肥満が招くもの【肥満による病】  

肥満は血管障害を招く


左が健康な人の血管。右は肥満者の血管。
右の血管は動脈が硬化し、静脈がつぶれているのが分かる。

脂肪細胞が分裂、肥大化しだすと、まず皮下に沈着して「皮下脂肪」になり、やがて内臓にも沈着し「内臓脂肪」に。さらに進行すると「異所性脂肪」となり、通常では考えられない箇所まで脂肪が沈着している状態になります。

「ぽっこり腹」が特徴の内臓脂肪型と、異所性脂肪型が進行すると、色々な病気を招きやすくなってしまいます。 (異所性脂肪に偏るケースもあり、こういう人は「外見は痩せて見えるけど、内部は肥満ということも)



こうなると完全に「肥満」であり、まず自律神経の調整が徐々におかしくなってきて、血管をやたらと収縮させるようになり、血管に多大なストレスをかけることになります。

脈拍数90以上、最高血圧130以上という「高血圧」に近づき、これにより心臓に負担がかかる。

コレステロール要因も重なると、動脈硬化が進行し、冠状動脈も細くなって心電図に異常が出てくるようになります。 こうして「心不全」「心筋梗塞」のリスクが高くなっていきます。

「腹のポッコリが気になる」、「それに息切れしやすくなった」、そう感じてきたら、脈拍数、血圧をチェックしてみて、正常ではないと判断できた場合、近くの病院で、眼底検査、エコー検査、脈波伝播速度検査、こうした検査をうけて、ついでに心電図もチェックして貰いましょう。高血圧、動脈硬化、心疾患、脳卒中などを予防するためです。

肥満と糖尿病の深い関係

日本を含めた世界中で、糖尿病になる人が倍々ゲームのように年々増加しています。まさに爆発的ともいえる増加率であり、国際糖尿病連合(IDF)によれば、糖尿病による世界の死者は年間500万人を超えており、このままのペースだと、2035年には糖尿病患者が5億9200万人に達するそうです。

血液中の糖分は、膵臓が分泌するインスリンというホルモンによって分解、消化の調節がなされています。インスリンによって血糖値が正常に保たれているわけです。

ところが、GI値の高い食品を多量・頻繁に食べていると、濃度の高いぶどう糖が血中に入りすぎてインスリンそのものがストレスを受ける状態になります。

こうしたことが繰り返されて起きるのが「インスリン欠乏」で、欠乏状態が続くと2型糖尿病ということになります。

血管内部は、高濃度のぶどう糖にさらされ放題ということになり、やがて血管の内側の細胞が破壊されていく。すると、コレステロールがたまりやすくなり、太い血管は動脈硬化症に、細い血管は破裂しやすくなり、たえず出血が起きるようになる。

糖尿病は完治方法が見つかっておらず、進行すれば糖尿病独自の合併症のほか、以下のような障害を招くリスクが増していきます。

心臓の冠状動脈が閉塞し、心筋梗塞に

眼底血管が破裂し、失明に

糖尿病による動脈硬化症は足に出やすいので、足を切断するしかないケースも

腎臓の毛細血管がつぶれると、腎不全に
尿ができない状態で生きることは出来ませんので、人工透析を続けるか、腎臓移植をうけるしかなくなります。

肥満によるインスリン抵抗性

肥満は脂肪が蓄積肥大している状態で、蓄積しているのは脂肪細胞です。脂肪細胞はインスリンの作用を邪魔する物質を数種類分泌しています。

インスリンはホルモンとしての働きができなくなり、これによって「インスリンが足りない」という間違った信号を受けた膵臓は、どんどんインスリンを作るようになります。

これではいくらインスリンがあっても足りません。 すい臓が一生のうちにインスリンを生産できる量は決まっておりますので、こうした「増産」によって枯渇が早まります。

完全に枯渇したら、生涯インスリンを注射し続けるしかなくなるのです。

糖尿病には遺伝的要因もあるとみられていますが、遺伝子異常があったとしても生活習慣が健全であれば殆ど発病しないと考えられています。
ようするに、「ぼほ食生活が原因である」といえましょう。この50年で急速に増えている事などから、そうとしか考えられないからです。

近年は、子供にも1型ではなく2型の糖尿病患者が増加しているそうです。
糖尿病になってしまったら、治すのが非常に難しく、進行してインスリンが完全に枯渇してしまえばもう治りません。
ならないように予防するのが最善策であり、子供の場合は親の責任でもあります。まずは肥満を防ぐことです。肥満を回避すれば糖尿病のリスクは60%も減るのですから。

高血糖・糖尿病の予防改善

終末糖化産物



肥満はこんな病気も招く

アルツハイマー病

アルツハイマー病に代表される痴呆症は増加の一途を辿っており、これから先ますます激増するのは必至でしょう。 この病が引き起こす社会的な負担は想像以上に重く、これから大きな問題になっていくのは確実です。

アルツハイマー病は、β-アミロイドという小さなタンパク質が原因の一つだということが分かっていますが、ガンや糖尿病と同じく根治の方法が見つかっていません。予防が最善の策ということです。

アルツハイマー病も、「食習慣」によって発病しやすくなる病気だと考えられており、糖尿病と糖尿病予備軍は、そうでない人に比べてアルツハイマー病になるリスクが5倍も多かったそうです。

脂肪肝

単純性の脂肪肝は、肥満によってなりやすくなる病気です。 主に砂糖の過剰摂取が原因であり、糖尿病と密接な関係があります。放置すれば高インスリン血症になり、肝臓が炎症をおこしたり、様々な臓器にも障害をひきおこします。

睡眠時無呼吸症候群

SASと略される睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に低呼吸になったり、呼吸停止してしまう危険な病気です。肥満ですと、発症のリスクが3倍以上になります。

変形性膝関節症

鍛えることもできず、減っても再生しない膝軟骨。ここが摩耗すると痛みを感じ、酷くなると激しい痛みで歩けなくなる。国内の患者数は約700万人と、誰もが発症する可能性がある病です。体重が重いとリスクが増します。

骨粗しょう症

肥満は、過食と栄養バランスが悪い食事を摂ることが主な原因ですが、こういう食事はカルシウムの吸収を阻害している可能性が非常に高い。

骨粗しょう症はカルシウム不足が大きな因子ですから、当然肥満であるとリスクが高まります。また、生活様式が洋風になって畳での暮らしが減っていることから、躓いた時に骨折しやすくなっており、その場合も体重の重さはリスク要因でしかありません。

ガンと肥満の関係

脂肪は増加するだけで「過酸化」しやすくなる。
また、糖尿病とも関連した糖化反応などでも「フリーラジカル」が発生し、これも酸化を招くことになる。こうした要因などから癌を誘発しやすくなり、肥満者が以下のようなガンになった場合、危険度(死亡リスク)が増大する。

肥満が加速させる癌
肝臓癌、膵臓癌、胃癌、食道癌、大腸癌、前立腺癌、甲状腺癌、膀胱癌、乳癌、子宮癌、卵巣癌など

このうち危険度が高いのは、肝臓癌、膵臓癌、胃癌、食道癌、直腸結腸癌、前立腺癌などです。

肥満は、そのほかにも、甲状腺機能低下、肝硬変、貧血、体臭の悪化、ホルモンバランス異常による抜け毛、男性のインポテンツ、女性の無月経などのリスクがあります。
また、胆石のリスクもあります。

太る原因

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