湯霜作りと焼霜作り・金目鯛のサバキ  

湯霜作りと焼霜作り

 

魚の旨味は皮目にあります。皮を引いた刺身の方が食べやすくはありますが、個々の魚種の持ち味はやはり皮目を食べてみてはっきりするものです。

皮付で食べられる刺身技法を金目鯛とサーモンでみてみましょう。

金目鯛の湯霜作り

安定して獲れると同時に、姿形も味もなかなか上等。
そんな有り難い魚が、キンメダイです。

関東の主産地である相模湾じゃ、マダイの代用品として祝儀に欠かせません。その割には安価でして、優秀な魚です。寒くなって来ますと、一層脂がのり、美味しくなります。クセのない白身は、刺身でも旨く、どんな料理にしても美味い。

キンメ鯛の煮付け・あら煮

見分け方も簡単。
金目の名前通り、目が澄んで光ってるのが新鮮です。

金目鯛を三枚におろします。

三枚おろし

これを湯霜作りにしましょう。
美しい赤の皮目を引き立ててもくれますので。


一度切り目を入れ、二度目に切り離す『切り掛け作り』で刺身を引きます。

湯霜作りと切り掛け切り・やり方
皮を引いてキンメを刺身にする場合

焼き霜作り

肉も魚も、あるいはすべての食材は「焼き目」があることで人間の食欲を刺激します。とにかく理屈抜きで食べたくなるのですね。ここが生肉を好む動物とヒトの違いだと言えましょう。おそらく火を使えるようになった数百万年前からヒトに刷り込まれた本能とも言えるものではないでしょうか。

近年は健康がうるさく言われるようになり、炙り焼きも良くないという声が聞えるようになっております。偉い人のなかには「バーナーでの炙りもけしからん」という方もおられます。ガスの問題もありますからね。まぁ「焦げ目」は確かに悪いモノだと自分も思います。しかし焦げ目と焼き目は違うのですよ。焼き目までを否定するような「健康」ならば、そんなモンはいらないと思いますね。人間の本能なのです。それを拒否してまで健康になろうとは思いませんので。

サーモンの焼き霜作り

サーモンはともかく皮が旨い魚です。
それだけで酒の肴になるくらいですからね。
皮だけをバーナーで「炙り」にしたのが、鮭の焼き霜作り。

魚を焼き霜にする時は、湯霜と違ってサクの段階で火を入れるのではなく、刺身に切ってから加熱します。そうしないと刺身に切るときに皮がグズグズになります。

まず皮付きで刺身を引き

皮をよく炙って冷まします。

氷の上で炙っているのは、身の焼き過ぎを防ぐと同時に早く冷めるからです。

こういう感じになります。
サーモンの炙り刺身

太刀魚とイサキの焼き霜作り

ある種の刺身を岩塩で食べると旨味が増します。「ある種の」ってのは、『身自体に甘みがある』食材です。甘さをより強く引き立てて舌に伝える為に、少量の塩を隠し味にするのは昔からある調味法でもあります。小豆煮などが典型。魚介で言えば、イカ類の中では甲イカよりもヤリイカが塩が合う。ヤリの身がもともと甘いからです。

要するに何でもかんでも「塩の方が旨い」って事ではありません。山葵醤油が良い物もあれば、生姜醤油の方が合う物もある。マグロやカツオに代表される「青背の赤身」類は、独特の酸味を有するタンパク質で、生食の場合、生姜・辛子・山葵の方が美味しく食べれます。

一方、身が固く締まった鯛やヒラメといった「白身魚」類は、身に甘さを持っている種が多く、それらは少量の塩が甘さを引き出してくれます。

太刀魚やカマス、それにイサキ。この三種に共通してるのは、「皮とその境目が美味」って事。皮を引いて刺身にするのは勿体ない魚です。
(タチの場合元々引けませんが)

カマスの焼き霜作り

それで皮付きで刺身にしたいのですが、「湯引き」よりも「炙り」の方がより美味しくいただけます。 その時に「岩塩おろし」を少量使うと、見事に魚の旨味を引き出してくれます。この場合は醤油よりもレモンの汁などがよいと思います。

身が丸まったりしない様、また食べやすい様に、皮目に包丁を数条入れておきます。(写真はイサキ)

刺身を切り、その上に少量のおろし岩塩を乗せます。

先ほど説明しましたように、湯引きの場合は後から刺身を引いてもよいのですが、焼き霜の場合先に刺身を引いてから焼きます。(皮が崩れ易く、身が汚れますので)

下に氷を敷く事で、刺身の涼味を保てるし、必要以上の加熱を防げます。



カセツトコンロ用の簡易ボンベに付けるバーナーで充分ですが、それが無い場合は、食卓にカセットコンロを出しておき、炙りながら食べるなんて方法も可能です。冬の鍋の時期には好都合。

「焼き物」ではなく「刺身」ですので、焼きすぎには注意しましょう。

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