鯖(さば):関サバ、松輪サバ、清水サバ、首折れサバ、金華サバ、[ハーブさば]  

鯖(さば):関サバ、松輪サバ、清水サバ、首折れサバ、金華サバ、[ハーブさば]

鯖(さば):Mackerel

「サバは秋の魚」 これは暖かい時期(3~8月 日本近海種)に産卵して、冬に向けて脂がのる回遊系のマサバは確かに「秋が旬」であり、その通りです。が、日本人の食卓に欠かせない魚であるため、実際は一年を通して常に販売されております。

南北に回遊する魚ですから、「秋サバ」の基準は全国区ではなく、地域でズレがあります。九州などでは冬以降に美味くなり、これが「寒サバ」です。それに回遊しないサバもいます。

当たり前のように常食されるサバですが、これほど旨い魚も珍しく、味の懐も実に深い。ちょうど関東では今(4~5月)が産卵期、卵を抱える時期になりました。このあたりで1度サバの事をまとめておこうかなと思います。

 

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サバの種類

スズキ目・サバ科・サバ属
種は大別して下の3種

マサバ(真鯖) Chubmackerel

別;ヒラサバ、ホンサバ、ヒラス、サワ、タックリ

所謂「普通のさば」です。
亜熱帯・温帯の世界中にいますが日本には太平洋、日本海、東シナ海の3系群がおり、各群は夏に大群で北上し、秋から冬に南下する季節回遊をします。ヒラサバという地方名もあるように姿はやや測扁だが、旬には著しく丸みが増す。

ゴマサバ(胡麻鯖)Bluemackerel

別;マルサバ、ドンサバ、ゴマ、コモンサバ、ホシグロ

マサバよりもやや沖合いを回遊する温暖な海を好むサバで、胡麻粒のような黒点と丸みのある姿が特徴。あっさりした刺身が好みの通人は、真鯖より胡麻鯖の方が断然美味いと言う方が多し。特に夏場はマサバよりこちらが旨い。

ニシマサバ(西真鯖) Scomberscombrus等

別;たいせいようさば、ノルウェーさば

寒い北大西洋を回遊するサバ。従って脂の乗りは抜群で、脂肪含有量は約27%、100gあたり27g弱というわけで、これはマサバの12gと比べても非常に多い(9月の最盛には30%を超える)。ちなみにDHAは4g、EPAは1g。近海のマサバとゴマサバの減少傾向(それと漁師不足)で、輸入を増やし(数十万トン)、ノルウェー、デンマーク、オランダ、イギリスあたりの漁民を喜ばせておる魚です。特に脂好きの日本人が好むからというだけでなく、広く便利に使われている美味いサバです。

サバの見分け方

サバ属三種の見分け方です

サバの特徴は青緑色をした背にある黒褐色の斑模様ですね。
これでサバだと一目で分かります。
この斑模様の違いで三種を判別できます。


マサバは虫食いのような斑模様で腹は真っ白です
ゴマサバは背の虫食い模様の他、腹にも斑点があります
ニシマサバは模様が単純で「く」の字の太い黒褐色だけ

これはマサバ。

腹側は真っ白で模様はありません。

ノルウェーさばで作ったサバ寿司。

さば寿司の作り方

脂があるので、焼物の他こうした利用にも。食べる人により、マサバと好みが分かれますので、お客様をよく知っている必要がありましょう。

その他のサバ

日本でみられる他のサバ(サバ科・他属)
回遊魚とはいえサバは沿岸回遊でマグロ類と違い外洋を大きく回遊しません。よって本州独自のサバ群は奄美より南西の海ではほぼ漁獲されませんけども(とくに真鯖は冷水温を好むので)、南西諸島以南には属の違うサバが生息し、これはアジ類も同じ。

グルクマ属

グルクマ
沖縄でいう「グルクマー」がそのまま和名になっています。

脂はあまりなく、骨ばった身の薄いサバ。姿は測扁で丸みなし。まだグルクン(高砂)の方が肉付きが良く食べよいので、沖縄ではどちらかといえば食用魚というより釣りの魚かも知れません。沿岸域の表層を大群で動きますんで、サビキで面白いほど釣れたものです。

ニジョウサバ属

ニジョウサバ(二条鯖)
沖縄名「クサラー」です。

大きくなる魚で一見サワラに見えますが、実際に分類はサワラの近縁種です。独特の側線はこれも近縁のクロタチカマスに似て、姿はアジ科のヒラマサに近いですかね。切り身を焼き魚にして「もっさりした味」というところでしょうか。沖縄でも漁師とかマニアレベルの釣り師がたまに掛けるくらいであまり見かけません。

黄金サバ(根付きサバ)

サバのなかには回遊せずに根に付く個体が存在し、それらの根付きサバの大型化したものは黄金色に見えるほど脂がのり、その食味は絶品です。関東では葉山沖あたりの物や相模湾産が稀に出ます。他に有名なのは豊後水道や伊勢湾あたりの非回遊サバ。
(三浦沖の松輪サバを指して「黄金のサバ」と呼ぶ場合もある)

ブランドさば

ブランドさばといえば「関サバ」ですね。
地域ブランドの魁となった「関さば」が出たのは、ちょうど昭和から平成に時代が変わる1980年代の末で、まさにバブルが破裂した時期。最初は2~3百円だった値段も、ブランド認知度と同時に10倍ほどになりました。バブル崩壊で大きな影響を受けた銀座あたりのデタラメなぼったくり寿司屋などは1貫の関サバを2千円以上なんて値で出したりして、「バブルは本当に崩壊してるのかよ」なんて感想を持ったもんです。片身で15貫はとれるはずで、30貫になりますから、6万!。「ざけんじゃねぇよ」って感じですな。

佐賀関(関)の佐賀関漁協が販売するサバとアジの事を、関さば関あじと呼ぶんですが、ここの漁場が速吸瀬戸でして、太平洋と瀬戸内海の潮流が複雑にそして強く渦巻いています。その潮にもまれて、あの固く締まった身に育つんですな。瀬戸内海のこのあたりは特に、魚の餌になるプランクトンも上質。漁師は「コマセを使わない一本釣り」でそれを釣ります。どんなに良い魚でも、釣る手段やその後の処理が悪ければ「グダグダの魚」になってしまうもんですが、ここの漁師はそれを熟知してまして、魚を非常に丁寧に扱っています。活け締めの仕方も良い。この漁師の細かな配慮と、それを後押しする佐賀関漁協の連携が「関サバ」を関サバたらしめていると言えましょう。

関サバ

白身に近い色の締まった身と、餌をバラ撒かない漁法で腹がスマートなので「なんちゃって関サバ」との判別可能ですが、このタグシールで分かります。

万一タグが偽物でも、開いてみれば(料理人には)分かります。
サバとは思えぬ透明度のある白い強く締まった身。

色々なブランドサバ

もちろん関サバの成功を他の地域が黙ってみてるわけはなく、同じ豊予海峡で獲るサバを対岸の愛媛側では「岬(はな)さば」(佐田岬の岬)神奈川県では「松輪サバ」
三陸石巻では「金華さば」
青森県では「八戸前沖鯖」
さらにゴマサバ限定では、鹿児島県屋久島の「首折れ鯖」、高知県土佐清水市の「清水サバ」
※それ以外のブランド鯖や養殖鯖は真鯖です


金華さば

養殖サバ・長崎ハーブ鯖

サバは大分県や鳥取県などで養殖されている他、おもに加工品に回されるノルウェーからの輸入品もあります。

長崎県松浦市で複数の水産業者がグループを作り、2007年から生産を始めて話題なのが「長崎ハーブ鯖」。ナツメグ、オレガノ、シナモン、ジンジャーなどの西洋ハーブを配合した餌で育てるので「ハーブ鯖」。年中出荷可能で、ハーブが魚臭を抑え、魚の健康や風味を増すという事で盛んに展開し、30万尾の出荷だといいますね。浜値でキロ1600円。

築地にもチラホラ出てますんで、まかない用に買ってみました。

身質は悪くないが流石に「ハーブの香り」はちょいとしない(笑)

努力は認めますし良いものとは思いますが、養殖独特の「ゆるさ」はどうにもなりませんので、店出しはまだ無理だと感じました。ただし業種によるでしょう。使い方によって重宝する店も沢山あるはずです。だからこその「30万尾」でしょうからね。養殖事業は発展すべき事業ですので、今後もさらに頑張っていただきたいものです。

サバその他

サバの骨

常連の鯔次郎†氏が書いてますように、サバの骨は出汁がよく出て美味しいものです。
プロがたまに「サバ缶詰」の出汁を隠し味に使うのはあの複雑な汁の味にある。高圧で炊き上げてグズグズにした骨が入ってるからでしょうね。また、船場汁などといった有名な料理もあります。生サバにしろ、塩サバにしろ、骨を捨てるのはもったいない。焼いてから少し放って落ち着かせるとサバとは思えぬ品の良い出汁が出ますよ。おいらはこれをラーメンスープなどの隠し味に使う事がありますが、臭みを出さぬのがコツですね。

相撲の「サバ折り」

先ほど「首折れ鯖」が出てきましたが、昔から釣ったサバの鮮度を保つために、指でエラを抉り取ると同時に首をポキンとへし折る方法があります。活締めの一種ですな。相撲の技「鯖折り」はこれに由来します。

鯖の生き腐れ&ジンマシン

サバは遊離アミノ酸のヒスチジンを多量に含んでいます。これはサバ独自の風味にもなってますが、ヒスタミンの前駆体でもあります。死んで鮮度が落ちるとアレルギー源であるヒスタミンを生じてしまう原因になる。ヒスチジンは筋肉中にありますので、内蔵を抜いても身質の分解は止まらないのです。蕁麻疹などが出る場合はこのヒスタミンによってあたったと言えるでしょう。ですので、塩サバや〆サバなどの保存方法が発達しました。

サバをよむ

実際の年齢よりも若く言う、などの行為を「サバを読む」といいます。
つまり数値をごまかす事ですね。これは昔商人達が漁師からサバを仕入れる際に、独自の符丁を使って数字を誤魔化した行為に由来します。なにしろ大量にサバがあるので、漁師もこれで騙されたという。

「秋鯖は嫁に食わすな」

いうまでもなく、秋に脂肪含有率が激増して美味さが増すので、旬のサバは嫁にはやれないの意です。 ※逆に、嫁(とくに妊婦)を気遣っての事だという説もありますが、それならなぜ旬のサバなのか不明ですので、自分はこの説を採りません。
※秋が旬の茄子(なす)でも同じことが言われます

サバの栄養

豊富なIPAやDHAなど脂肪性成分の効果はもうご存知でしょう。
注目すべきは「血合い」です。カツオ同様ですが、サバの血合いは抵抗無く食べれますね。ここの部分にはビタミンのAとDが沢山です。AとDはアンチエンジグに非常に効果があるビタミンですよ。つまり「若返りのビタミン」です。


サバのさばき方
しめ鯖の作り方
アジと関あじ

ちよいと気になる事がありましたので、老婆心(余計なお世話とも言う 笑)ながら追記を書く次第。

サバアレルギーの件です。
長年板前をしておりますから、多くのお客さんから「アレルギーのトラウマでサバが食えなくなった。刺身などとんでもない」
このような話を聞きます。

そして頑固に拒否なさるその人達の多くに、おいらはサバの刺身を食べさせる事に成功しております。

記事にも書いておりますが、アレルゲンは「鯖が古いから発生する」のです。
【鮮度に関係なくアレルギーを引き起こすカニ・エビや蕎麦とは違います。あれは非常に危険ですが、サバの場合は少し異なります】
ですので、新鮮なサバではアレルギーは発症しないはずですが、「嫌な記憶」が強烈であり、もはや鮮度に関係なく寄せ付けない例ばかりでした。

なんでこんなのを書いているかと申しますと、おいらは刺身の中でベストスリー、あるいは「一番」美味いのはサバだと思っているからです。白身の良さ、赤身の深さを兼ね備えた究極の刺身です。最高のサバはあまりにも美味すぎるのですよ。鯵の淡い味わい、イワシの脂、中トロの香、サワラの滋味、カマスの野暮、そして鯛の品、さらにヒラメの揺ぎ無さ、これらを全て含有する魚は極上のサバだけです。

日本人好みの筆頭【マグロ】が、サバ科であるのを思い起こされたし。

たんにサバといってもアレルギーを誘発する腐れサバから、黄金サバまで幅広い。関東圏の方は松輪の高級サバでなくとも、横須賀、三浦、三崎あたりで【旬のゴマ鯖】の刺身なり握りなりを1度食べてみるべきでしょう。安さと美味さで目からウロコですよ。

ただし『変なものを食べるとまたアレルギーになり、もう一生サバ刺しを食う気にはならなくなる』
どうすればよいか。
まず絶対に信頼のおける板前なり、魚のプロなりに鮮度の間違いのないサバを選んでもらう事からでしょうかね。

要はヒスタミン量の問題なのです。ヒスタミンが中毒を起す量以下であればよい。つまり絶対的に「鮮度」なのですよ。

しかしながら周囲に魚のプロはいないし自分では目利きは無理。さらに、「ある程度」魚を知っている人。これが一番危険。魚介(代表はフグ)中毒を発生させているのは大半がこの「ある程度」の人達ですから。

うーん、どうも困りましたなぁこりゃあ。
魚が食えるのに絶品のサバ刺しを食えないなんて・・・
おいらが近くにいたら一発で「目からウロコ」にして差し上げるのに。

でもまぁいくつか方法を書いておきましょう。

手始めに養殖サバかブランドサバの新しいのを選ぶ。
最初は養殖がいいかも知れないが、これはさらに鮮度が絶対条件。
身がユルユルになる速さが倍なので、落ちる養殖物は食べてはいけない。
(これは過剰な脂と運動不足のせいで、養殖物のネック)

市場だろうと魚屋だろうと「自分で買ったサバ」は刺身にしない。
魚を見分ける力ってのは一朝一夕では無理なんです。

さらに自分で釣ったサバで新鮮でも、「締めその他のテク」に熟練してなければ刺身は避ける。

サバの鮮度は「血合い」で丸分かり。
お店で刺身や握りを食べる場合、血合いが真っ赤であるのが条件。
ここが茶褐色に変色してれば食べない。
黒に近い色は問題外。絶対に食べてはいけない。
ちなみにシメサバでもこれは同じ事、回転寿司あたりの血合いが真っ黒なしめ鯖などに手を出してはいけません。(タフな人はべつ)

まとめの一言。
「新鮮であればサバ刺はあたらない」です。

ついでですので、
「しめ鯖であたる」のは、締め方が甘いか古いサバ(すでにヒスタミン充満状態)を〆たから。

寄生虫問題

アニサキスは酢〆では死滅しません。
つまりシメサバでも安心はできない。
アニサキス心配性は冷凍するか加熱で問題解決。

生刺身は常にアニサキスの危険性があります。
これは外洋を泳ぎ回る天然魚の宿命。
(内海のブランドサバや根付き鯖はリスク極小。養殖サバはほぼゼロ)

なのに何故我々は刺身を食うのか。
アニサキスに当たる確率は、街を歩いていて車にひかれる確率よりも低いからです。

「車にはねられるのが嫌なので外出しない。仕事にも行かない」
そういう生き方はできんでしょう。

料理人とアニサキス

アニサキス症は保健所に連絡する必要がある「食中毒」です。調理従事者、料理提供者は、この事を忘れてはいけません。万が一発症すればお客さんは多大な苦痛を味わうかも知れません。大切なお客様に対して、そのような事があってはいけません。当然ですが、提供した料理店は信用を損なうことにもなります。

このリスクを回避したい方は、「加熱」か「冷凍」をするべきでしょう。魚介の中心まで火を通すか、-20℃以下で1日以上凍結させることでアニサキスは死滅します。

もし鮮度の良い魚介を冷凍せず生で提供するのであれば、出来る限りの防御策を施すのが料理人の責務です。

アニサキスはわりと大きな寄生虫であるため(10mm~40mm)、目を凝らせば目視することが可能です。多くの場合肉に潜り込んでいますが、その穴も肉眼で見えます。つまり、注意すれば取り除くことができるのです。

しかし、いくら注意しても見落としてしまう場合も多いでしょう。
特に分かり難いのは背の方の肉、皮に近い肉です。

なので、皮目から「鹿の子包丁」を入れるとよいですね。
包丁で切り殺すわけです。
切り込みは飾り包丁なので商品としての提供に問題はありません。

こうした方法は完璧なわけではなく、見落とす可能性もありますが、やらないよりはやった方が良いに決まってます。

しかし、バタバタと慌てふためいた仕事では、まったく無理な相談。
落ち着いた注意深い包丁仕事が求められます。
さらに「包丁がよく切れる」も必須。
つまりは、板前としての「姿勢」の問題だということです。

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