里芋の種類  

里芋の話

芋の季節ですね。
農家さんでは収穫も終えた頃合でしょうか。
今日は里芋について少し書きます。

サトイモ [英]taro
南方では【タロイモ】【ダロ】
単子葉植物  稀に着花もする
熱帯では多年、日本では一年生
マレー半島(インド・ネパール)あたりが原産地。
日本への渡来は中国ルートのものと、南方経由(台湾・琉球列島)の二通り。南方系のイモはメラネシア・ミクロネシアにも伝播しました。

原始的な種はすでに縄文期から渡来していましたが、現在の様な品種は江戸から近代にかけてのもの。ヤマイモ(山の芋)に対し里にできるイモなので「里芋」と呼ばれる。



 


サトイモの種類

里芋は以下のような分け方をします。

・小芋だけを食べるもの
・親芋を食べるもの
・親子兼用種
・葉柄を利用するもの

親芋以外の子や孫が所謂「芋の子」です。

小芋専用品種

親芋の周囲に多くの小芋、孫芋ができますが、小芋に栄養が集中するので親芋は食用になりません。
代表的な品種に【石川早生(石川小芋)】、【土垂】、【えぐ芋(青芋)】、【蓮葉芋】、【黒軸(黒芋)】などがあります。普通お店で見かける里芋は石川か土垂が多いと思います。

親芋種

小芋も付きはしますが小さくて商品になりません。
あまり馴染がないと思いますが、【筍芋】などがあります。
竹の子芋は『京いも』とも呼ばれる

親子兼用種

親芋も小芋も両方商品になるものです。
【セレベス(赤芽、大吉)】、【海老芋(唐芋)】、【八つ頭(九面芋)】などがあります。

棒鱈と炊き合わせる京都の料理『芋棒』で有名な海老芋。江戸期に九州から唐芋(とうのいも)が京都に伝わり、真鱈を干した棒鱈と炊き合わせたのが始まりだそうです。今では専用に大き目の海老イモが作られています。

葉柄専用品種

イモ自体が小さく、葉柄にえぐ味が少ないので葉柄を食用にする種類です。【蓮芋】(ハスイモ)がそうですね。

上のハスイモに似た白いものを見た事があるかもしれませんが、あれは葉柄を軟白栽培した【白だつ(白ずいき)】や【芽芋】です。

一方で親芋の葉柄を【ずいき】と呼び、ズイキの皮を剥いて乾燥させたものを【芋がら】といいます。 ずいき

これらの葉柄全体をたんに「ずいき」と呼ぶケースも多いですが、正確には上記のようになります。赤ずいきを酢漬けにした越前(福井)の郷土料理「すこ」という品などもあります。

芋がら縄

昔の武将達が兵糧として「味噌縄」を使用していた事をご存知の方が多いかもしれません。縄に味噌を塗り乾燥させ、腰に巻いてインスタント味噌汁を作ったという話です。

昔は味噌汁といっても「だし」など贅沢品ですからね。そのへんの野草を具にして湯を沸かし、腰の縄を入れればみそ汁ができる訳で、立派な携帯食です。

それのもっと気の効いたものが「芋がら縄」です。
芋がらを縄の様に長く編み、それに味噌を塗れば、なんと具付きのインスタント味噌汁になります。必要なだけ切って沸かせばイモの葉柄入りの味噌汁になりますからね。陣笠を鍋にして沸かした野戦食の味噌汁はどんな味がしたんでしょうか。

里芋と芋がら>>

里芋料理など

きぬかつぎ(衣被)

「絹かつぎ」とも書きます衣被は、平安朝の時代の女性の衣装「衣被ぎ」からつけられた名で、里芋(小芋)の石川早生(秋口の新里芋)の別名です。

しかし同時に料理名でもあります。
小芋を洗って横に庖丁目を入れ皮のまま蒸した料理が「きぬかつぎ」です。そうすると、ブドウのようにツルリと皮が剥けますので、その様子から衣被の命名でしょうか。単純な庖丁目の他「松茸むき」などがあります。ふり塩や味噌などで食べます。

芋の子皮むき

里芋は上記のように衣被などの食べる直前に剥く剥き方もありますが、普通は皮をむいて料理します。料理屋では六方に剥く場合が多いのですけど、これは重ねて煮る時に煮崩れ防止にもなりますが、主たる目的は盛り込みの都合によるものです。

六方は便利ですが、必ずしも煮物に適した剥き方だと断言できません。それに「家庭の芋煮」にするには見た感じも味気ない。

サトイモの皮は水に入れて棒か板で掻き回しますと、芋同士の摩擦によって簡単に皮が剥けます。俗に言う「芋の子を洗う」ですね。他のイモ類に比べて皮がゆるいのでこのような事が可能なのです。里芋は六方剥きよりもこの方が「らしい」のでないでしょうか。

サトイモの皮むきと下拵え
煮っころがし

里芋の栄養その他

他の多くの芋と同じく夏の終わりから秋に収穫され、日本人の冬の食卓の代表です。親芋に小芋が、小芋に孫芋がという里芋は子孫繁栄の縁起物として喜ばれ、祝宴のほか、「芽出たい」のクワイ同様、正月料理にもよく使われます。山形県や日本各地で「芋煮会」にも使われる、もっともポピュラーなイモでもあります。

里芋は生で食べると強いえぐ味があります。この渋味はシュウ酸カルシウムが針状結晶になっていて、この結晶が口の中で刺さる状態になる為です。この状態は加熱でたんぱく質を変性させれば消えます。

主成分は澱粉で、たんぱく質も少量含みます。
独特のヌメリはこのたんぱく質が多糖類(ガラクタン)と結びついてできるものと考えられます。ガラクタンの他ムチンも含み、このムチンは消化促進、ガラクタンには免疫力向上作用があるといわれます。

また塩分排泄にも役立ちます。カリウム分が多いので、ナトリウムの排泄を促進するからです。

しかしやはり重要なのは食物繊維が豊富であるといいう事。そしてイモの仲間で一番カロリーが低いという点でしょう。

里芋は煮物の材料として最も一般的なものです。
この意味は「おふくろの味」そのものであるという事でしょうか。










Copyright © 2017 手前板前. All Rights Reserved.