春の山菜  

山菜の話

ウド

ウドは皆さんご存知の山菜ですし、数少ない日本原産(自生)野菜なので、和食でもあらゆる用途に好んで使われます。清々しい香りと歯ごたえに加えて苦味がなんともいえず、日本人向きかもしれませんね。

でも知っているようでいてあまり正確には知らないのが野菜の特徴。【山ウド】ってのを誤解してる人がかなりいますので説明しておきましょう。

山ウドは野に自生してる野生、つまり天然物を指していると思い込んでいる方がかなりいます。これは【野ウド】が正解です。山菜としてのウドはこれを指します。(当然ですが栽培が一般的になる前は独活は全部山ウドでしたけど)

江戸の頃から畑で土を寄せて光を遮り軟化させ半分を半緑化させる栽培が始まりまして、この「緑化ウド」を「山ウド」と言います。
一方で伏せ混んで光をあてずに完全に白く栽培するうどを【軟化ウド】と呼びまして、これは真っ白です。店にあるウドはほとんどがこれです。別名【軟白うど】と言い、アクが少なく味も香りも品がありますので、日本料理ではこれをよく使います。

【軟白うど】と【山うど】の二種は栽培ってわけです。
(栽培ものに本来の「山ウド」なんて名を付けて流通させるからこんがらがってしまったという訳。「緑化ウド」で通して「山ウド」の名は天然自生の「野ウド」に返してやるべきだと思いますがいかがなものでしょう)

野生の野ウドは若芽が美味しいのが特徴で、古くから利用されてきましたけども少々アクがあります。天ぷらにすれば気にはなりませんけどね。野ウドの有名なのは中国地方の「大山ウド」それに意外かもしれませんが東京近郊が良い品質のウドを産します。

ウドのアクはイコール苦味でもありますけどもね、これの正体のひとつはポリフェノールなんですよ。抗酸化作用で有名になってますよね。活性酸素から体細胞を守るっていうポリフェノール。
まあ他の野菜山菜のアクも多かれ少なかれ「栄養成分」を持っているのは確実でして、あまりアクを抜きすぎるのはどうかと思います。(アクを抜かないと食べられないのもあります)

見た目重視の和食では常識になってますが、家庭料理でまで真似する必要は無いと、おいらは断言できます。レンコンやウドを煮れば黒くなるのが本来なんですよ。白いのは異様な事なんですね本当は。しかしそもそも産地で白くなるように作ってるんですが。

さてウドの料理でよくお目にかかるのが、「酢味噌和え」ですよね。
茹でた茎を薄く長角に切り、酢味噌で和えます。シャキシャキした歯ごたえがウドの持ち味ですんで、茹で過ぎはいけません。

おすすめは極薄く切ってサラダにする方法です。
薄く切ったウドを酒塩に少し浸し、さっと酢を入れた湯に通し、冷水に取りシャキリとさせてから食べます。木の芽ドレッシングなどで召し上がるともう最高ですよ。あと春山菜の王道、天ぷらもいいですね。

ウド(独活)
ウコギ科タラノキ属の多年草
茎や葉を食用にする
葉が少し開き始めた若芽の時期が食べごろ
旬は二回
3~4月が旬の春うど
10~1月の寒うど

 

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自然の減少と需給のアンバランス

漸く春の日差しをお目にかかれる様になりましたが、まだまだ空気は冷たいですね。季節の変わり目ですので、体に無理をさせないように注意なさってください。

さて前回は独活を取り上げましたけども、栽培物が主流でもあり、山菜のイメージは少しだけ薄いですよね、ウドは。しかしウドも含めて山菜には避けて通れぬ問題点があります。

山菜という日本語自体が曖昧なものになって来てる現実です。
野菜は山菜など自生する植物を祖として栽培化に成功したものを指しています。主たる菜が魚であることから(真菜)、それに対し野菜は「蔬菜」の名で呼ばれていました。野菜とは、「野」が付いていますけども、事実上は栽培された植物です。一方で山菜は「山野で自生している菜」を定義した言葉です。本来ここには栽培種は含まないはずです。

元々山菜は山里周辺の人達の貴重な食糧であり、街の人間で食べる人は限定的でしかなく、うまく需給のバランスがとれていました。ところがここにもグルメなんとやらが顔を出します。

魚と同じパターンってわけでして、要するに急に増えた需要をまかなう為に【とり尽くし】が始まり、そのついでに周辺環境も破壊するって構図です。絶滅を免れている理由の最たるものは、人間を容易に寄せ付けない場所に自生する山菜の「採りにくさ」だろうとおいらは思います。

人の手で個別に採取する以外方法は無く、漁船で網を打ち何トンも持ち帰るなんて事はできません。だから栽培が進み、これは非常に重要な事だと思います。

基本的に山菜は自生もの、つまり日本(アジアを含むのもあり)固有の植物であり、貴重な日本原産種なので、これを絶滅させて良い訳がありません。栽培種の山菜は進んで食するべきであろうと思います。

おいらは、日本人ってのは山野の自然を愛する気持ちを心の奥底に強く持っていると信じています。山菜は愛でる物、山菜(野菜)は食べる物、そうなって行くんでありましょうし、それでいいんじゃないでしょうか。

イタドリ(虎杖)、ネマガリタケ(根曲竹)、ゼンマイ(薇)、ワラビ(蕨)、ナンテンハギ(南天萩)、タラノキ(タラの芽)、ツワブキ(石蕗)、フキ(蕗)、ツクシ(土筆)、ヨメナ(嫁菜)、ノビル(野蒜)、ジュンサイ、ウコギ(五加)、ノカンゾウ、シオデ(牛尾菜)、ウワバミソウ、アシタバ(明日葉)、クサソテツ(草蘇鉄)これらの山菜は、ともかく日本の野山を印象づけるものばかりです。

大葉擬宝珠(オオバギボウシ)
通り名は「ウルイ」です。なかなか品が良く、和食でよく使います。
椀の実やおひたし、酢の物などによいですよ。

コゴミ
草蘇鉄の若芽です。鮮やかな緑がなんとも春らしいですね。
食べ方は同様ですが、サラダなどにいいですね。ドレッシングとも合います。

行者ニンニク(行者忍辱)
ユリ科のネギ属。北海道は釧路産が有名ですよね。
名は山で修行する行者が精をつけるために食べたことに因みます。
おなじみ蕗の蕾の「ふきのとう」は、ほろ苦さがいいですね。

砂漠のように荒涼とした国土を、将来の日本人に残すのはあまりにも寂しい話です。そうならぬ為に、せめて春の山菜を食する時くらいは日本の自然に想いを馳せてみることをおすすめいたします。


山菜
竹の子
たらの芽・蕗の薹・菜花

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