物が捨てられない  

整理整頓の大切さ

物が捨てられないてっのと、物を大事にするってのは意味が違うと思います。

整理整頓の大切さってのは、今更言うまでもなくご承知かと思います。しかしこれはご家庭では勿論、商売でも重要な事でして、非常に奥が深いと考えています。

少し前の話ですが、ユニクロの急激な成長の秘密の裏に、極限まで在庫を持たないってのがあるって話題になりました。
商売は在庫が無いと円滑に動きません。同時に経営を圧迫する「やっかいもの」でもあります。だから在庫管理ってのが大きなポイントになってくるんですね。これはそのまま家庭にも持ち込める理屈でもあるんですよ。

板前は初夏になれば、もう暮れのおせち料理の段取りを始めます。
献立の構想に着手するわけなんですが、その理由は沢山ありますけども、「非常に手間がかかる」、「早めにしないと間に合わない」、「晩秋には材料も揃ってなければならない」そんな理由の中に隠れて「仕入れた材料を余らせない」というのがあります。
これは一見目立たない事なんですが、商売が成り立つか成り立たないかを分けるキーポイントになるんですね。

当たり前ですがおいらは主婦ではありませんので、家庭感覚はおかみさんたちに敵いません。でも仕事柄、家庭感覚も持ってなければいけないって考えてます。で、パートに来てくれてる方、特に年配の洗い場のオバちゃんには、しつこいくらい色んなことを訊ねます。
一例ですが、【ちまき】を作る時ふと疑問が湧きます。笹の葉で包んで「い草」で巻くんですが、「はて、このい草、家庭で使おうと思ったら、いったいどこで入手するんだろう?おいら達は出入りの業者が探して持ってきてくれるけど家庭では?こんなもの売ってる店があるんだろうか?地方では<そこらへん>で簡単に分けてもらえるだろうけど都会では?畳屋に行けばあるが・・スーパーで見た事がないし、百貨店にあるかな?ん~分からねぇ、ちょいとおばちゃん教えて!」って感じです。

そんな風に主婦の人と会話をしてると気付く事があるんです。
物が溜まって捨てられなくなる。
ほとんどの方がそんな悩みを持ってまして、「なるほどなぁ~」と思うわけです。板場でも仕入れ担当がボサボサしてる店ってのは、すぐに食材等で溢れちまいます。余分な在庫になります。
余分な在庫ってのはね、そのまま「赤字」になるって事が分かってないんですな。

この最大の原因は、「かも」と「はず」です。

いつか使うはず
いつか使うかも

これはね、「絶対に使う事はない」って考えなきゃいけません。

【確実に使う】もの以外は、置かない、買わない、です。

食べ物でもまったく同じで、おいらは「たらこ」や「ひもの」を築地でまとめ買いして冷凍保存してますけども、これは毎日必ず食べるものだからで、「美味しそうだから」、「安いから」の理由でまとめ買いはしません。余らしてしまう可能性があるからです。

さらに大量にモノがある状態は、新しく買った物が何処に在るか分からなくしてしまい、整理整頓の弊害になるという悪循環になってきます。

【確実に使う】ために、料理はメニュー組みの段取りが大事になってくるというわけです。まして高額なおせちは尚更ってこと。

お金を出して買ったものも、頂き物も、なかなか棄てる事はできませんけども、使わないものが溢れてる状態ってのは、けして「得」なことではなく、「損」が増えて行く状態であるって頭にならなきゃいけません。

捨てるのが嫌なら最初から持たない様にした方が良いです。

そうは言っても自然に任せると、収納庫や冷蔵庫、何時の間にかモノで一杯になります。整理整頓の極意にもなりますが、おもいきって空っぽにしてしまい、必要の無いモノは置かない、使う物だけがあるという、シンプルライフを実践してみることをおすすめします。

それは物を大切にしないという事にはなりません。
まったく逆で、ものを無駄にしないという意識につながります。


Posted by 魚山人 at 2007

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