしょう。「全体的な健康」が頭髪に貢献することは言うまでもありません。

このページのトップへ

前のページに戻る


日焼けによる肌のトラブル

しみ・そばかす

しみ(色素斑)、の主な原因になっているのはUV-Bです。メラニンが局所的に沈着し、その部分だけが変色してしまいます。しみの一種である「そばかす(雀卵斑)」も同じ作用によるもので、原因は太陽光線(そばかすの場合、遺伝子やその他の要因も重なります)

太陽から地球表面に到達する紫外線は波長によって数種類あり、そのうち【UV-B】と呼ばれるものが、ヒトの表皮層に作用しメラニンを生成させる「日焼け光線」です。

UV-Bで出来たメラニン色素を酸化(脂質を酸化させる。この際活性酸素もできる)させて褐色に変化させる【UV-A】は、細胞を活性化させる作用もありますが、皮膚の真皮層に作用してたんぱく質を変性させます。

コラーゲンなども影響を受けるので皮膚の弾力がなくなり、肌の老化を加速させます。老化・皮膚ガンのリスクになる活性酸素とあいまって「老化光線」と呼んでもいいでしょう。

UV-Bという紫外線は「火傷光線」というべきもので、皮膚の深層まで達して血管を拡張させ炎症を引き起こします。これはほぼ火傷と同じような症状であり、皮膚が真っ赤になるのが特徴です。酷い場合は通院するハメになります。

メラニン色素沈着によって皮膚が褐色になるタイプの日焼けが、(サンタン suntan)で、後者の火傷は(サンバーン sunburn)といいます。

UV-A、UV-Bいずれの紫外線も同じようにメラニン色素を生成させますし、シミ、シワ、タルミ、時には皮膚ガンのリスクがありますので、できるだけ直射日光は避けるべきでしょう。

しわ・たるみ

しわや、たるみは、加齢によるコラーゲンや筋肉の衰えで発生し、避ける事ができないものです。また、加齢に限らず皮脂が減って皮膚から水分が蒸発する「乾燥肌」が引き起こすこともあります。

日焼け、脂肪を極端に制限したダイエット、乾燥した環境で仕事をする、皮脂を必要以上に洗い流しているなどが、しわ・たるみを加速させます。

規則正しい生活、栄養バランスのよい食事、充分な水分補給、保湿などのスキンケア、筋力トレーニングなどで、ある程度予防・改善できますが、なんといってもやはり紫外線から肌をガードすることが一番の対策です。
紫外線は、想像している以上にコラーゲンの組織をズタズタに傷つけて、肌の老化を加速させるのです。

【小麦色の肌=健康】このイメージが定着してしまった感のある日焼けですが、太陽光線(紫外線)はビタミンDの生成を助けること以外は、生物にとって有害なものでしかありません。

日光浴により皮膚で合成されるビタミンDは、数十分で合成限界量に達し、それ以上は生成されません。通常に生活を送っていれば充分だということです。

・美しい肌をつくる栄養素の定番
たんぱく質ビタミンAビタミンCビタミンEビタミンB群ビタミンU(キャベジン)

・その他皮膚の健康に関与する栄養
プロバイオティクスとプレバイオティクスウルソル酸カルノシン酸フィチン酸

ピクノジェールという商品が注目されていますが、これは色々な点でもう少し様子をみたほうが良いと思っています
コラーゲンについて

コラーゲンはタンパク質の一種で、皮膚、筋肉、内臓、骨、関節、目など全身の組織に存在し、カラダの全タンパク質の約30%を占めています。

細胞と細胞をつなぐ役目をしており、かなりの水分を保持しています。加齢によってコラーゲンが減少すると、肌が乾燥したり、ツヤとハリが失われていきます。

美肌には欠かせない重要な成分なのは確かだということです。 しかし、コラーゲンを口から摂取しても意味はありません。皮膚からコラーゲンを吸収させても無意味です。直接コラーゲンを取り入れても分解されてしまうだけで、補充にはならないのです。
質の良いたんぱく質を始めとした栄養バランスの良い食事を摂ることにより、体内でのコラーゲン合成力を高めるしかありません。

このページのトップへ

前のページに戻る




ニキビと吹き出物

にきび・吹き出物

ニキビには大概の方が一度は悩まされた経験があるかと思います。過ぎ去ってしまえばもうよく思い出せないかも知れませんが、その時の本人にとっては非常につらい症状です。

【ニキビ(病名は「尋常性痤瘡(じんじょうせいざそう)」)】というのは、思春期のテストステロン(男性ホルモン)が分泌盛んになる頃に発症する皮膚の炎症を指していて、大人が発症した場合は【吹き出物】といいます。

原因は、皮脂の毛穴に、死滅した角質や皮脂が(ようするにアカ)詰まり、そこに皮脂を好む常在菌であるアクネ菌が繁殖するというもの。
アクネ菌は皮脂を餌にして増殖し、リパーゼを分泌して皮脂を遊離脂肪酸にしてしまいます。
皮脂が多く分泌される箇所がなりやすく、ここにホルモンも絡んでくるわけですが、その辺のメカニズムはまだよく分かっていません。

毛穴に角質や皮脂が詰まった初期段階が【黒ニキビ】
これは毛穴が開いているので「アカ」が見える状態。
毛穴が閉じて見えない状態だと【白ニキビ】

黒や白の段階ではまだアクネ菌に感染しておりません。
この段階で治せなかった場合、アクネ菌がとりつき、増殖しながら遊離脂肪酸を増やす。すると太陽光線や空気の酸素で遊離脂肪酸が「酸化」していきます。
過酸化脂質というヒトにとって害毒にしかならないものが皮膚の特定箇所にできてしまうのです。

過酸化脂質は有害物質ですから、カラダの防衛機構が出動して戦いを始めます。これが「炎症」という現象になり、こうなると赤く腫れた痛々しい【赤ニキビ】に進行。 戦争の跡である「敵味方の死者」が【膿】となって膨れ上がるまで腫れは治まりません。

黄色い膿が出たことで治ってくれれば良いのですが、多くの場合炎症が隣近所に広がっているものです。
また、多くの場合気になってニキビを指でいじくってしまい、その指でアチコチ別の場所に触れる。自分で感染を拡大しているようなものです。

こうなると毛穴深く侵入するチャンスが増え、表皮を破って内部に入ってしまう。炎症が皮膚の内部深くにまで飛び火すると、例えニキビが治ってもアバタが残ってしまう可能性が高くなってしまいます。

皮膚の項で申しましたように、皮膚表面の新陳代謝が一回転するのは約1ヶ月。この期間で炎症跡が消えないと、ほぼ【ニキビ跡】が残ってしまうのです。

そのニキビ跡がどうなってしまうかは、炎症の度合いとその人の再生能力次第になります。症状がそれほど酷くなくて代謝が良好な人であれば、ほとんどは将来消えてしまうものです。

ニキビ・吹き出物に効果のある栄養

・抗酸化ビタミンで酸化を防止
ビタミンCビタミンAビタミンE
※とくにビタミンCは色素沈着も防いでくれる肌に不可欠の栄養素
・肌の抵抗力を高めるビタミンB6
・肌の新陳代謝を促すビタミンB2

ニキビは皮脂過剰によって起きるものなので、油っこい食品はよくないと昔から云われています。
確かに脂質の摂り過ぎは良くないのですが、食べる物によってニキビが出来やすくなるというのは少々根拠が薄い。何を食べていてもニキビは発症するからです。おそらく食べ物の因子は極めて小さいでしょう。
それよりも乱れた生活習慣、ストレス、睡眠不足、化粧、きちんとした洗顔をしていない、こうした要因とホルモンバランスの狂いが原因だと思います。

最大のニキビ予防は、「ニキビは毛穴に詰まったアカから始まる」ということを、ちゃんと理解しておくことではないでしょうか。
この段階でケアできれば、アクネ菌の感染を防止できるのですから。
アクネ菌は常在菌。虫歯の菌と同じように活発になるのは「寝ている時」です。寝る前に適切な方法で洗顔し、特に化粧などは残滓が残らぬようにする、そして枕カバーなどは常に清潔にしておく。これだけで感染リスクは減少します。

食べ物はあまり関係ないと書きましたが、腸が荒れますと、間違いなく皮膚に悪影響が出ます。健康な腸を保持するためにも、食物繊維は欠かせません。

このページのトップへ

前のページに戻る


アトピー

アトピー性皮膚炎

皮膚の疾患といえば、近年はアレルギーによるものが増えています。「蕁麻疹」「食物アレルギー」、「薬物アレルギー」などの場合は原因を特定しやすく、抗ヒスタミン治療に効果があり、また、原因となるもの(サバなど)を避ければよいだけなのですが、問題はアトピー性皮膚炎です。

アトピー性皮膚炎は原因を特定するのが難しく、しかも症状が酷い。なにか特定のアレルゲンというよりも「あらゆるモノに対して過敏な反応をする」という感じですから、治療も簡単ではなく、基本的には自然に治癒するのを待つしかないという困った病気なのです。

アトピー性皮膚炎対策になる栄養

・免疫を強化する
(※アレルギーというのは理屈でいうと、免疫を強化すれば症状が酷くなるばかりです。しかし、「免疫系が正常化してくれるのを願う」しかないのもまた事実なのです)

たんぱく質ビタミンミネラル

糖たんぱく質のラクトフェリンを含む牛乳
(乳製品がアレルゲンでない場合)

ビオチンアビジン発酵食品も良い

・アトピー性皮膚炎に効果があるとされるガンマ-リノレン酸
かゆみや炎症にも効くといわれます

・アレルギー性疾患の大きな原因はリノール酸
(リノール酸は体内でアラキドン酸を生成します。アラキドン酸が炎症・アレルギー反応を誘発するオータコイド類を生み出すのです)

サラダ油を始め、ベニバナ油、大豆油、コーン油、綿実油などに含まれるリノール酸を摂り過ぎるとアレルギーを誘発・悪化させることが分かっています
(しかし、リノール酸はガンマ-リノレン酸酸の元になるものです。「摂り過ぎ」が問題ということで、それを徹底的に排除すれば良いということではないのです。あくまでもバランスです)

肉に多い脂肪酸「アラキドン酸」がアレルギーを悪化させます
(肉を食べなくてもリノール酸を摂ると体内でアラキドン酸に変化し、血管や皮膚に悪影響を与え湿疹や喘息を悪化させる)

これとは逆に、α-リノレン酸は血管の異常収縮を緩和し、アレルギー性の皮膚炎を鎮める効果があります。

αリノレン酸はシソ油やエゴマ油に多いのですが、こうした油は値段が非常に高いので、同じ効果のあるDHA / ドコサヘキサエン酸を摂ると良いでしょう

通常の油ですと、オリーブ油、菜種油、ゴマ油、米ぬか油などが比較的リノール酸が少なく、オレイン酸など安定した脂肪酸が多いです。また、ハイオレイックのベニバナ油は、リノール酸を抑えてオレイン酸を増加させたものなので比較的安全です
アレルギー疾患について

アレルギー誘発物質、抗体のレセプター、遺伝的な要因などを、専門家が色々研究して「どうしてアレルギーになるのか」を探求しております。しかしなかなか難しいようです。

筆者は【免疫システムが狂ってきているからだ】と思っております。

カラダは強固なまでに「他者」を受けつけません。たとえ同じ遺伝子を持つ肉親であっても臓器移植が失敗するケースが多いのもそのためです。頑として異物を排除するのは「自己防衛」のためです。

しかし、現代文明は「カラダが知らない人工物質」を大量に生み出すようになりました。こうした物質が食事や環境から体内に侵入するのを避けることができません。

それに加えて、自然環境と接することがなくなった都会の人間は、「カラダが遺伝的に知っていた物質に触れなくなり、免疫にとって顔なじみだったモノがカラダに入ってこない」という状態でもあります。

免疫システムはどうしていいのか分からないのだと思います。 排除すべきものと、受け入れても良いものを判断できなくなっている。こうして【免疫の暴走】が起きるのでしょう。

アレルギー(Allergy)とは、「よくわからない・原因不明」という意味です。
「よく分からない」のは、人間ではなく免疫の方だと筆者は思うのですが。ヒトがやっている事についていけずに困っていて、一部は壊れてしまったのでしょう。

関連:花粉症

このページのトップへ

前のページに戻る



お問い合わせ・サイトポリシー
Copyright © 2024 手前板前. All Rights Reserved.