黒鯛の特徴と焼物料理  

ちぬ

黒鯛の特徴

クロダイの特徴を三つばかり。

黒鯛は成長に応じて名前が変わる出世魚です。
チンチン→カイズ→クロダイ、関東。
ババタレ→チヌ→オオスケ、これは関西。

もう一つは仲間の「キチヌ」「ヘダイ」「ミナミクロダイ」とともに、成長に従ってオスからメスに性転換する生物学上の珍魚だってこと。25㎝くらいまで(2~3才)は全部両性具有と言うか精巣の肥大した実質的なオス。それが4~5才になるとごく小数以外は全部メスになるって不思議な魚です。

卵があっても元々はオス

そして最大の特徴は板前や海産物商よりも、「釣師」のほうがこの魚に興味があるってことです。

その理由はこの魚の泥臭・磯臭が抜けない事と、身がゆるくなるスピードが早すぎるってんで板前に好かれてないからです。

従って使う料理人はあまりいませんので、値が上がらず魚商も敬遠するって具合。ですから値段も真鯛の半値以下ですね。お味は石鯛、石垣鯛の方が上だってのが板前の常識です。さらにはランクが下の近縁種で外見が似たヘダイの方があきらかに磯臭が無くクロダイよりも美味いときてる。

 

黒鯛の分布と種類

北海道からアジア沿岸まで広く分布してますし、春から夏は浅い場所に大きいのが近づいて来ますんで、釣魚としては大人気。トウモロコシやスイカですら餌になる手軽さの反面、警戒心が強いんで上級者にも仕掛けなどで楽しめるって具合。子供にはちっこいのが釣れるし、プロ級は60センチオーバーを狙うって感じで文句なしの釣り魚。(奄美・沖縄にはクロダイはいません。あちらでチン・チヌとして釣られているのはミナミクロダイかナニヨウチヌ、あるいはオキナワキチヌです)

上に書いたようにほぼ日本全国にいますので、産卵期は冬から春とされますが、実質的な旬は初夏までと考えてもいいでしょう。 こいつも多くの魚同様に標準和名のクロダイ以外に名前が多く、多用されるチヌ(茅渟)、チン、クロチヌ、カワダイ、チンダイ、クロ。よく似たお仲間の「キチヌ」は、シロチン、シバチン、シラチン、キビレ、キチンという按配。この名前の通りキチヌは白っぽくて尾の先などが黄色いのでクロダイと区別できます。

食材としての黒鯛

魚の王者マダイにあやかった「タイ」の名を持つ魚は200種以上。科が違うどころか、亜目や目の段階でさえ真鯛とは無関係な魚が多い中で、黒鯛は11種しかいない「タイ科」の仲間で、正真正銘マダイの親戚。

それはこうやってオロシ身にするとなんとなく納得できますよね。

皮目はともかく、身質は真鯛に近く、皮を引けばそっくり。

料理人に敬遠されてるといっても、釣れたてを素早く締めて血抜きし、腹を出し迅速に処置されたのは正直かなり美味いとおいらは思います。
ただしそれこそあっと言う間に身がユルユルになってしまいます。真鯛の5倍速って感じですね。

 

黒鯛料理 香草焼き

同じスズキ目タイ科なのに、この違いは何でしょうか。
南洋のシロダイやフエフキダイに近い気がしますね身質が。

塩を打ち、臭みを抜くと同時に身を締めてやりましょう。

フェンネルを使い奉書包み香草焼にして、ディルも使い、バルサミコをベースにサラダ風のソースを作ってみました。奉書には鯨脂を使い特殊な加工をしてありますので、見た目よりも味を重視した料理になります。食べる直前に中身をサービスします。一応これは和食です。こうすれば独特の磯臭さが逆に旨味に変化してくれます。和紙ではなく海藻で包んでもいいし、網脂(クレピネット)で包み、オーブン焼きにするのも面白いかも知れませんね。


石鯛
石垣鯛
黒鯛









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