ひうお(氷魚)  

ひうお(氷魚)

そろそろ鮎のシーズンですね。
西日本なんかじゃもう解禁されてるところもあるようです。

心待ちにしている鮎師も多いことでしょうが、あと少しの辛抱。
子供のようにワクワクしてるでしょうね(^_^

ま、道具の手入れでもして、その日を楽しみにお迎えください。


ところが釣りのファンはともかく、消費者に鮎を待ち侘びる人は減る傾向。年々鮎の販売量は減少、養殖の出荷量も同様だとか。

減少傾向、これは供給側にも色々な問題があるのでしょうが、やはり需要側、つまり消費者の動向が大きいでしょうね。いわゆる消費者心理って奴。

ズバリ言うと、「食べるのが面倒くさい魚」だからですな。


 

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鮎は姿でなきゃ価値がありませんが、そうなると調理が面倒。
まあ、今のご家庭にてアユの姿焼きをやってるイメージは描き難い。
焼き網にのせて焼くサバのフィレとは違いますしね。

このへんに『手前板前』ってサイトをやってる意味があるのだと思いますが、それはまた別の話。理想と現実は違ってくるのが世の常。



何度か同じことを書いておりますけども、アユは塩焼きにつきますね。色々な調理法が存在しますが、やはり塩焼き。

干物、甘露煮、揚げ物、田楽、さらには洗い、酒肴には「うるか」
料理法は多いのですが、素朴な姿の塩焼きに勝るものはありません。

おいらも若い時は色々やりました。
たとえば初夏の鮎コース前菜。

普通のあゆずしではつまらないと、焼鮎の蓼すしを茶巾に。
その隣りにはギヤマンの小鉢。

香ばしく焼いた鮎、その皮のみを剥がし瓜棒に巻きつけ冷ます。
これを豆状に包丁。
鮎節でひいた水だしで割った旨酢に蓴菜と一緒に浮かべる。

いろんなことをやればやるほど実感したのは鮎塩焼の美味さ。
それをつくづくと感じる結果となる。

鮎の塩焼き



食べて美味い、つまり塩焼きが旨いのは初夏の若い鮎。
鮎は年魚ではありますものの、かなり大きく成長(約30センチ)します。15~20センチ程度の若魚、これを氷魚(ひうお)と呼ぶことがあります。
(氷魚は稚魚を指し、「落ち鮎」に対する語に近いのですが、地方名でもあり若い鮎そのものをひうおと呼ぶケースもあるのです)

鮎の味は「水あか」※で決まるとされ、この餌によってあの独特の瓜に似た香りが出ます。ためにアユは「香魚」とも表記されるのでしょう。一般にこの水あかを沢山食べて上流に遡った鮎が旨いとされ、これはまあ秋の秋刀魚や鯖、戻り鰹と同じことでしょう。

だが鮎は年魚であるためか、餌を喰むほどに胡瓜匂が強くなる傾向がある。反対に若い初夏のアユは西瓜に似た芳香です。

鮎の食味を左右するのは清涼感。清々しさです。
このへんに若鮎が好まれる鍵があるのだと思いますね。

濃厚な戻りカツオは大変に旨い。が、江戸っ子は初鰹を好んだ。
少し似ておる気がするのです。

※水あか
鮎の主食である「ケイ藻」「ラン藻」などの藻類。
河川によって微妙に違うため、鮎の香りも違ってくる。
古老の中には鮎の香りだけで産地の川を言い当てる人もいた。

今年は、秋口にでも中村(今は四万十市なんでしょうが)にでも旅行して『火振り漁』でも見物してきたいですねぇ。日程が取れればいいんですが。厳しいものがあるかな、今の状態では。貧乏暇なし、やれやれです(笑)

アユは東アジア一帯に生息し中国や朝鮮半島、台湾にも分布しておりますし、南西諸島の奄美大島や沖縄にも存在しますが、日本列島に生息するアユは明らかに食味が違い、別種と言ってもいいほど。 (沖縄のヤンバルに生息していたリュウキュウアユは80年代に絶滅。が、奄美大島の住用村から移植させてもらい、現在保護再生を目指す)

これは日本の土地が持つ「自然力」に深く関連するでしょう。
深い山塊と、それを縫うように流れる清流。森林が独自の生態系を提供。

これの意味する所は、『日本独自の自然がなければ生きられない』です。

天然の鮎はたったの1年しか生きられません。
だが、懸命に川の流れを遡り上流を目指す。
子孫を、次の世代を残すためにです。

その美しい姿形と相まって、儚さと力強さ。
それが古来から日本人に親しまれ続けた理由かも知れません。

「下流に流され落ちて行くだけ」
そのようなアリサマである今の日本人に、鮎は何かを語っている気がするのです。

【失ったら、もう二度と取り戻せないもの】
そういうものを失う事の意味さえも忘れた人々の未来はどんな姿をしていることか。

使用済み核燃料の行き場さえ決められぬ日本人に、そんな問いかけは『馬の耳に念仏』だとは思いますけどね。


もうすぐ暑い夏。
キ印の東電は電気料金値上げをどうしても実施するかまえのようです。

利権と権力の椅子に酔いしれて白痴になった今の政権はこれをストップするどころか簡単に容認してしまうでしょうな。これを受け入れる国民も信じ難いが、やはり受け入れるのでしょう。

節電とはいっても簡単なことです。
バカテレビを消せば済むことですよ。

まあ、くれぐれもお体には気をつけて、待ち受ける酷暑をしのがれて下さいませ。


付記; ウルカとは

うるかは「潤香」と書く。
鮎のワタ等を塩辛にしたもの。

内臓全体の塩辛=「苦うるか」「渋うるか」
洗浄を意図的にしない内臓塩辛=「泥うるか」「土うるか」
魚体全部(頭とヒレは除く)を刻んだ塩辛=「切り込みうるか」「切りうるか」
腸も含めたワタの塩辛=「黒うるか」
白子(精巣)の塩辛=「白うるか」
真子(卵巣)の塩辛=「子うるか」「真子うるか」

2012年05月24日

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