漆器の製品表示

漆器とは

漆器を買う前に

漆器の完成品は素人が判別できるものではありません。
塗りが分厚く内部を確認できない構造だからです。
現在は技術が進んでおり、どんな外見でも合成できます。
高級な本漆に見せることなど簡単なのです。

したがって高価な漆器を購入する場合、作者の名前がはっきりしているもの、それを証明できる品物を求めることです。憶えておきたいのは「漆器の良い物に安いものはない」という事と、「高ければ本物というわけでもない」と言うこと。

だからこそ誰が製作したのか明示してあるものを選んで欲しいのです。もし表示してある作者の品物でなければそれは完全に「詐欺」として成立しますので泣き寝入りという事にもなりません。

産地表示

《国産品》

木地作りから漆塗り、加飾、仕上げまで日本で行われたもの
(木材や漆原料が国産とは限らない)

《輸入漆器》

海外で製作されたもの(主に中国)

《輸入国内再加工品》

塗り以前の段階まで作られたものを輸入し
国内で仕上げたもの

漆器の素材表示

《天然木》または《木製》

木材を使用している。 木胎(もくたい)漆器

合成樹脂(プラスチック)系

それぞれに違う特徴を持つ合成樹脂
《ABS樹脂》
《耐熱ABS樹脂》
《FRP》(繊維強化プラスチック)
《フェノール樹脂》
《アクリル樹脂》
《ユリア・メラミン》
《ポリブチレンテレフタレート》

注意すべきは《木質》という表示
これは木材でなく成型板であるケースも
成型板とは木材チップに合成樹脂を混ぜて板状にしたもの
加工がしやすく丈夫、大量生産ができ価格を抑える事が可能
《MDF》(中密度繊維板)や《木合樹脂》《木粉樹脂》など
一見木材にしか見えない物もあり木材同様に加工できる
丈夫で乾燥にも強い。しかも安いのでよく使われる

まぁ要するに「ベニヤ板の高級なやつ」です。「木材」には違いないですけどね・・・

木の弱点をカバーし、安くて自由自在の形に加工できて頑丈で・・・
こうなるとやはり合成樹脂の利点も認めないわけにはいきません。
しかしそれは製品表示を明確にすることが条件だと思います。
少なくとも消費者に木地本漆塗りと混同させてしまうのは道義に反しましょう。
高級漆器専門店さんまでがこうした物に手を出すのはいかがなものか。

漆器は木材以外にも様々な素材を使います
籃胎(らんたい)=竹を編んだもの
巻胎(けんたい)=薄い木を巻いたもの
陶胎(とうたい)=陶器
紙胎(したい)=紙
金胎(きんたい)=金属
漆皮(しっぴ)=動物の皮

漆器の塗料

漆の液を塗るから漆器なのですが、他の塗料を使う塗り物もあります
漆器購入の際は【本漆塗」か【漆塗】の表示を確認

《カシュー塗装》(カシューナッツ)
《蜜蝋》(ミツバチの巣)
《ウレタン塗装》(ウレタン系合成樹脂)
これらは漆塗りと見分けがつかず、特にカシュー塗装は漆と変わりません