和食料理の知恵(1)  

和食板前Q&A

和食のコツをQ&A風にしたページを作ることにしました。このブログを始めてから2年近くの間に頂いたコメントやメール、それに検索ワードなどから魚山人風にアレンジ(想像又は妄想?)を加えて一人二役って按配です。


※以下は、以前実際に質問を頂戴したものです

和食料理Q&A(1)
和食料理Q&A(2)
和食料理Q&A(3)
和食料理Q&A(4)




料理素材の処理

●サザエの身はフタが閉まると取り出せない ☆取り出せない事はありませんが、貝剥きが挿せなくなる場合もあります。こうした時は器に水を張り、上に箸を二本渡してフタを水に向けてサザエの殻を置いておきます。すると水を求めてフタを開けて身を出しますので、あとは身をつかんで引き出せばOK。これを『さそい水』と言います。

魚はなんで臭いの
☆そう言われても困りますが(笑
実は新鮮な(生きてるのに近い)魚は臭くありません。
臭みが出る部分はヌメヌメと血、そして内臓を包んだ膜です。これらの場所は死んだ後に一番早く悪くなる、つまり臭くなるんですね。放置しておけばその臭みが魚全体に回ってしまうという事です。だから手早くこの部分をキレイに排除しなければいけません。そうすると身を臭くするのを防げます。

詳しくは
魚の臭いについて

魚山人はこんなやり方をしています。
魚を捌いても台所を臭くしない

●米は洗剤で洗ってもいいですか(←ウケ狙いではなく実話
☆いけません。
米を洗う目的はヌカを洗い落すことだけです。つまりしつこく洗ってはいけませんので、洗剤は不要なのです。 そもそも食品は水分を吸い込むものです。従って「すすぎ」でも落ちません。これは洗剤の成分を食べてしまうという結果になります。食べ物を洗剤で洗ってはだめです。

●米はガシガシ力を込めて何度も洗いなさいと教わった
☆それは精米が荒かった昔の話です。今の米は一度洗えばぬかが落ちますし、ガシガシ擦れば割れてしまいます。割れ米を炊いても不味いだけです。コツは最初の水はヌカがたくさんありますので即捨ててしまうこと。ぐずぐずしてるとヌカ臭い水を米が吸ってまずくなります。

●安い米なのでふっくらおいしいご飯になりません
☆それでは炊く直前に酒とみりんを少しだけ入れてみて下さい。
各大さじ1でいいです。それで見違えるご飯になりますよ。

●古い卵はどんなの
☆卵は痩せます。
少しずつ水分が蒸発して気泡が大きくなっていきます。だから古い卵は塩水に入れると浮いてしまいます。慣れると手に持っただけで肥えてるか痩せてるか分かります。

●冷凍えびを美味しくしたい
☆酒に塩を加えた酒塩に浸けてから料理してみると良いでしょう。
☆冷凍エビは自然解凍してはいけません。水で解凍しないと外側だけが乾燥してしまうからです。理想はシャワーを使った流水解凍です。この場合ボールよりザルで水を逃がした方が美味しいエビ料理を作れます。

だしのとり方

●だしを引く昆布に切れ目をいれておくと良い
☆全然良くありません。
確かに旨味成分は出やすくなりますが、それ以上に余計なもんが出やすくなってしまうからです。ヌメリや臭みなどです。生臭いだしは最低です。昆布は拭き取るだけにしておきます。

●沸騰した湯にかつお節を入れる
☆間違いではありませんが、そのまま入れると渋みやえぐみが出ます。つまり昆布と同じ。それに出汁が濁ります。そこで盃一杯の水を差して湯を静めてから入れます。薄削りの一番は煮込んでいけませんのですぐに火を止めます。二番は少し煮込んでかまいません。

●だしを漉す布は何が良いか
☆これはネル地に限ります。他のものは考えられません。
袋を作っておくと良いでしょう。だし漉し専用にして他の用途に使ってはいけません。だしは腐敗する成分ばかりですのでよく洗って乾燥させておきます。清潔に。

●かつお節はまだまだ出汁が出そう、もったいないから絞ってみる
☆だめです。
確かに出汁はまだ出ますが、絞ってはいけません。臭みや濁りが出てすべて台無しになってしまいます。お惣菜用の二番に使えるし、カスは甘辛く煮るなり煎るなりすればご飯のおかずになりますので、けちってはいけません。大胆に使うほど美味しいだしになります。

●だしを作り置きしたい
☆残念ですが洋風出汁と異なり和食のだしは作り置きできません。
冷凍保存も無理です。そのつど少量ずつ作るからこそ、あの香りが出るのです。

●いりこだしのコツを教えて
☆これもかつおやこんぶと同じく余分な臭みや成分を出さないのがコツです。じゃこの頭と腹はちぎり取っておきます。水から沸かして(じゃこを入れて)沸騰直前になったら火を止めます。沸かしてはいけません。漉す前に焼いた鉄箸をジュッと差し込むと臭みがキレイに消えます。

●昆布で品のよいだしを引きたい
☆昆布は加熱すればするだけ味が落ちます。
従って上品な昆布だしを引きたいのであれば『水引き』にします。
水の1割量の昆布を夏場3時間、冬場5時間水に浸けておくだけです。それでだしが出来ます。加熱する場合でも沸騰前には必ず取り出す様にしましょう。

●良いだし昆布の見分け方は
☆白い粉がたくさん吹いている昆布が良い昆布です。この白い粉は旨味成分ですから水で洗い流したりしないようにして下さい。軽く拭くだけでOK。

その他料理の知恵

●卵白を泡立てるのが下手で困っています
☆では卵1に対し酢を小さじ1加えてやってみて下さい。

●不器用なので卵白と卵黄を上手に分けられない
☆100円ショップで「じょうご」を買いましょう。
コップにじょうごをさしてその上で卵を割るだけです。

●柿が大好きだがデザートは飽きた、他の食べ方は
☆柿は酢と相性が良いので膾にします。
☆また柿は油とも相性が良いです。天ぷらにしてみましたか?
酒を振ると柔らかくなる性質もあります。

●焼き魚はどっち側から焼けばいいのか
料理本によって書いてある事が違いよく分かりません
☆「盛った時に表になる方から焼く」、が基本です。盛った時に表になる面から焼くという部分が本によって表現が違ってくる場合があるようです。これは料理屋と家庭の熱源が違うからだと思います。上火か下火かで逆になる訳ですからね。もうひとつは串か網かという事。専門家は串が多いですが家庭で串を用意してる方は珍しいでしょう。串の場合はね、上火のときは裏を、下火のときは表を熱源に向けて焼けば良い。熱源と反対の側に脂が回り込み汚れてしまうからそうするんです。最初に焼く反対側が汚れってしまうってことです。結局表になる面を綺麗に仕上げるのが目的です。家庭でも同じ理屈です。

●大根おろしに医者いらず、蕎麦の薬味なら怒っておろせ
☆冬の大根は甘く、夏大根は辛い。
青首大根は葉の方より先端の細い部分ほど辛い。
繊維を壊すように力を入れて直線におろすと辛く、円を描く様に優しくおろすと辛みが出ない。これは天ぷら向き。*これは本ワサビの場合は辛くなるおろし方(ねばりが出るため)水っぽいのが嫌なら皮を剥かないでおろすこと。

ジアスターゼ他、消化酵素が豊富。咳や喉の痛み、声枯れ、二日酔いによい(蜂蜜を加えて飲む)虫歯、口内炎や歯肉炎などにはおろし汁でうがいをすると良い。

辛みの元はイソチオシアネートで揮発性。ビタミンCなどの栄養素もしかりで時間とともに減少。なので必ず食べる直前におろす。ついでにカラシは少量の醤油と砂糖を加えて溶くと辛さが増し風味もよくなる。


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