お鍋の鍋と鍋周り品  

鍋と鍋周り品

鍋の季節になりました。
やっとこさって形容詞つきですが^^
「年寄りに冷や水」なんて言葉がありますように、冷たい季節は体によくありません。老人だけなく、すべての生き物にとって温度低下はよくないんですね。血液の循環を鈍くするからでもありますし、細胞全体の代謝も落ちるでしょう。

でもおいらは冬が嫌いではありません。
寒いのが好きって事じゃありませんよ。気が引き締まって頭がクリアになる感じがするからです。これは気のせいではなく、外環境の厳しさに対して肉体の防衛機能がフルに働くせいでしょう。自動的に気合いが入った状態です。

「環境の厳しさ」と「それに対する身体の鋭い反応」
この二つが複雑に相まってね、酒と料理を美味くするんです。日本酒が一番売れるのは12月ですし、料理の繊細な味が際立って来るのは冬から初春です。腹が減るのは秋ですが(笑)

そしてこの時期の最高の楽しみはやはり鍋料理です。
お鍋について少し書いていきましょう。

 

まず鍋そのものについて少々。
鍋(クッキングパン)は煮・焼・蒸・揚に使う調理器具で、和食だけでなくすべての料理において火を用いる調理に使う道具は全部ナベです。浅く平たいものは英語でpanと称しますのでフライパンなどと言いますが、あれもやはり鍋です。

つまり料理とは「鍋使い」そのものなんです。

ですので、これを不自由なく使いこなせるようになった一人前の料理人のことを「ナベ」と呼びます。鍋の相棒である「火」そのものは「鍋下」とも呼びます。

「ナベ返し」をご存知ですね、中華や洋食のコックが鍋の材料を見事に返してみせるアレですが、昔は鍋に砂を入れて返しを練習したもんなんです。もっとも和食の場合は返しは卵焼きくらいで、煮物が主体ですので「鍋回し」が多いのですが。

ちなみにですが、鍋で作った料理やお汁が余ったらどうしていますでしょうか。例えば朝作ったみそ汁が残った、仕方ないのでそのまま冷まして夜までおいておく。これが普通かも知れません。これを「鍋止め」と言います。ご家庭ではまあ仕方がないでしょう。しかし本職の者がこれをやってはいけません。いったん作ったものを止めて、その鍋で再度加熱するのは駄目です。別の容器に移し、鍋を綺麗に洗ってから。特別な理由がない限り「鍋止め」はいけません。

お鍋の鍋

さてその鍋に「お」がついて「お鍋」になると、これは鍋料理を指します。池波正太郎をお読みの方は江戸時代には「一人鍋」しかなかった事をご存知でしょう。鍋料理の初期は「小鍋仕立て」が主流で一人、あるいは少人数でつつく鍋しかなかったのです。

 

 

一方、農家の囲炉裏で鉄鍋を囲むもの、漁村の浜料理の浜鍋は、別の流れとして存在してました。


囲炉裏鍋

これが合流して今に近い形になったのは明治になって牛肉がおおっぴらに食される様になってからでしょう。「牛鍋」、すきやきですな。

 

要するに多人数で一つの鍋を囲むという現在の鍋料理のスタイルはそれほど古くはないのですが、これが日本人の文化にとてもマッチしていたのでしょうか、たちまち国民食みたいになったのです。まぁ個人主義の濃いアメリカではあり得なかったでしょうなこれは。

鍋物の系統は先に書きました様に「海」「山」「陸」に分かれましょうか。浜鍋を祖とした「寄せ鍋」とか「ちり鍋」とか「石狩鍋」や「カニ鍋」「土手鍋(牡蠣)」「はりはり鍋(鯨)」などが海系。「ぼたん鍋(猪)」や「鴨なべ」が山系。その両方を巧く取り込んだのが陸系の「水炊き」とか「ちゃんこ鍋」「湯豆腐」「柳川」「もつ鍋」「きりたんぽ鍋」といった感じ。

鍋料理周辺の小物

お鍋用のコンロとバーナー。
 

骨入れと敷板。
 


大酒呑みさんは一瞬喜んだかも知れませんが、
生憎これは酒を入れる巨大徳利ではありません(笑)
鍋用の「割り下入れ」です。

他に「薬味入れ」や「とんすい」や「れんげ」「ポン酢入れなどがあります。

最後に鍋料理を美味しくするコツをちょっと書いておきます。結局は細やかな配慮が大切なんですが、要点をあげると次のようになります。

★鳥系は骨付きを使う
★魚はアラを使う
★牡蠣を入れない
(牡蠣は土手鍋のみ。他の貝を)
★すき焼きには安い肉、高級肉はしゃぶしゃぶ
★根野菜は下茹、葉野菜は最後に入れる
★魚の鍋にはゴボウを
■全ての鍋の共通ポイント
★沸かさない
(グツグツ・ボコボコでは駄目。クツクツで)
★とにかく「アク」をマメに除去する

アクと言いますと、これを自動的に取ってくれる鍋があります。
「紙鍋」ですね。紙鍋は液体の沸点が100度なので直火をあてても燃えません(耐火加工しないと燃えますが)。厚手の和紙ですのでアクを吸い取ってくれるんです。
紙鍋

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