雷干しと白ウリ  

白瓜の雷干しと瓜

 

軒先の奥行きが深い平屋の日本家屋の縁側で、すだれ越しに蝉の合唱を聴きながら、着流しで碁盤を挟み団扇片手のオヤジが二人。

なにやら遠く懐かしい風景ですが、そんな場所に似合うのは西瓜ではなく白瓜の雷干し、この場合は浅漬けよりも冷たい酢の物でしょうかね。

ありし日の江戸っ子達のひとコマです。

『雷干し』とは芯を抜いて螺旋に切る「雷切り」でキュウリやシロウリなんぞの瓜を立塩(薄い塩水)でしんなりさせ、そいつを数時間陰干しにしたモンです。形が雷さんの太鼓、もしくはあの稲妻マークだから雷干しです。

普通はクリ抜って道具で芯をくり抜いてから、下の様に瓜を手前に回しながら螺旋状に剥きます。


雷切り

難しいようなら、菜箸(もしくはクリ抜)を真ん中に突っ込んでまな板に置き、庖丁を箸まで突っ込んでグルグル回していけば簡単です。

干しあがったら数センチに切って、醤油なり、酢なり、おろし大根なり、お好きな様に料理しましょう。夏物ですので、涼のある料理で、瓜のコリコリ感を残す様に注意しましょうね。

食材としてのウリ

ウリってのは何かと申しますと、メロンの事です。正確に言えば4000年くらい前に栽培が始まった北アフリカ・西アジア原産のCucumismeloの事です。これが西に広まったのがメロン、東に伝播したのがウリで、言わば『メロンの東型』になります。

日本にも縄文時代には伝わっていたようで、「古事記」「万葉集」「延喜式」などにも記述がみられますが、これはマクワウリ(東洋型メロン)でしょうな。
瓜で代表的なのがカボチャ・キュウリ・メロン・スイカですが、後発のキュウリ・メロン(西型)・スイカが今は世を席巻している様で、古来からのマクワウリなどはとんと見かけなくなりました。(メロン・スイカは果物として通っていますが生産上は他の瓜と同じく野菜です)

特にメロンの普及で追いやられてしまった感が強いのが、シロウリです。


金山時味噌と白ウリ

夏は金魚売りと瓜売りが江戸の風物詩でしたんですが、今では殆どすべてが「奈良漬」や「鉄砲漬」の漬物原料になり、青果は少なくなりました。

出汁を含ませて炊き、冷蔵庫で冷やしておくのも良いでしょう。
ゼラチンで薄アン仕上げにすればなお良いですね。

シロウリは完熟すると白い粉がふき白っぽくなります。
だから「白ウリ」
ただしウリは熟しても甘くなりません(そこが良いんですが)

シロウリの品種もけっこうありまして、京都の「桂」とか「あわみどり」は色が淡くて品が良い。イノシシの子を「瓜坊」と呼びますがこれは「縞瓜」から。イサキの模様ですな、魚なら。(イサキの小もウリボウと言う事がある)
あと「堅瓜」とか「かりもり」とか色々ありますけども、やはり「東京早生」ですなぁ。白ウリは生で食ってもいけるんですよ(品種にもよりますが)

マクワウリと同じく古くから日本で食用にされてきたのが、ヒョウタンやユウガオやトウガン。ユウガオは<かんぴょうの原料として知られていますけども、あれは真ん丸の大きな専用種「しもつけ」を剥いたもので、他のユウガオ・ヒョウタンは瓜同様に漬物で食べます(ただし小さい種限定。大きなのは観賞用)

最近人気があるのがニガウリですね。今では「ゴーヤー」方が通りがよくなったくらいで、ビタミンCが一般野菜の6倍もある健康夏野菜。白っぽい色の、生食に特化した「サラダゴーヤ」もありますよ。

ニガウリと同じ様に南九州や沖縄で食べられる「へちま」も瓜の仲間。

本州の人間は「タワシ」くらいにしか用途がないんですが、こりゃ味噌汁の実としていいもんです。やはりざっくりした麦味噌が合いますな。

和食板前としては、縮緬南瓜のような形をした「千成瓜(ハヤトウリ)」(熱帯アメリカ原産の一年生で何百個も結実するから千成。大正時代に最初に導入されたのが鹿児島だから隼人瓜。)などが食材として面白いんですがね。

年配になると、檄甘のメロンやなんかよりも、青くさみのあるというか独特の清涼感がある香りのするウリが口に合うようになりますけども、やっぱり今の人はコレでしょうなぁ。つい食ってしまいますしね、おいらも(笑)
締まった果肉と黒い皮で人気上昇の「でんすけスイカ」と、夕張を邪として寄せつけず、王者の地位に君臨するマスクメロンです。

瓜の仲間

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