グルメの正体

酒ってカテゴリ作っておきながら、記事が殆どありません。
なんでこう冷淡に近い態度になるかちょっと事情を書きましょう。

日本料理界も含めて、どんな種類の業界でも腐った部分ってのがあります。それがあまりにもひどくて、消費者からそっぽを向かれた業界が酒造業です。飲む人の事を何も考えないでたらめぶりは、商品にはっきりと反映し、さすがにうんざりして飲む人が減少。

でもそんな業者ばかりではありません。これではいけないと、飲む人の事を考えて地道にまともな酒を造ろうって酒蔵が注目されたのが、80年代の地酒ブーム。
でも中身が何か分からない、消費者に理解しにくい構造には変化ありませんでした。

その後のワインブーム。焼酎ブームでも同じです。
あまりにも消費者に分かり難い。
酒の種別等級すら曖昧で意味が分からない。
なんでそんなに分かり難くするのか。
簡単な事です。知られたくない事情が多すぎるからですな。

地酒ブームの頃、馬鹿高くなったのに美味しいとは思えない日本酒に疑問を抱いて、日本酒の原価や酒税のしくみを調べた事があります。その結果日本酒を飲む気が失せてしまいました。(一部の【純米吟醸】を除き)呆れ果ててものが言えなかったですね。

多かれ少なかれ、食品業界も似たような問題を構造的に抱えてます。グルメブームの支流で「本物志向」ってのがありますが、本物ってのは日本人にとって「本当のかつお節」のことです。
「かつお節」がブームになりましたか?
ならないのは、「業界の都合」なんですよ。
本当のかつお節が今どんな現状か考えてみて下さい。
「本当のかつお節」も削り器も、売ってる店を探すのがひと苦労。
それが「ブーム」ってやつの真の姿です。


少し話は変わります。
繊細な技巧の極みたいなイメージが和食にはありますけども、実はそのような日本料理の技巧は、便利な調理器械が蔓延る現在よりも、明治大正生まれの職人の方が上でした。名人の名を挙げれば枚挙にいとまがないくらいです。

どうしてそうなのか原因は色々ありますが、今の料理人は修行に入る年齢が遅いってのが理由の一つではないでしょうか。
名人達が修行に入ったのは殆ど10代の前半です。
そして30歳になる前に大体料理長になってます。

高校を出た年齢に修行に入るのと、
小学から中学初年度の時期に身体に叩き込まれる技術、
後者の年代に憶えた事は生涯消えないほど磐石。この差は結構大きいなと思いますね。今の日本料理業界に職人が少ない理由の一つではないでしょうか。

何が言いたいのかというとね、
「便利さと引き換えに失くしたもの」
秤にかけたとき、「失くしたもの」の方が大きんじゃねぇか。
それを感じるんですよ。

家庭から完全に「かつお節」と「こんぶ」が姿を消す前に、気づくべきなんじゃないでしょうかねぇ、「グルメ」って道は二本あって、おいらたち全員、今間違った「似非グルメ」の道を歩いてるって事に。

魚山人

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