魚の干物の作り方  

魚の干物の作り方

お刺身好きの日本人。
生の刺身の食感は何とも言えません。
しかしその対極である「干物」の美味さも捨て難いものです。

魚介は余分な水分を抜くと旨味が増す事が分かっています。
旨味成分が濃縮されるんでしょうかね。

少々身のゆるい白身魚を締まった深い味わいに
濃厚な青魚(赤身)は脂が抜けて奥行きの深い味わいに(クサヤがその代表でしょう)

保存期間が長くなりますし、生を調理した時とはまた違う味わい深さ。
新鮮な魚を入手した時などぜひ干物を作ったみたいものです。

干物は一般的な【塩干し】だけでなく、【煮干】、【蒸干し】、【焼干し】、【みりん干し】など実に様々なやり方があり、専門業者でないと難しいように思いがちですが、実は家庭でも意外と簡単に作れるもんなですよ。

 

干物の作り方

白身ではカマスやアマダイなどが干物向きですが、基本的に種類は問いません何でもござれ。青魚はアジ・イワシ・サンマ・サバ等これもまたどんな魚でもかまいません。

開き干し

まず魚を開きにします。
片方に中骨を付けた二枚おろしがよいでしょう。
(一夜干しなどは中骨を取った三枚でもいいです)

イワシ

イワシの開き方

カマス

カマスの片袖開き

飛魚 

飛魚のすずめ開き

上の三種の開き方を参考にすれば、ほとんどの魚に応用できます。
たくさん魚が釣れた時など、一部を干物にしておくとよいでしょう。


 
干物の手順
 

(1)
魚を水洗いして汚れを取り去り、いったん水分を拭きます。
血などが残ってますといけませんので綺麗に。

(2)
10~15%の塩水を作ります。
※白身は薄く、青魚は濃い目が基本
脂ののり具合で塩分を調整しましょう。
同じ魚でも大きさや脂が多いようなら塩を増やす。
基準として10%ですが、実際には12%から13%が美味しくできます

(3)
(2)の塩水に20~30分つけ込みます。
※この時間も脂の加減で調整
10%なら60分くらいかかります

(4)
芯まで塩が回ったら取り出して水洗いします。
これは表面の塩分を落とすためです。
ボールに張った真水に潜らせる程度でかまいません。

(5)
風が通り、日が当たる場所に干します。
盆ザルなどに身を表に向けて並べるとよいでしょう。
洗濯用の紐に吊るしてもかまいません。
陽射しが直角に当たるよう様に角度を調節します。

身側(表)が七割、皮目が3割くらいの感じで日に当てる。
表面が完全に乾燥したら出来上がりです。

※塩は精製塩を避けてあら塩などを使いましょう。
そのほうが味にまろやかさが出ます。


 
生干し・一夜干し
 

イワシやキスやサヨリといった身の薄い魚は、短時間で仕上がる一夜干しが向いています。またカマスやアマダイ、エボダイも一夜干しが旨い。つけ込み用の塩水は15%くらい。

干す時間は3時間~5時間ですが、基本的には夕方に干して朝に取り込みます。陰干しですし、風が無い日は表面がよく乾かない場合ありますけども、そんな時は朝の直射日光にしばらく当てて乾かします。

※グジ(アマダイ)などの白身魚は、若狭地を塗りながら焼くとまた違う仕上がりになります。
★若狭地
酒ベース・酒8 味醂1 淡口醤油1
出汁ベース・出し3 酒2 淡口醤油1

また、干物をチップを使ったいぶし焼きにすると香りが加味されます。
いぶし焼きは下記を参考にしてください。
燻製の作り方


 
丸干し
 

ウルメイワシ、カタクチイワシ、ハゼやアゴなどの小さい魚。
これは丸干しにしましょう。

塩水は15%くらい、ハゼは3%程度です。
イワシ類はそのまま、ハゼはワタを抜いて洗ってから。

ザルに広げて天日干しにしますが、割り箸などで目を貫いて4~5本つづ目刺にして吊るしておくと、身を返す必要がありませんので便利。

ムラ無く乾燥したら出来上がり。


 

干す場所が確保できない都会の場合

 

干物作りに向く季節は秋から初春。
夏場は陽射しが強すぎて駄目です。
温度や湿度も美味い干物には適しません。
暑い時期には下のやり方を利用するのも手です。

(一)
開いた後ザルに並べて薄塩し30分
いったん真水で洗い、水分を拭き取る
ボールやバット上にザルを乗せ、ザルに魚を並べる
扇風機で風を約2時間当てる

(二)
12%くらいの塩水に30分前後つけて真水で洗い水気を拭く
ザルにならべた状態で冷蔵庫へ入れて乾燥させる。約24時間
(冷蔵庫内の冷風を利用するもの。ザルは受け皿に乗せて)

(三)
薄塩を振り30分前後。水気を拭く
脱水シートで挟み、冷蔵庫へ半日
欠点は油断すると水分を抜きすぎてパサパサになりやすい
シートの種類で時間を調整するのを忘れずに
脱水シート

干物の焼き方

最高は炭火

炭火を利用し、下からの加熱となる「七輪」などに焼き網を載せて焼ける環境があれば最高で、この方法で「強火の遠火」が実現できます。

余分な脂が抜け落ちるのは良いのですが、この脂が熱源に付着して発火し、炎と化して魚を焦がしてしまいますので、「うちわ」が必須。

「うちわ」は、上記の焦げ防止であると同時に、「熱と煙を魚に絡めて味を良くする」手段でもあります。

ガス火で焼く

最も一般的なガス火の場合は弱火か中火で焼く。
グリルは庫内温度を上げておく、網は火で焼いておく。

魚焼きグリルや焼き網は、前もって十分に加熱しておくことがポイントです。

※引っ付き防止にサラダ油を網に塗っておく手段がありますが、おすすめできません。加熱されたサラダ油は網の形のまま魚に「コゲ」を作り、それを食べるのは健康上好ましくないからです。 完全に空焼きして余熱しておけば油は要りません。

魚を焼く段階では、グリル=弱火、焼き網=中火
決して強火にしてはいけません。焦げるだけです。

「焼き目」と「焦げ」は違うものです。
焼き目とは美味しそうな「焦げ茶色」、焦げとは「黒」が混ざる色です。
焼き魚は、できるだけ焦がさないこと。

程よい「焼き目」をつけたい場合は「酒を塗っておく」がベスト。
醸造酒の糖質を利用するものですから、焼酎など蒸留酒ではダメです。

グリルや「ガス火&焼き網」を使って焼く場合、焼いている途中で脂が落ち、その脂が燃えて煙が出たり炎で焦げたりして困る方もいるはずです。そういうときは、アルミホイルを使ってみて下さい。ホイルを敷いたり包んだりして焼くと解決します。

干物を電子レンジで焼く

炭火どころか、魚焼きグリルさえ使えないという家庭事情の方が都会には非常に多いと思います。今時の都会の部屋は電磁調理器しか備えてないってところも多く、料理が面倒な独身者などはカセットコンロさえ持ってないかも知れません。つまり焼き網も使えないと。

でもさすがに電子レンジだけはある様子です。
そこで、電子レンジで干物を焼く方法を紹介しておきましょう。

「電子レンジで焼き魚ができるのか」

できるんですよ。簡単にね。
説明していきましょう。

これはサバの干物です。

少し大きめだし「下で説明する事情」もあるので、
三等分に切りましょう。

電子レンジから耐熱皿を取り出し、
割り箸を折って下の様に並べます。

その上にサバをのせて

レンジで加熱すると焼けます。

(ラップはしないで下さい)

何故電子レンジで焼き物ができるのか。
オーブン機能ではなく、レンジの「加熱」だけで。

答えは「魚の塩分」と「割り箸」です。

レンジのマイクロ波は塩に集中する性質があります。
普通は内部の水分を水蒸気化させて「蒸す」だけなのですが、塩分に偏らせればその部分は焼けたようになるのです。マイクロ波は表面に当たりますから、外側の塩分が集中的に加熱を受ける。その効果を全面に与えるために割り箸をかませて浮かせる訳です。

干物だけじゃなくある程度の薄さなら「生サバ」の塩焼きも可能。
表面に塩をまぶしてそこに集中させれば、表面が焼けるからですね。もちろん内部にも火が通っています。

※内部まで火を通したくない「たたき」などは、分厚いまま表面に塩をして加熱すれば丁度いいわけです

塩分を控えたい、あるいはもっと皮にパリパリ感が欲しい。
そういう場合は、表面に「油」を塗ればいいですよ。
油は塩と同じようにマイクロ波を集中させるからです。

割り箸の置き方ですが、電子レンジも魚焼きグリルなどと同じく、中央部分には火力が集まりません。端の方が熱くなるのです。なので、加熱したい食品は端の方に置いたほうがうまい具合に火が入ります。

したがって、割り箸を折り、皿の端に魚を配置できるようにしたのです。
中央は加熱が弱いので、身の薄いシッポの方を中央向けに置く。

アジの干物など、そのままの姿で焼きたい場合は、割り箸を折る必要はありません。二本の割り箸を使い(つまり4本)、それを皿全体に置けばいいのです。アジの置き方は魚のサイズによって工夫すればいいでしょう。

レンジの加熱時間は魚の重量やワット数によって違います。
600Wで3分前後を目安に、良い加減になるよう調整してみてください。










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