塩トマトとフルーツトマト  

トマト

 

何で読んだか記憶もあやふやなんですが、もぎたてのトマトを食べて感動する記述がありましてね、漫画でしたか本でしたか・・・、ともかく美味さに感じ入ったグルメさんがこんな感じのセリフを言います
「これこそ昔懐かしい日本古来の味だ!」
「この香りと甘みこそが本物のトマトなんだ」

気持ちは分かりますが・・・・

トマトってのは日本の国土風土に馴染みのない食べ物でして、つまり日本人にとって異質な野菜でしかありません。。そして本物のトマトは酸が勝り甘くはありません。

トマトの原産はアンデス高地。栽培され始めたのはメキシコに伝播してから。中南米の高冷地に端緒があるトマトは、日本の高温多湿の環境下では元々まともに育ちはしません。欧米でも食用にされだしたのは18世紀以降と大変遅く、(実際は16世紀には伝播してますが、毒があるとかたく信じられていまして(アメリカなどは19世紀まで「毒」の迷信を信じてました)、鑑賞用にしかせず、これを食用へとコツコツ200年もかけて改良したのがイタリア人。だからイタリア料理に多用される訳ですな)

日本も17世紀には入って来ましたけども、消費らしきものは実に昭和になってから。(正確には食用として試験的に栽培されたのは明治。だが不人気であり、改良されてどうにか食える様になってきたのが昭和以後)つまりね、「和食」ってものを真に確立した時代の板前達も大衆も、トマトなんぞまったく知らなかったんですよ。知ってても見向きもしませんでした。

まぁイジワル爺さんみたいなのはこのへんでやめておきましょう(笑)

昭和初期になんとか日本人の味覚に堪えられる様に改良されたのは「桃色大果」と言いまして、これを元にさらに改良が加えられのが80年代、そして「桃太郎」が完成し90年代以降はこれが主流になりました。器用な日本人はとうとうトマト臭さを消し去った甘いトマトを生み出したってわけです。アメリカ系ポンデローザからファーストを経て完熟系の桃太郎が全盛を迎えたんですね。

さて生物ってのは栄養を充分に与えれば駄目になり、逆に「飢餓状態」に追い込めば信じがたい能力を発揮するという、一般的に広く言われる「栄養神話」と逆の事実が昔から一部では知られていました。

それを知ってか知らずか、昔海水が入って塩だらけの、直物にとっては地獄としか言えない不毛な地にトマトを植え、しかも命の糧「水」をほとんど与えないという栽培を始めた農家があります。熊本県八代地域などですね。そしたら糖度が8度以上と果物並みに甘くなっちゃった。大きくはならないが旨味(海水のミネラル・甘み・酸味)が凝縮され大変美味しい。これを塩トマトと言います。これが今人気のフルーツトマトの元祖です。しかし塩トマトの固い歯ごたえと味覚はフルーツトマトとは違います。それやこれやで、今では糖度10度などというトマトさえ出て来ました。

トマトは常温で充分成熟させてから食べましょう。

*塩トマトもフルーツトマトも品種名ではありません。
ベースはほとんど桃太郎で、栽培が先に書いた様に特殊なものを指しています。

塩トマト、マイクロトマト、ブラックトマト、ホワイトトマト、食用ホウズキなど
トマトの刺身

トマトの国内における作付け面積は約15,000ヘクタール以下で、これは1960年代以前のレベルに減少してるという事ですが、主要な野菜消費がどんどん少なくなってる日本において最近はやや増加傾向を見せてもいます。その理由がこのブランド人気もあるにせよ、そしてトマトが和食とは縁の薄い野菜であるにせよ、日本人が野菜を沢山食べるのは好ましいことです。健康ブームと野菜消費が反比例するのはいったいどういう現象なんでしょうか。なんでもいいからもっと野菜を食べて欲しい。そう思うんですよ。

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