鮨と包丁


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SUSHIと包丁

2013年も終わりが近くなりました。
本年もお世話になりまして、まことに有難う存じます。

和食が無形文化遺産とやらにナニされる事になりそうで、これは喜ばしいことだと言えましょう。たとえこの先の見込みが「空洞化の加速」であるにしてもです。

なぜ空洞化するのかと申しますと、「文化よりも数字」という思想が蔓延しているからでして、それは昨今世間を騒がせているアレやらコレやらを例に持ち出すまでもないでしょう。

【株主あるいは役員に対する良い数字】
【そして組織の際限ない肥大化】
【それが絶対】

「品質?職人の技?」「何それ?」
「そんなものテキトーにアレしときなさいよ」
「どうせ誰も分からないんだし」
「いいから数字を出せ」

そういうマインドに改善の兆しはありませんので、文化は崩壊して散り散りになっていくと予見しております。

スシもすっかり国際化しまして、いまや世界中の主要都市で売られるまでになってきました。(しかし先進国でさえ地方に行くとSUSHIを知らない方もまだ多く、個別の料理ではイタリアにまだまだ及びません。ちなみにイタリア料理と対比させると和食の問題点がよく見えてきます)

そういう背景もあり、近頃は日本国内の寿司職人も張り切って妙なモンを作りたがる傾向があります。

逆輸入的な発想も悪くはないでしょう。
すべては「交流」によって交じり合うことで出来上がってきたのです。どこやらのキ印国が主張するように「何でもかんでも我が国のオリジナルである」というのは大きな間違いであって、この世にオリジナルなんてものは存在しません。

でもね、忘れちゃいけないこともあります。
「江戸前の握りすしは完成されている」ということを、日本人のすし職人は忘れるべきではありません。

完成の域に達していることを理解できず、
「いつまでも古臭いよ」
「進化発展させよう」

これが「日本の伝統文化の品質低下」を招いてきた大きな原因の一つでもあるのです。

【進歩させると言いつつ、実は劣化させている】
これは寿司だけもないし、食文化に限った話でもありません。
「すべて」です。

「御飯にサシミが載っかっているだけの食い物」
そういう風に考える人間は、これからどんどん増えてくると思います。だからと言って、職人までもがそんな風潮に染まってはいけません。

フォークで突いて食べるようになろうが、それはそれ。
自分だけはスシの食べ方を知っておくべきだと思いますよ。

忘れないように、風潮とやらに流されないようにするには、どうすればいいんですか?

答えは簡単ですよ。
まな板に置いてじっくりと眺めればいいんです。
コイツをね。

じきに寒い冬がきます。

人生は体が資本。くれぐれも体調などお崩しになりませんよう健康にだけは細心配慮しましょう。

冬が来るということは、春が遠くないということです。

では、また。

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手前板前.魚山人:The person who wrote this page筆者:文責=手前板前.魚山人