流し台の水垢汚れ  

流し台の水垢汚れ


❜❜もともと水が含んでいるミネラル類(鉄、マグネシウム、カルシウムなど)(水道水の場合は殺菌剤が加味)が付着して出来る「水アカ」
初期ならクエン酸などで落とせるが、積層した頑固な水アカは消えにくい❜❜

「シンクの汚れ、特に白い水垢が、いくら洗っても落ちない」

お客さんと話しておりましたら、そのような話題になりました。

贔屓にして下さるご夫婦のお客がおりましてね、ある日奥様が娘さんと二人でお見えになった。お嬢さんは就職をするので、家を出てひとり暮らしを始めたとか。

お嬢さんが借りた部屋は1LDのマンションらしく、かなり小綺麗だそうですが、それでも築年数は10年を超えるそうです。そうしますと、以前に誰かが住んでいたわけですな。

問題は、以前の住人が「きれい好きでマメに掃除する人間だったかどうか」ですわな。ま、これは賃貸住宅の根源的な問題でもあるわけですが。

で、このお嬢さんですが、とても掃除好き。
今どきの若い子にしては珍しい部類かも知れませんな。
まぁ綺麗好きだということでしょう。

それでね、借りた後、実際に暮らし始めてみて、いろいろな「アラ」に気づいたそうです。

不動産屋と下見に行った時には「なぜか見えなかったアラ」です。これは人間の視点が精神状態に左右されるという、よい事例です。「早く部屋を決めたい」「良い部分、自分が気に入った部分だけを見てしまう」そういった精神作用でしょうかね。

そいで後になって落ち着いてから見えてくるモンがあるってコト。性格ブサイクの馬鹿男にコロっと惚れて、後になって泣かされるって恋愛もどきと似てますわな(←また余計なことを書く 笑)

家の中の汚れってのはね、どんなに掃除しても落ちないって奴が存在するもんです。

その代表が「水回り」と言えましょう。
お風呂場、トイレ、そして台所です。


 


壁の汚れなんぞは目立つので、大家か不動産屋が綺麗にしておくものです。(昨今は強制的にクリーニング代をぼったくってますから、当たり前ですわな)

しかしハウスクリーニングの業者も「水垢」までは落としてくれません。なぜかと言うと、「業者用の洗剤で洗っても落ちない」からです。

とくにステン張りに染み付いた汚れはお手上げですな。
ステンの汚れって奴は、「洗ったら落ちたように見える」けれども、「後になってまた汚れが浮いてくる」ので、どうにもならないんですよ。

そいで、暮らし始めてすぐに台所のステンレス関係に所々こびりついた汚れが気になってくると。

「洗えば落ちるだろう」そう考え、他愛もないシミくらいに思っていたのが、どんだけ洗っても全然落ちないよ~ です。

ご存知のように水道水には殺菌のためカルキが含まれておりますけども、これがステンに染み込む白い汚れの原因にもなっています。

水道水は毎日必ず使うもの。使用せずに生活することはできません。流し台のシンクやお風呂場の壁や湯船や鏡などには毎日これが掛かって濡れますよね。

使った後、すぐにスポンジなどで「水に含まれたカルキの成分」を付着した箇所から洗い落とてしまうと、何の問題もありません。

我々みたいな料理の仕事をしてますと、閉店時間になれば毎日必ず板前達が掃除をし、シンクも洗います。

この「毎日欠かさず洗う」がポイントでして、これだと水垢なんぞが付着してしまう事は絶対にないんです。

問題は、そのまま何もしない「使いっぱなし」です。

これはね、「メイクの白粉を塗りたくっているのに、落とさないでそのまま寝てしまう人」をイメージなさると分かりやすい。

シンクの壁などに水が掛かる
すると流れ落ちたように見える
しかしカルキの成分は付着している

これを繰り返していると「オシロイを厚塗りしてる状態」になる

厚塗り状態がそのまま続くと、やがて肉眼で見えるようになります。【帯状やウロコ状の雲のよう】になってくるからです。

とくに「吸盤タイプの水切りラック」などをシンクの壁に長年固定しておいた場合などは、その吸盤のカタチの白い帯ができてしまいます。

ステンは接触に弱い

金属は異種族との接触を嫌いますが、ステンレスは特にその傾向が強く、他の金物やプラスチック製品、磁器や陶器などを直に置いておくと、そこに水分が加味された場合数時間ほどで「シミ」になります。

洗い物などをシンクに置いて「後で洗おう」という場面はよくあると思いますが、半日も放置しておくと接触部分に「痕」が残ります。
また、プラスチックや同じステンのボールなどに水を張り、そのまま放置しておきますと、くっきりと底の丸い形が輪のように残ります。

これが「落とせない水アカ」になりがち。
気をつけたいものですね。

異種族の中で、比較的ステンに影響を与えない物に「硬質ゴム」があります。これをボールの底に敷きますとシミをある程度防げますよ。
これはとくにゴム製品を探す必要はなく、ズバリ、排水口の『菊割れゴム』を利用すればいいのです。まるでボール専用の敷きゴムのようにピタリと底にフィットします。直置きに比べたらぜんぜん跡(シミ)もできません。

※菊割れゴムとは、上の写真の中央に写っている黒く丸い奴です

こうした水垢ってのは、簡単には落ちません。
こういうモンも落とせると書いてある特殊なクレンザー(微粒子研磨剤入りとか)などの洗剤も売られていますけども、

【基本的に水垢は洗剤では落とせない】のですよ。

なぜかと言いますと、汚れが内部に浸透しているからです。
洗剤というものは「表面の汚れを落とすもの」なんですよ。

金属表面の層について

ではどうすれば水垢は落ちるのか?

実に簡単な話しでしてね、「水ペーパー」で落とせるのです。

ここでやっと、なんでこんなミョウチクリンな記事を書いているのかをご理解して貰えるかと思います。 包丁の磨き方という記事で、水ペーパーを紹介しておるんです。

板前ブログ→包丁→金属磨き→汚れ落とし
つながりましたな(^_^)

紙ヤスリといっても、ヤスリですから「こすり傷」が心配になるかも知れませんが、水ペーパー(耐水ペーパー)なら心配ありません。

通常のステン水垢ならば、800番の水ペーパーだけで充分です。

ご覧のように水で濡らしながら汚れを落とすだけです。

特殊クレンザーなどの洗剤は、水ペーパーで汚れを除去した後に使うと効果を発揮します。

ピカピカにしたい人は、800番で汚れを取った後に2000番のペーパーをかけて、最後に洗剤とスポンジで仕上げましょう。

やや頑固な汚れなら、600番くらいを使ってみてください。ただし、300以下の荒いペーパーを使うと、ひっかき傷が出来るので注意しましょう。
(このようにして頑固な汚れを除去してしまえば、あとは時々「ハイホーム」などで洗って手入れを続けますと、驚くほどピッカピカになりますよ)

ハイホームと水ペーパー



ちなみに、流し台やガス台のステンに「黒いシミが点々とある」ケースがありますけども、さっと洗ってみても落ちない場合、それは【黒サビ】です。

ステンの黒錆は「悪性腫瘍」と同じでしてね、ある意味で「終わり」です。どうやっても落とせないんですよ。

スレンレスのサビ画像(包丁の例)

内部深くに入り込んでいますので、水ペーパーも役に立ちませんし、電動のグラインダーで削り落とすしかないんですが、ステンは薄いですから穴を開けることになります。

ようするに黒サビは除去する方法が無いということで、つまり「その部分全体のステンを張り替えるしか方法がない」んです。 まぁごく初期のものでしたら水ペーパーの400~600で落ちるケースもありますが、浸透している場合は無理だと思ってください。
(※実は電動ルーターやルーター用ゴム砥石などを駆使しますと、ステン黒サビを綺麗に落とせる場合があります。でもこれは違う話になりますので、機会をみて別のところに書くとします)


ついでですので、鏡のウロコ(水垢)の落とし方も書いておきましょう。

鏡にこびりついた魚のウロコみたいな水垢は洗剤では絶対に落とせません。程度にもよりますが、頑固なヤツはどうやっても落とせない。

これもやはり水ペーパーで落とせるのですが、鏡の場合は金属と違い「研ぎ汁」が出ません。包丁研ぎもそうですが、この磨き汁が出ないと、いくら擦っても効果が無いのです。

それでね、800~1000の砥石を用意します。
どこにでもある赤い砥石が丁度そのくらいです。

その砥石に水を吸わせ、表面を別の石とか何かの金属なりで擦って「汁」を出してください。

ある程度汁が出たら、今度は800の水ペーパーで擦る。

汁が水ペーパーに移ったら、それで鏡のウロコを擦るという段取りです。

磨く前に鏡を水で濡らしてはいけません。
砥汁を直接のせる様にします。

この磨き汁をたっぷり使って粘り強く磨きますと、頑固なウロコ水垢でも落とせますよ。一度やってみて駄目でも、繰り返すことで必ず落ちます。

最後に、黒サビにしろ、水垢にしろ、【汚したらその日のうちに洗う】という当たり前のことをやっていれば、まったくいらぬ心配でしかないということをお忘れなく。
日頃の心がけの問題でしかありませんよ。



数日後、お嬢さんが1人で飛び込んで来ました。 「ありがとうございます。一発で落ちましたよ~、信じられない」

人様が喜ぶ顔ってのは、いつでも「最高」ですな。


2015年03月03日

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