鯵(あじ):小アジ、大アジ、関アジ  

鯵(あじ):小アジか大アジか関アジか

アジ(鯵)スズキ目アジ科
英:Japanesejackmackerel
学:Trachurusjaponicus

アジの種類は厖大です。
所謂『アジ』とは、アジ科の魚の中でも独特の【稜鱗(りょうりん)-〈ぜんご・ぜいご〉】を持つ、アジ亜科の魚であると言っていいでしょう。この稜鱗を持つ仲間だけでも世界中の熱帯・温帯の海に数多く生息し、その全部を紹介するのは無理です。

まあ多くの魚はそうしたもので、代表3種を紹介すれば足りるサバって魚が。いかに特殊なものであるか分かろうってものですね
(サバ科全体となればまた話は別)
鯖(さば)

アジ独特の棘状の鱗、ゼイゴ

ゼイゴの取り方

 

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アジの種類

食用に限ってアジを大きく分類すれば、マアジ、マルアジ、ムロアジ(室鯵)、シマアジ、カイワリ、ギンガメアジ(巨大なロウニンアジもこの属)、そしてアジ科の仲間で重要種であるブリ(ハマチ)、カンパチ、ヒラマサ。

ムロアジ(室鯵)に属するアジも尾の赤い「オアカムロ」やクサヤにする「クサヤムロ」「ムロアジ/ホンムロ」など約10種類。

それにシマアジ(縞鯵)、カイワリ(貝割)、イトシキアジ(糸引鯵)など菱形のアジ。それとブリ類。これらも大事な食用種のアジ類ではありますが、それらを詳細に書きますと記事に収まりませんので、これらは割愛します。

なにしろムロアジと「アカゼ」はどう違うって魚屋同士で意見が割れたり、「赤鯵」という見た目はオアカムロにそっくりな「ヒメ」なんて鯵もいて、ややこしい限りですので。

また、比較的馴染のあるマルアジ(アオアジ。東京では丸、沖縄ではナガイュー)とか眼アジも除外して、ここでは『マアジ(真鯵)』だけを紹介します。

※関西ではマアジを赤アジ、ムロアジを青アジと言います。
※沖縄では大きなロウニンアジやヒラアジなどを含めアジ科の種が豊富で、これらを一まとめにする便利な言葉『ガーラ』ってのがあります。種類が分からなければ、これは「ガーラだ」で済むわけですね。実際の話、専門家にしか細かい名前など覚えられない多彩さですので。

さて、桜の散る今頃の季節になりますと、いよいよアジが北上を開始しまして、夏場の最盛期が目の前です。サバを紹介すれば当然旬のアジを書かないわけにはいきません。

ややこしい仲間は除きましたので、マアジに絞り込んで話をいたします。アジといえば自動的に真鯵を指すと言ってよいでしょう。

《ホンアジ、メダマ、アヅ、ノドクロ、キアジ、クロアジ、キンアジ、アカアジ、ヒラアジ、オオアジ、トツカワ、ゼンゴ、ゼイゴ、キンベアジ、》これらは全部真鯵(まあじ)を指した地方名です。

マアジは全部で13種ほどいまして、ゼンゴの棘が70個前後あり、この数やなんかで細かく種類分けできますが、そんなもんは魚類図鑑あたりに任せておけばよい話で、我々には関係ございません。

重要なのは、マアジは2種類に分かれるってことです。沖合いを南北に回遊する型と、沿岸に定着する瀬付き・根つき型の2型です。

回遊型をクロアジ・ノドグロなどと呼び、背の黒色が強くシャープな体型で身に締りがあり、食味は潮の風味が濃い。少しムロアジと似ている。ゼイゴの突起が大きい。


クロアジ

瀬に居付くタイプをホンアジ・ギンアジ・キアジと呼び、体色に黄色味が強いのが特徴。脂があるので市場価格は高くなります。

所謂「根アジ・釣りアジ・黄金アジ」の名で付加価値も付く訳です。そのせいなのか近年資源が減少しており、昔ほどは獲れなくなりました。「高級魚化」の弊害かも知れませんな。


キアジ

輸入のマアジは南太平洋に生息する「ミナミマアジ」と「ニュージランドマアジ」。オーストラリアとかニュージランドから輸入されてます。あと大西洋から「ニシマアジ」も輸入されています。

食材としてのアジ

我々板前にとってアジ科の魚はグレーゾーンに位置しております。
イワシ、サンマ、サバ、アジといえば「青魚」。俗に光物と呼ぶ身の赤い魚の代表でして、つまりは「白身魚」と「赤身魚」に分けた場合、赤身に属するものです。

しかし実際にはハマチ(鰤)、カンパチ、ヒラマサ、シマアジといったアジ類は青魚であるにも関わらず、「白身魚」として扱っています。

ではマアジはどうかと言うと、これが微妙。鮨屋の握りの場合、また刺身に限定した場合、光物のカテゴリですんで、ワサビではなくショウガを薬味にします(生の場合。〆はコハダ・サバ同様ワサビ)

しかし加熱調理を含む料理全般で考えますと、白身とするか赤身と銘打つか、判断に微妙な部分があるのです。特に定義がある訳ではないので、まぁ「中間に位置する」と考えればよいでしょう。

料理素材としてアジを見ましたらば、これはもう汎用型魚素材の王者と言ってもいいでしょう。沿岸に大量にいて釣り易く、食べて美味しい、非常にありがたい魚。

価格の面や何にでも使える汎用性は飛び抜けています。便利極まりない重要な料理素材です。料理の仕方によっては魚嫌いの子供にさえ食べさせる事が可能な魚です。

栄養面で他の青魚には及びませんが(脂含有量で負ける)、そのかわりに食べやすいわけです。クセがなくなりますからね。

それに、及ばないまでも青魚独自の栄養は充分でしょう。また、干物にすると水分が抜けた分だけ味と栄養が凝縮して旨味が増します。

ただし意外でしょうが干物は鮮度が大事です。長期保存用だとどうしても塩分が強くなるし、脂が酸化するからです。アブラというのは新鮮なうちは栄養ですが、変質すると悪性のものになる。これは全てに共通しています。

しかし干物は美味い。とくにクサヤなんぞはたまらない。おいらは塩分がどうしたこうしたなどまったく無視しております。塩を控えたからって150歳まで生きられる訳でもねぇし、そんなに生きたくもありませんや(笑)

関アジとアジの刺身

アジ刺身とくれば、根アジ/釣りアジ。
これはもう関サバでも有名な豊後水道の関アジでしょうな。


関アジ

本当は、全国の沿岸に居ついている根アジは地域でそれほど差が激しくあるわけではありません。まあ関のように特に条件の良い海もあるにはあるんですが。差をつけているのは関サバのところで書いた様に漁師のテクニックと漁協の連携プレーによるものでしょう。

関アジともなればこれはもう問答無用の「白身魚」でして、普通の光り物とは一線を画します。よって、これはネギショウガの薬味よりもワサビを使うのが常道。


関アジの身。殆ど白身魚といえる身質。

活き造り

先に書いたようにアジは青背の魚のわりに脂がない魚種ですので、例外的に『活造り』にしても美味しく食べられる魚です。これは脂を身に回し熟成を待つ白身系と対照的。比較的小さい白身のイシダイ、そしてシマアジもその例外(アジ科でもカンパ、ヒラマサのように大きいのはまた別)

要は脂や旨味成分の少ない魚が活き造りに向いているとも言えましょう。ですのでヒラメやタイやカンパ・ハマチなどの大き目の奴を活き作りにするのは馬鹿げているのですよ。

魚の旨味なんぞはまだ出ていないし、ゴム食ってるのと変わらないのに「ピチピチして美味い」はないでしょうよ。せっかくの魚です、旨味を出してから食わないと可哀想。
魚の保存

ですが、アジ(小)は例外。
活き作りのプリプリした食感は美味しくて、これから暑くなってくるにつれてスズキの洗いと並んで涼味のある粋な刺身です。
スズキの洗い

アジを活け締め

三枚におろし

皮をひく

アジのさばき方

ネギ生姜でたたき風に食べるとさっぱり。
最初の一杯はビール。熱燗を一合。
そして冷酒か焼酎に切りかえて・・・

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