日本人は米が主食だから、塩分の強い副食を食べ過ぎる、従って健康に好くない。
なんてアメリカ輸入の神話が根強く蔓延してますが、近年の美食ブームの流れの延長線なのか、「塩の美味さ」が見直されてるのはよい傾向でしょうね。
先頭に書いた話は、逆でしょう。
米食が減少して、欧米型の肉食に近くなったから血液の循環は悪くなるし、肥満も増えた。ついでに言えば砂糖が増加し塩の摂取が減った。
だからお年寄り達の頑健さ、長寿を、我々は多分失くしている。要は不健康になっている。これが正解じゃないかと思いますが。
病院にお年寄りが多いのは、数値でしか人間を判断できない医者達が増えているせいで、数字だけを見て不健康だと診断され、来院を促されるせいではないかと考えてます。血圧が少し上昇したから降圧剤を処方するって按配
砂糖と違い、塩みたいなしょっぱい物を、大量に食べるなんてそもそも人は出来やしません。
くどいようですが食品はバランスなんですよ。
個々の食品に問題がある訳ではなく、同時に食べ合わせる他の食品とのバランスが良いかどうかが大事なんです。
塩のナトリウムを摂ったら、同時にカリウム、マグネシウム、カルシウムも摂取しなきゃいけないって事です。これらは単体では無意味あるいは害なんで、互いの比率がバランス良く合わさる事で体内で有益に働く様になるんです。
例えば野菜サラダばかりを食べて、塩分を摂らないとどうなるか。
カリウムを多く含む野菜に偏ることで、ナトリウムとのバランスが壊れちゃう。
すると冷え性、低血圧、便秘症などを誘発する事になっちゃう。
ただでさえ我々の周囲には多少の塩分など摂っても、それを相殺してしまう食品だらけなんです。塩分が足りないってことですね。
そこらじゅうに「一日の理想的な塩分量」なんてのが書いてありますが、馬鹿馬鹿しいですな。あらゆる物に含まれる塩分の計算など不可能ですし、そんな必要なんてありゃしません。体は知ってますよ、所要量は。
減らす必要があるとしたら、それは精製塩だけです。
塩の選び方
塩が選び放題になったのは嬉しいことなんですが、天塩、自然塩、なんて文字が躍ってましてなんかよく判らない。
どうやって判断すればよいのかと悩む場面も多いのではないでしょうかね。
そもそも「自然塩」という物に定義は無いんです。
商品宣伝用の語と化していると言ってもいい。
塩ってのはもともと全部海水ですから(岩塩も)、精製塩と一部化学工場(ゴミ処理場等)から副産物として出来る塩以外は全部自然塩といえます。
食塩は大別して次の三種。
岩塩 地殻変動で陸封された海水が蒸発乾燥した塩の層で、
日本には存在しません。ニガリが少ないのが特徴。
天日塩 塩田で海水を蒸発させる塩です。
岩塩と同じく、これも全て輸入されてます。
せんごう塩 ほとんどの食塩がこれになります。
1 海水を膜透析で濃縮して煮詰める
2 岩塩を水に溶かして煮詰める
3 天日塩を溶かして再度煮詰める
この三種を元にして、さらに細かく用途に合わせた様々な製塩法が存在しているんですね。
まぁそんな話よりも、知りたいのは「どんな塩が良いのか」だと思うんですが、これが難しい。
塩化ナトリウム純度が突出した「化学精製塩」(イオン交換膜式製塩法で専売されていたもの。一般的な食卓塩のこと)は論外として、基本的には
『体液のミネラルバランスに近い塩』
が良い塩といえます。
このミネラルバランスを宣伝文句に取り入れた「自然塩」メーカーが現在は沢山あります。
それなりにブランド力もつけた有力商品は、かなり有名になってまして、全国のスーパーなどで容易く買えるようになっています。
しかしこれらの「自然塩」は、そのほとんどが「再生自然塩」なんですね。
先ほどの「天日塩」を海外から輸入して、それを原料にニガリを加えたりして再製したものです。
天日塩田の輸入塩は、塩化ナトリウム純度が高いため、出来るだけ自然なミネラルバランスにする必要があるからです。
でもそうは言いましても、精製塩に比べると「本物」と言ってもよい部類だと思いますけどね。
おいらが自信を持って「こいつはお勧め出来る」ってのは残念と言いますか、二種類くらいしかありません。
一つは沖縄宮古島で作られてる「雪塩」です。
美しい海水を瞬時に蒸発させて作る特殊製法でして、ミネラル含有量は驚異的です。多少ニガミは強いですけども、舌にのせたときの塩辛さは柔らかい。
もう一つは本当の意味で「自然塩」と言ってよい、日本食用塩研究会が伊豆大島で作ってる「海の精」ですね。(*現在は(株・海の精)
専売公社の時代から自然塩にこだわったこの会社は、特別に塩製造許可を受けてコツコツと自然海塩を作り続けています。
ここは海水を自然の力だけで蒸発させています。大変な労力だと思いますけども、自然塩へのこだわりがあればこそでしょう。
ついでに記しておきますと、和食に使う調味料は塩だけではありません。味噌あり醤油あり酢ありです。
また、その料理によって、どんな塩が良いのかは微妙に違ってきます。上にあげた「良い塩」が必ずしも料理に適する訳ではないということです。機会がありましたら、そのへんの話も書く事にしましょう。
塩と料理 良い塩とは何か
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う~ん。知れば知るほどひとつひとつの物に奥の深さを知らされます!
まともに料理をしたことがなく突入した新米主婦の頃、魚の塩焼きに精製塩を使って、その出来味のまずさにあわてて伯方の塩を買って以来我が家には2種類あります。
漬物なんかも、やっぱり精製塩だと味が違う気がします。
若いときは何を使っても同じじゃんと思っていましたが、少しずつ違いがわかるようになってきたのは作り手にまわったからでしょうか。^^
にしても塩焼きの話は自分事とはいえ赤面ですね(つヮ≦)
Posted by incident at 2007年04月18日 00:34
こんちはincidentさん(^_^)
塩の商品としての形態は多様で、とても一言じゃ無理なんですけどね、一つの分け方として、
「湿った塩」と「乾燥した塩」があります。
一般的には「湿った塩」が多く流通してますが、焼き魚には「乾燥した塩」が向いてます。
これは分離機から出たままの状態と、その後乾燥機で乾燥させた物の違いです。
けど、荒塩と粗塩も厳密には別だし、料理塩としての重要性は「結晶形」というヤツで左右されるんですよ。
ややこしいんで、おいおい書いていくつもりですが。
でも今は各自然塩会社が、「焼き塩」なんて便利なサラサラ塩を出してますから、焼き魚も簡単に美味しく出来る様になりました。
昔の板前は手間隙かけて手作りしたもんですけどねぇ。
Posted by 魚山人 at 2007年04月18日 07:10
こんにちは。
雪塩はお豆腐にちょっとかけて使ってますよ~。
私は、夏場にジュースばっかり飲むので、祖母がかわりに昆布茶を飲みなさいと言っていました。汗で失った塩分やミネラルが入っているので、冷たい物をがぶがぶ飲むより、夏バテが治りました。
昔の人は塩分も必要って、ちゃんと知ってたんですよね。
Posted by 蝶々 at 2007年04月19日 11:09
蝶々さん、こんにちは。
昆布茶。いいっすねぇ。
おいらも好きですよ。鰹昆布梅茶、なんてものを作って飲んでます(^_^)
Posted by 魚山人 at 2007年04月19日 16:01