紅白料理の意味  

紅白料理の意味

いよいよ秋も深まってきましたねぇ。
そろそろ押入れにしまったCanada Gooseでも出す時期です。このダウンはそこらを歩くときに着るのではなく、逃亡用(笑)でして、どこか遠く、逃げ回る事に想いを馳せてるって按配で。
おいらは衣類も道具だって考えてますんで、おそらく世界で一番機能的で暖かい上着であるコイツを愛用してるんです。たぶんこれを着てれば何処に行っても凍死はしないでしょうし、厚着をしなくてすむのがいいです。

と、まあポカ~ンとそんな妄想してる場合じゃございません。
その前に「おせち」。今年は色々あって御節の段取りがおしてしまいまして、せわしがありません。ぼやぼやしてたらあっという間に12月になってしまいますよ。もちろん忙しないと言っても今から作るわけではありませんが(笑)

 

ところで、御節と言えば紅白飾りが連想されるものですが、日本人が慶事に使うこの紅白ってのは何か考えた事があるでしょうか。『紅白幕』とか『紅白まんじゅう』はよく皆さんも目にするはずで、祝儀には自動的に使っているんですがこの意味についてはなかなか答えられないもの。

正月の紅白飾り

熨斗(のし)を紅白の水引と併用するよくある使い方。

よく知られてますのが源氏が白旗を、平氏が紅旗を掲げて戦った『源平合戦』を起源とする説。ですがこれは合戦、つまり対抗戦に紅組と白組を分ける慣わしの由来です。(これも説のひとつでしかない)
今は紅白戦や紅白歌合戦が典型ですね。

祝儀とは日本人にとって非日常的な日です。柳田國男のいう「ハレ」で日本人の伝統的観念ですね。赤は出生を意味し白は別れを意味するなどの説もあります。しかし確かに死装束の様に白は死や別れにも使われますが、その反面で花嫁衣裳や赤ちゃんの産着にも使われる。赤飯や花嫁衣裳は昔からあの色がめでたいとされている。

つまりね、紅白がなんで『祝』とされているのか、はっきり分かっていないんですよ。源平合戦のずっと以前からハレに紅白を用いる伝統はあったのでしょうし、本当のところは分からない。

おそらく日本の国名、それに国旗である日章旗(日の丸)との関連もあるのではないか。赤の語源は「あかし(明し)(あかるい)」とも言われています通り、古代からの太陽信仰と無縁ではないでしょう。
ただ古墳時代には太陽を赤で表現しておらず、「金」を使っていたようで、赤で太陽を表現しているのは、法隆寺あたりから。つまり仏教の伝来と関係があるとされます。

しかし学問は邪馬台国の卑弥呼の時代には遡れない。卑弥呼も卑弥呼以前も倭の国は太陽信仰があったのでないか。もしかして古墳の前は太陽を赤で表現していなかったか。それに「金」を使っていたのは偉い方々だけで、庶民の間では連綿と赤で表現していたかも知れない。

何故紅白が死の色であったり、生や旅立ちの色であったり混ぜこぜに使われる曖昧さがあるのか。
説明がつくのは太陽だけです。

個人的にはアカは血の色、シロは塩の色だと思ったりしています。
血液は海水濃度に近く「塩」でもあり、ともに人間の生命に深い関与があります。命そのものと言ってもいいでしょう。 その源は太陽エネルギーにあります。太陽は生命の泉でありすべての恵みの親である。古代の人はそう考えていたと思うんです。

つまり紅白は太陽そのもの、そして人間の命そのもの。それが大昔から日本人の世界観だったのだという気がします。

紅白の使い方に曖昧な混沌さが残るのも、太陽の赤く染まったり白色に輝いたりする特徴を考えれば納得できます。

明けゆく様と、沈む荘厳さはまさに命の誕生と死。

どちらにしても祝儀に敬意を表すことが出来る『紅白』は料理を作る者にとってはたいへん助かります。敬老の日だったか、いつぞやお昼の小懐石にお客さんの希望を入れて飯として出した品ですが、こういう蓮の紅白をあしらっただけで祝膳としての性格を出すことができます。

※まだ完成前の品です
実寸は画像イメージよりずっと小さいです。

自分が齢をくったからなのか、最近周囲で不祝儀事が多いです。近しい人間がやたらに亡くなる。考えてみればもう2010年ですよ。現代と近代の分かれ目である昭和20年の終戦から65年になります。ほとんどの明治生まれは世を去り、大正生まれも卒寿になろうかって時期なんですなあ。

気になるのはおいら達に仕事を教えてくれた団塊世代の先輩達が矢鱈と癌で死ぬ事です。秋色の濃さの中、色々と考えること多しですな。

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