数の子  

数の子

数の子の箱が店頭に山積みになっている市場街やアメ横。
昔から変わらぬ師走の風景ですなぁ。
「もうすぐ正月。今年も終わりですか」と感じます。

20年、30年、この光景を眺めていますと、面白いことに気づきます。
数の子の値段に、その時代時代の世相が反映されてるんですね。
まあ、世の移ろう様が実に見事なくらい表れているんですよ。

数の子の知名度は高く、子供でも知っております。
ですが、一般的な需要は年末に集中しており、普段の食卓ではあまり出ない食品。知名度の高さは、年中これを売っている寿司屋のおかげでありましょう。

我々和食屋としても、使用のピークは12月。
祝膳に使ったりもしますが、やはりおせちがメイン。

数の子は加工品ですので生鮮で使用することは殆どありません。
したがって旬というものも存在しないのですが、季節はやはり師走。
ニシンに入った生の数の子

 

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最高の数の子

加工品の良し悪しを決めるのは、製造している会社の姿勢。 日本で圧倒的な信頼を集めるブランドは【ヤマニ】です。

ヤマニとは、その昔ニシン漁で賑わった北海道の留萌市にある水産加工会社『井原水産』が製造する数の子のブランド。


ヤマニ井原水産最上級干し数の子

※これは塩数の子ではなく、「干し数の子」です。
戻すと3~4倍になりますし、食感は格別ですが、濃い塩水で3日、そのあと真水でと、戻しに手間のかかる品物。米のとぎ汁を使う場合もあります。漂白もされてない昔ながらの乾物ですので、多少高価で面倒であっても、自分はこれが好きです。

同じ魚卵加工品であっても、イクラ、タラコ、カラスミなどと違い、数の子の場合は「味覚」というよりも「食感」がメインになります。歯ごたえ、それが骨伝導で聴覚まで楽しませる。

なので、「戻し方」に配慮したいもの。
流水にて数時間で戻せはしますが、じっくりと2日ほどかけて戻したほうが「侵食されいくい」ので歯ごたえが残るのです。真水で急激に戻すよりも、まず塩水(塩を追い出すための塩)でじっくり戻して仕上げに真水というやり方が「崩れ」を防止できるのです。

その後、薄い皮を親指の腹で優しく擦るようにして剥く。

これを、薄仕立ての旨出汁(冷ましたもの)に漬ける。
数の子の戻し方と味付け

松前漬けにする場合は、だしを使わず酒・味醂・醤油で調整。
松前漬け作り方

定番の料理に飽きた場合は、色々工夫してみるといいでしょう。
例えば『真砂和え』の応用。

真砂和えとは、ヒラメなどの白身魚を昆布じめにし、それを「ともあえ」ならば真子と和え、あるいはカラスミなどの「他人」と和える和食の先附です。
昆布締め

・戻した数の子を数時間~半日酒に浸けて渋味を抜く
・ヒラメや季節の白身魚を昆布締めにする
・それを細切りにする
・カラスミ(この場合は数の子)をおろし金でバラバラにする
・両者を和えて器に盛る

煎酒や、淡口醤油・煮きり酒・隠し味醂(少量)などを加えてみても良いでしょう。
「黄金和え」とでも申しましょうか、「ぽりぽりの食感」は失われてしまいますが、黄金色の縁起色とツブツブ感は残ります。

「形」に拘るのをやめれば、応用が広がるということですね。
アイデア次第で何とどう和えようが、あなたのお好みですよ。

数の子の親であるニシン(鰊)は、「カドイワシ」あるいは「カド」という別名があります。「カドの子」が転じて「かずのこ」と呼ばれるようになったというのが語源の定説になっています。

ひとつの腹に数えきれないほどの子供。こうした事から「数の子」の文字を当てたのでしょうかね。子孫繁栄、良いことが数えきれないくらい起きますように。そんな願いを込めた縁起良い食べ物です。

黒豆、田作り(または叩き牛房)を加えた3種が「祝い肴三種」として壱の重に盛られます。お屠蘇と祝い肴三種を前にして、ご家族の無病息災と、多幸な年であることを願いましょう。

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