銀杏と茶碗蒸し  

銀杏と茶碗蒸し

 

茶碗蒸しが殊更に美味く感じる季節になりました。
食べて呑んだ後、最後の口直しとしても茶碗蒸しは乙なもの。

茶碗蒸しと言えばギンナンですね。
大好きな〈ニッポンのおかみさん代表〉ほっこりさんのブログ「ほっこり日記」にて、ほっこり夫妻が野のギンナンを紹介しております→『リンゴのコンポート

ほっこりさんのブログは、いつも覘くたび悲しくなります。
自分のちっこい庭を思い浮かべ、

「おいらはこの街から出られねぇのかなぁ」
そして今のこの日本で限りなく自然と共生しているほっこり夫妻の暮らしを羨み、大きなため息が出る。
まぁおいらの嫉妬(笑)はおいといて、地面に足のついた生活は素晴らしいですなぁ~本当に。
なんで日本中コンクリとアスファルトにしやがったんだい、責任者出て来い!(笑

銀杏

ギンナンはもちろんイチョウの実(種子)で全国にあります。
日本料理ではこの実をよく使いますので、栽培品種も多い。

栽培品種として
早生の「金兵衛」(中粒)、「喜平」(大粒)
中生の「栄神」(中粒)、「久寿/久治」(大粒)
晩生の「藤九郎」(大粒)

生産地として有名なのは愛知県の稲沢市。
栽培ギンナン(イチョウ)の中心地でしょうね。

銀杏にまつわる有名人として『平瀬作五郎』という方がおりまして、この方は明治29年種子植物としては初めて銀杏の精子を発見した人です。
もう一人『井上藤九郎』。岐阜穂積にあるこの人の家の庭に突然変異で極めて優れた銀杏が出来ました。大粒で重く、艶があって美しく、しかも貯蔵性がよく、おまけに美味。これが人気ギンナン品種「藤九郎」です。

食用として出回るギンナンは二通りです。
一年中出回る水煮中心の【ぎんなん】(黄色)
今の時期(10~11月)に出る【新ぎんなん】(緑色)

新のギンナンは堅い殻付きで実の色は緑色。
殻付きの場合、殻を割って実を取り出し、さらに茹でながら穴杓子でこすって薄皮も剥く必要があります。

実は10月下旬に熟して自然落下します。
イチョウ並木を散策した人は分かるでしょうが、ギンナンは凄い臭いがします。めまいがする程臭い。肉と外皮が熟してヘプタン酸と酪酸が発生するからです。この臭いは半端ではなく、野生動物さえ嫌がって避けるほど。

したがって外皮と果肉を徹底的に除去し、完全に乾燥させる必要があります。良いギンナンはよく乾燥してる事と大粒で色が白いのが条件。

それに、ほっこりさんも書かれていますが、実を素手で触るとイチョウ酸、ビルボールの作用で漆のようにかぶれることがあります(果肉や外皮)。また、稀に中毒を起すケースもありますが、これはまあ余程大量に食べぬかぎり心配無用でしょう。生死に関わるものではありません。
れいによって毒は薬。ギンナンから作られる薬品も多いようです。

ギンナンは茶碗蒸しの具としてポピュラーですが、他の調理方法としては揚げて薄塩し、酒の肴などにもよいですね。 小会席とかミニ懐石の八寸として下の様な松葉串に打って前菜風に盛るのも一般的なやり方です。

よく乾燥したギンナンは殻(鬼皮)が非常に硬く、他のナッツ類同様ペンチやカナズチを用いないと割れません。しかしこれらの大工道具ですと中の実も傷付いてしまいます。まぁギンナン割専用の道具が無難でしょうね。

簡単な銀杏調理方法として、庖丁の柄の先でドンと一発、軽くヒビを入れまして、塩を振りかけ、裏張り無し封筒などの紙包みに入れ、それを1分ほどレンジでチン。すると堅い殻が弾けてしまい、あとは手でサクサク剥けます。そのまま塩味で召し上がれますよ。肴にとてもよいですね。

茶碗蒸し

ギンナンと言えばほぼ必ず茶碗蒸しに入っております。
定番ですが、ユリ根とはかぶせない方がよいでしょう。その他の場合はいかなる具材と合わせてもバッチリです。

茶碗蒸しのギンナン

しかし御蒸の具がどうこう言う前に、どうも茶碗蒸しそのものが苦手って人がけっこう多い様です。「す」が入って穴ぼこになり、うまく作れないって事でしょうかね。

茶碗蒸しは滑らかさが身上、

確かにすの入ったのはボソボソして不味いったらない。
食えるモンじゃありません。
次の手順で作れば絶対にスは入りません。

スを入れない茶碗蒸しの作り方

★卵汁は必ず漉し、器に入れるとき絶対泡を作らない事
(泡ができたらテッシュなどで除去)

★蒸し器に乾いた布巾をかぶせて蓋
(水滴落下防止)

★必ず蒸気が立った状態(沸騰)を確認してから器を入れる

★器を入れたら蒸し器の蓋を少しずらす
(中が高温になりすぎないように)

★器を入れ最初の1~2分は強火

★中火に落とし、およそ6分で表面が固まる
(この時点で火の通りやすい具を加える方がよい)
(鳥肉などは最初から入れておく)

★同じ事を繰り返す
(最初は強火、中火で6分前後)

竹串を刺して透明な汁が出れば蒸し上りです。
(濁った汁は生煮え。もう少し蒸す)

最後に彩りの三つ葉と口のへぎ柚子を加えて出来上がり。

※スができる原因は高温すぎるからです。
※時間は『2分12分』と憶えておくといいです。
最初の強火が2分、中火が12分が目安。

この後、吸い出汁に葛や片栗を加えた熱々の「葛あん」を張ると冷め難くなり、冬場にはさらに体を温めることが出来ます。これは豆腐を使う『空也蒸し』からの応用です。吸い出汁よりやや濃い「べっこうあん」、上品な「銀あん」、濃さは好みで加減しましょう。

和食蒸物のあん

その反対に夏場は少し緩めに作りそれを冷やしておきまして、上からキンキンに冷たい出汁をはるといいですな。この場合は出汁をゼラで溶いてもいいでしょう。

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