焼魚 一条の線  

焼魚 一条の線

焼き魚は、焼き目を付けないと美味そうに仕上がりません。


カマ焼き

アユの塩焼き

化粧塩は「定番」みたいになっていて、どこの板場でも自動化されていますし、色々な理由でこれをして焼いても構わないでしょう。しない方が良いケースもありますが。

ただし、化粧塩をきかせる時は尺塩を極力控えめに。
焼魚の塩振り 尺塩

塩味を付ける必要はなく、「旨味出し」を主眼に振ります。

 

焼物の上火と下火

上の画像の焼き魚は上火の焼き台で焼いた物です。
遠赤のやつで「炭火焼きと変わらない仕上げ」が謳い文句の機械。

一方これは以前紹介した西京焼きです。

マナガツオ西京焼きの作り方

炭を熾して下火で焼きました。

上火焼きと下火焼き、何か違いがあるんでしょうか?
何も違いはない様にしか見えません。

魚は焼くと脂が湧き出しますが、脂だけではなくたんぱく質の成分も流れ出してきます。
脂との違いはたんぱくですから凝固する事。

通常料理書などには「盛り付けた時に表になる面から焼く」と書かれているものですが、この流れ出す成分が表に回ってしまうのを避ける手段を取る板前も多いです。つまり上火の焼き台で先に表を焼きますと、ひっくり返して裏を焼いた時に脂やこの成分などが表側に流れて表面を汚す可能性があり、美しく仕上げたいと考える板はそれを避ける訳です。

それでまぁ必ずしも表側から焼くとは限りません。

上火の焼き台はこうした問題を解決しやすい構造になっていまして、例えば下側に水を溜めておくバットが備わっております。ご家庭のグリルとだいたい同じ理由ですね。上から熱を照射して「余分な成分」を全部下に落とす仕組みになっているんですな。ですから便利と言えば便利ではあります。

一方下火で焼きますと下から炙られた肉は上に向かって肉汁を吐き出すかっこうになります。上火と違い重力でストレートに逃げられなくなり、この内部から出る汁は肉の表面で固まりやすくなります。それをさらに補佐するのが「煙」です。つまり燻されるという事です。これによって焼いた肉が「膨らむ」という点も見逃せません。

店の商品としてはこの線状に凝固した成分は「見た目の悪い汚れ」、極端には「失敗作」とされてしまいますが、実はこの線が現れるのが旨い焼き物の証しなのです。

無垢な美しさをとるか、見てくれは悪いが旨味の方をとるか。
料理とは色々と面白いもんです。

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