かっぱ橋道具街の庖丁屋・砥石屋

  

街を歩く魚

板前が案内する東京

和食料理人が案内するからってグルメとかではなく、今や老舗も廃業して昔の面影は無い『三業地』(花街:芸者・料理・お座敷、そんなのがセットで楽しめる処。有名なのは赤坂、日本橋、新橋、柳橋、浅草、深川、向島、神楽坂、白山ほか。今はほとんど廃業)とかでもありません。たんにぶらりと回遊したまで。



仕事柄ってのもあるんでしょうが、殆ど電車に乗りません。
普段は店の車が足、近場の所用はタクシーってパターンですので電車の用事っていえば東京駅か上野のみで、だから近郊のJRや私鉄、メトロには縁がありません。なにしろ何年前の開通か憶えていませんが『大江戸線』ってのにまだ一度も乗った経験がないくらい。どこの人間なんでしょうかおいらは(笑) まぁそんな人も結構多いと思います。さもなきゃ電車がパンクしますし。

「これじゃあいかん」ってんで大江戸線に思い切って(一大決心 笑)乗ってみる事にしました。

いや~また深いところに掘ったもんですなぁ。
地下鉄ってよりも地底鉄道ですなこれは。「足腰鍛えるんなら大江戸線で通勤してエスカレータ使わなきゃいい」ってそんな声が出そうな按配。防空壕にゃ丁度いいが足の弱い方にはちょいと辛いんじゃないか。もう少しエレベータ増やすとかしたらどうでしょうかね。

深い深い場所にあるホームと、変な(笑)シンボルカラーのストライプ。色は上の薄紫が大江戸線、下の桃色系が浅草線のやつでしょうか。

大江戸線の路線図をよく見てみました。色々駅があります。便利ちゃ便利なんでしょうが・・・・・。かぶる箇所が目立つ様な・・・。

出発したのは築地市場駅ですが、これは別においらが魚だからって市場に棲んでいるからではございません。たまたま銀座界隈の和食屋に用事があっただけ。

用を済ませてテクテク晴海通りを勝鬨橋方向へ。
所用があった界隈から歌舞伎座をパチリ。

大通りに出ますと、元は築地川、今は首都高都心環状線に架かる『万年橋』。 江東区小名木川の萬年橋と同じく隅田川の支流の橋ですがここはもう川がありません。

まんねんばしの上から見た『新橋演舞場』

元々関西の演舞を手本にして新橋芸者の芸を磨く為に作られたものですが、今は芸者さん自体が先細り状態。日産自動車本社との相住まい。松竹さんが色々やっているみたいです。歌舞伎座といい周囲の箱のようなビルとの対比が何かを想わせます。

引越し予定の築地市場コロニー

さて日比谷線銀座駅から晴海通りを歩いて築地に向かったわけですが、あっという間に今ではすっかり「観光名所」に変貌した築地場外に着きます。あちこちに「築地は引っ越さない」って横断幕がありますが、当たり前ですわなそんなもん。移転するって理由がよく分かりませんので。築地市場を核にコロニーを形成してるこれらのお店をどうしようってんだか。移転費用を知事が持ってくれるんでしょうかね。

調理道具の街

目的もなく駅に入ったのでしばし思案。本所のダチの処に顔を出す事にしました。なので『蔵前』で下車します。友達の不景気なツラを拝んだ後でプラプラ歩けば浅草国際通り。合羽橋付近に精進を食わせる小さい店があるので飯にしました。

JR上野駅と銀座線田原町駅と浅草線浅草駅の中間あたりに西浅草てのがあるんですが、そのあたりに「合羽橋道具街」があります。「街」といっても浅草通りと言問通りの間を南北に伸びる通りにすぎんのですけど、路地を含めて100店を越える厨房用品の店が密集しております。観光客に混ざってプロの料理人もかなり歩いている界隈。厨房用品・調理道具がだいたいここで揃うからです。

包丁屋

築地と並んで合羽橋でもそこらへんの店にプロ用包丁が並んでいますけども、合羽橋道具街通りの中間あたりの交差点を国際通り方面に曲がりますと『鍔屋』って包丁専門店があります。ここのオリジナル庖丁は結構しっかりしています。

国際通り(浅草駅方面)方向から合羽橋道具街方向に向けて細い通りからパチリ。右手奥のほうに「喜久鮨」の大きな看板がありそれが目印。そこの一階にその庖丁屋はあります。

骨抜き

特においらはこの店の手作りの『骨あたり』(骨抜き)が気に入ってまして、しっかり作られているこの道具は使い勝手がよいので愛用しております。

砥石屋

さすがの道具街でも「砥石の専門店」ってのはあまり見当たりません。特に天然砥石を探すと難儀をしますね。

でも無いわけではなく、少し離れた場所にあります。国際通りに出まして田原町方面に向かいますと雷門一丁目交差点って大きなT字路があります。そこんところに「田原町のといしや」っていう砥石専門店があります。ここなら天然砥石を見つけられると思いますよ。

こうした店に行く時は、最低限の砥石知識は憶えてから行った方がいいです。よい砥石の産地はどこか(殆ど京都ですが)。もう閉鉱になっている産地(福島の会津砥、栃木の青砥とか色々)。そもそも用途はなにか。仕上げか、中研ぎ用か、荒研ぎか。そのうえで店の人に相談しましょう。

まったく関係ありませんが(笑)、この店の裏側に通り全部が寺関係って「てらてら通り」があります(正式名称じゃありません念のため)。さすが寺の町。なので隠れた精進料理屋があるわけですけど。

突き当たりに見えるのが東本願寺。そこを右に折れると合羽橋方向。

変わらぬものは何もなく、どんな場も時間もただの『通過点』
通過していくものもいつかどこかに辿り着いたらまた別のものに通過される。世はそうしたものだし、何もかもがそう。色々な感慨は湧きましょうが、それならそれででいいんじゃないでしょうか。そんな感想を持った一日でした。

道端でこんな美しいものが見れる。

まだ捨てたもんじゃないのかも知れませんよ東京も。


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